刀姫 in 世直し道中ひざくりげ 鬼武者討伐編

流川おるたな

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第3話 芥藻屑との戦 ノ56

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「みっ、皆様方聴いてくださいませ~!あっしはとある高貴な身分のご主人に使える薬師の泰時九兵衛(やすとききゅうべえ)と申しやす!...もうお察しかとは存じやすが、あっしらはあなた方を救うとともに芥藻屑を滅ぼすために蛇腹を訪れた次第でしてぇ、あなた方の救出は無事に成功したようです!」

 あまり喋りが得意ではない九兵衛だったけれど、他の仲間が命懸けで戦っていることを思えば演説じみた喋りも何の苦とも感じてはいなかった。

 助けられた若い人々から九兵衛に対して感謝の言葉が次々に掛けられる。
 しかし、九兵衛は戦ってもいない己が賞賛されるのをその正直な性分ゆえに、申し訳なくも感じていて心からは喜べずにいたものである。

 彼にはまだ人々へ伝えなければならいことがあった。

「あっしのご主人や仲間達は蛇腹の中で未だに戦っているでやんす!早く郷へ帰りたい気持ちも分かりやすが、残党がウロチョロしているかもしれやせんのでもう暫くの間此処に留まっておくんなまし!...それともし怪我をしている方がいらっしゃれば薬を配りやすんで此方にお並びくださぁい!」

 九兵衛が言い終わると彼の目の前に人々がぞろぞろと集まり始め、怪我のしていない者の方が少なかったらしく、薬を待つ長蛇の列があっという間にできたのだった。

 

 薬師の九兵衛が人々の怪我に対応している頃、中央社付近では仙花と蓮左衞門の二人と芥藻屑とに戦いは続いていた。

「でやっ!!」

「ぎゃぁっ!?」

 周囲にあれだけいた多くの敵は二人によってほとんどが葬られ、仙花の疲労を感じさせぬ剣線が残り少なくなった敵の一人を斬り捨てた。

 憤怒の表情で腕を組んだまま突っ立ったままの鷲尾雷角の方へ目を向ける仙花。

「おい!そこのデクの棒!いつまでカカシのように突っ立っておるのだ!お主の部下達はもう数えるほどしか残っておらぬぞ!」

「ケッ!底無しの化け物達め...仕方ねぇなぁ。おいっ!役立たずども!そいつらから離れて高みの見物でもしてやがれ!」

 煽られた芥五人衆が一人鷲尾雷角が残った部下を叱咤しつつ、巨大で黒光りする六角金棒をブンブンと振り回しながら仙花の方へと近づく。

「ほぉ、遅すぎるくらいだがやっと戦う気になったでござるなぁ。拙者が相手をしてやろう。ん!?」

「ドスッ!」

「ぐっ!!?」

 鷲尾雷角と仙花の間に割って入った蓮左衞門が、鷲尾雷角の上から飛んでくる何かに気付いたのだが時すでに遅く、凄まじい速さで飛んで来た一本の矢が彼の腕に突き刺さってしまった。
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