刀姫 in 世直し道中ひざくりげ 鬼武者討伐編

流川おるたな

文字の大きさ
83 / 131

第3話 芥藻屑との戦 ノ47

しおりを挟む
「蓮左衞門!」

「合点承知にござる!」

 声のみで意思疎通を図った仙花と蓮左衞門は、互いに背中を合わせる立ち位置に構え、複数人で襲いかかって来る賊に応戦する。

 芥藻屑は数において比較するまでもないが圧倒的優勢である為、そこに明らかな油断が生じ揃いも揃って隙だらけの雑な攻撃を仕掛けた。

 一度きりとはいえ、芥五人衆が一人の雅楽奈亜門との命を賭けた決闘は、仙花の戦闘に関する成長に大きく寄与している上、賊どもの動きは「速剣」の技量に遠く及ばない。

 仙花の目には賊どもの動きなど止まって映った。

 幾多の剣線の先を読み、安全な位置に素早く重心を低くして移動し、最も近い敵の脚を狙って風鳴りによる一閃を叩き込む。

「っ!?」

 最初の犠牲者は脚に違和感を覚えたものの、あまりの剣速に痛覚の反応が遅れて何が起こったのか理解出来ずに戸惑う。

「ぎゃっ!?」

「ひっ!?」

「なっ!?」

 仙花の勢いはそのままに、流れる様な剣技によって立て続けに三人の腕や腹やらを切り裂いた。
 あっという間に攻撃を仕掛けた四人に致命傷を負わせた様を眺めていた賊どもは、直ぐに攻撃を仕掛けるのを躊躇し立ち止まる。

「なっ!なんだこいつは!?ただもんじゃねぇ!?」

 賊の一人が声に出して驚き周りの者も数歩後退りした。

 片や彼女の背中を守る蓮左衞門は仙花の様に攻撃を避けず、敵の武器を刀で強引に弾いては無防備になったところを次々に斬っていく。

「どりゃぁっ!」

「ごわぁっ!?」

 剣速の速い仙花の薄く綺麗と云ってはなんだが線の様な斬り傷とは異なり、蓮左衞門に斬られた敵の傷は太く粗い為、多くの血飛沫が噴出し広範囲の地面を真っ赤に染めていく。
 とは云っても、それは仙花の流れる様な剣技を例えるなら「流剣」、蓮左衞門の剣技は豪快な「剛剣」という違いだけで、決して彼の剣技が優れていないという訳ではなく、敵にしてみればむしろ派手に斬り倒されていく味方を見て心底ゾッとしていたほどである。

 予想外の展開に苛立つ鷲尾雷角が手下に怒号を飛ばす。

「ちっ、この二人なかなかやるじゃねぇか。野郎ども!馬鹿みてぇに突っ込んでないでちっとは考えて攻めやがれ!!」

「「「おおっ!!」」」

 仙花と蓮左衞門の驚異的な強さに怯んだ手下が怒号の圧力を受け、別の恐怖心から気合を入れなおした。

「ぎゃーーーっ!!」

 と、此処で鷲尾雷角の耳に西の方からも悲鳴が届く。
 言わずもがな、西の方では暫しの居眠りを禁じられた雪舟丸が封印を解かれた化け物が如く、縦横無尽に暴れていたのである。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...