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第3話 芥藻屑との戦 ノ43
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男の叫び声は早朝のシンとした静けさと相まって蛇腹の隅々まで響き渡る。
当然、男が敵の襲来を最も伝えたかった中央社の見張りには確実に届いた。
この蛇腹に外敵が訪れるなど早々あったことではなかったが、何処ぞの山賊やらが無謀にも何度か攻め入った過去がある。その経験から見張りを立てる風習があったわけで、芥藻屑には外敵に対応する備えがあったのだ。
「カンカンカンカン!!カンカンカンカン!!」
中央社の見張りは社二階の角にある鐘をけたたましく打ち鳴らした。
「ちっ!気付かれてしまったか...」
あと一本でも矢が残っていれば、と悔やんだ仙花は己の備えが不十分だったことに苛立ちを覚えた。
しかし、これから芥藻屑の賊どもが目を覚まし激しい戦闘になるは必至。仙花は道の真ん中で立ち止まり、目を瞑り大きく息を吸い込み同じく大きく吐いて息を整え己の心身を落ち着かせる。
仙花の背後、遠くに見える小さな山の後方には淡く薄らとした陽の光が浮かび上がっており、あと半刻も経たず現れるであろう日の出を予感させた。
そんな折、正門には遅まきながら彼なりの全力で走った九兵衛が辿り着く。
「ハァハァハァ...な、、なんとか間に合ったようでやんすねぇ...ん!?あっ!?こっち!こっちでやんすよ~っ!」
九兵衛が走り疲れて項垂れているところへ何十人もの人の歩く音が聴こえ、音のする方へ目を向けるとお銀の解放した民衆がゾロゾロと現れ、乾ききった喉で無理やり呼びかけ誘導したものである。
その様子を振り返って眺めていた仙花の元へお銀が近づく。
「仙花様。こちらの首尾は順調にございます。我らの存在を敵に知られた以上、貴方様に何かあってはことですゆえ手前も戦闘に参加致しましょう」
「...すまぬ。こともあろうに最後の門番を片付ける一本が不足してしまった。だが作戦がそのまま続行するぞ。逃げる民衆に追手がかかり襲われては本末転倒。お銀、其方にはやはり民衆の護衛を頼みたい」
これを機に、彼女の側から片時も離れず戦おうと案じていたお銀だったが、仙花の言葉と口調に強固な意思を感じ取り気持ちが揺らぐ。
「....しかし......否、承知しました。僭越ながらこの甲賀の里がくノ一頭領美濃部銀。命を賭して必ずや民を護ることを約束致しましょう」
「うむ。儂には手練れの蓮左衞門と雪舟丸の二人がついておる。心配など無用だ、早よう行け」
「ハッ!」
お銀は仙花に恭しく頭を下げると、あっという間にその場から消え去り、逃げる民衆の護衛に向かったのだった。
当然、男が敵の襲来を最も伝えたかった中央社の見張りには確実に届いた。
この蛇腹に外敵が訪れるなど早々あったことではなかったが、何処ぞの山賊やらが無謀にも何度か攻め入った過去がある。その経験から見張りを立てる風習があったわけで、芥藻屑には外敵に対応する備えがあったのだ。
「カンカンカンカン!!カンカンカンカン!!」
中央社の見張りは社二階の角にある鐘をけたたましく打ち鳴らした。
「ちっ!気付かれてしまったか...」
あと一本でも矢が残っていれば、と悔やんだ仙花は己の備えが不十分だったことに苛立ちを覚えた。
しかし、これから芥藻屑の賊どもが目を覚まし激しい戦闘になるは必至。仙花は道の真ん中で立ち止まり、目を瞑り大きく息を吸い込み同じく大きく吐いて息を整え己の心身を落ち着かせる。
仙花の背後、遠くに見える小さな山の後方には淡く薄らとした陽の光が浮かび上がっており、あと半刻も経たず現れるであろう日の出を予感させた。
そんな折、正門には遅まきながら彼なりの全力で走った九兵衛が辿り着く。
「ハァハァハァ...な、、なんとか間に合ったようでやんすねぇ...ん!?あっ!?こっち!こっちでやんすよ~っ!」
九兵衛が走り疲れて項垂れているところへ何十人もの人の歩く音が聴こえ、音のする方へ目を向けるとお銀の解放した民衆がゾロゾロと現れ、乾ききった喉で無理やり呼びかけ誘導したものである。
その様子を振り返って眺めていた仙花の元へお銀が近づく。
「仙花様。こちらの首尾は順調にございます。我らの存在を敵に知られた以上、貴方様に何かあってはことですゆえ手前も戦闘に参加致しましょう」
「...すまぬ。こともあろうに最後の門番を片付ける一本が不足してしまった。だが作戦がそのまま続行するぞ。逃げる民衆に追手がかかり襲われては本末転倒。お銀、其方にはやはり民衆の護衛を頼みたい」
これを機に、彼女の側から片時も離れず戦おうと案じていたお銀だったが、仙花の言葉と口調に強固な意思を感じ取り気持ちが揺らぐ。
「....しかし......否、承知しました。僭越ながらこの甲賀の里がくノ一頭領美濃部銀。命を賭して必ずや民を護ることを約束致しましょう」
「うむ。儂には手練れの蓮左衞門と雪舟丸の二人がついておる。心配など無用だ、早よう行け」
「ハッ!」
お銀は仙花に恭しく頭を下げると、あっという間にその場から消え去り、逃げる民衆の護衛に向かったのだった。
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