73 / 131
第3話 芥藻屑との戦 ノ37
しおりを挟む
気絶したまま雪舟丸に引き摺られる九兵衛を他所に、仙花の一行は早歩きというかほぼ駆けると言っても良いくらいの速さで夜道を進み続け、遂に芥藻屑の拠点があるであろう小さな山の麓に辿り着いた。
黙々と歩き続けていた一行の中でも超人的体力を誇る蓮左衞門が立ち止まろうともせずに声を発す。
「郷六の話しが正しければ、芥藻屑の拠点はもう直ぐでござるなぁ」
一行は此処までの道のりでたった一度だけ休憩を挟み、その際に焼いた馬肉を食して仮眠を少しだけ取っている。
とは云え、夜通し歩き続けたというのに九兵衛を除いた四人は意気揚々としていた。
それは下総の地の大悪党集団芥藻屑との戦(いくさ)を間近に控え気が張っていたこともあろうが、やはりは体力や戦闘力において常任の遥か上を行く四人だからこそである。
不名誉な意味でその四人と一線を画す平民体力しか持ち合わせぬ九兵衛は、藁の御座布団で完全に覆われ、まるで巨大な藁納豆のような姿になり引き摺られていた。
「よし、此処らで九兵衛を起こすぞ。皆の者、歩く脚を止めよ」
仙花の指示でお銀と蓮左衞門が歩みを止めると、最後尾の雪舟丸も自然に脚を止める。
蓮左衞門がゴミのようにボロボロとなった九兵衛の入った御座布団へと近づき、雑に力強く御座布団を引き裂いた。
「おわっ!?」
中の九兵衛の姿を見た蓮左衞門が珍しく驚き後ろへ退けぞった。
何故なら気絶したままの九兵衛の頭には大きなタンコブがいくつもでき、顔面は腫れあがってしまい血だらけとなっていたからなのだが....
化け物でも見たかのように驚いた蓮左衞門が気を取り直し九兵衛の頬をペシペシと叩く。
「九兵衛起きろっ!このままだと出血多量で本当に逝ってしまうでござるよぉ!」
実際のところそこまでの流血量ではなかったけれど、蓮左衞門はあまりの無残な姿を見て動転していたのであろう。
頬を何度も叩かれた九兵衛が腫れた顔を益々腫れ上がらせ、急に意識が戻ったのか上半身をむくりと起こし欠伸する。
「ふぅぁぁぁぁ、よく寝たあぁ...ん!?皆様方、揃い踏みでこっちを見ているようですがぁ、あっしの顔に虫でも止まっているでやんすか?」
「あらあら、なんとも無様ねぇ...」
「...其方、身体はどうもないのか?」
お銀は予想通りの冷めた言葉を贈り、仙花は目を丸くして彼の身体を気遣った。
仙花に訊かれた九兵衛は、座ったまま己の頭と顔に触れて状態を確かめる。頬に触れた際にヌルッとした嫌な感触を手に感じ、恐る恐る視界に掌を入れる。
「なっ!?なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!!??」
遥か遠い未来の伝説的な死に際決まり文句を絶叫したのだった。
黙々と歩き続けていた一行の中でも超人的体力を誇る蓮左衞門が立ち止まろうともせずに声を発す。
「郷六の話しが正しければ、芥藻屑の拠点はもう直ぐでござるなぁ」
一行は此処までの道のりでたった一度だけ休憩を挟み、その際に焼いた馬肉を食して仮眠を少しだけ取っている。
とは云え、夜通し歩き続けたというのに九兵衛を除いた四人は意気揚々としていた。
それは下総の地の大悪党集団芥藻屑との戦(いくさ)を間近に控え気が張っていたこともあろうが、やはりは体力や戦闘力において常任の遥か上を行く四人だからこそである。
不名誉な意味でその四人と一線を画す平民体力しか持ち合わせぬ九兵衛は、藁の御座布団で完全に覆われ、まるで巨大な藁納豆のような姿になり引き摺られていた。
「よし、此処らで九兵衛を起こすぞ。皆の者、歩く脚を止めよ」
仙花の指示でお銀と蓮左衞門が歩みを止めると、最後尾の雪舟丸も自然に脚を止める。
蓮左衞門がゴミのようにボロボロとなった九兵衛の入った御座布団へと近づき、雑に力強く御座布団を引き裂いた。
「おわっ!?」
中の九兵衛の姿を見た蓮左衞門が珍しく驚き後ろへ退けぞった。
何故なら気絶したままの九兵衛の頭には大きなタンコブがいくつもでき、顔面は腫れあがってしまい血だらけとなっていたからなのだが....
化け物でも見たかのように驚いた蓮左衞門が気を取り直し九兵衛の頬をペシペシと叩く。
「九兵衛起きろっ!このままだと出血多量で本当に逝ってしまうでござるよぉ!」
実際のところそこまでの流血量ではなかったけれど、蓮左衞門はあまりの無残な姿を見て動転していたのであろう。
頬を何度も叩かれた九兵衛が腫れた顔を益々腫れ上がらせ、急に意識が戻ったのか上半身をむくりと起こし欠伸する。
「ふぅぁぁぁぁ、よく寝たあぁ...ん!?皆様方、揃い踏みでこっちを見ているようですがぁ、あっしの顔に虫でも止まっているでやんすか?」
「あらあら、なんとも無様ねぇ...」
「...其方、身体はどうもないのか?」
お銀は予想通りの冷めた言葉を贈り、仙花は目を丸くして彼の身体を気遣った。
仙花に訊かれた九兵衛は、座ったまま己の頭と顔に触れて状態を確かめる。頬に触れた際にヌルッとした嫌な感触を手に感じ、恐る恐る視界に掌を入れる。
「なっ!?なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!!??」
遥か遠い未来の伝説的な死に際決まり文句を絶叫したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる