刀姫 in 世直し道中ひざくりげ 鬼武者討伐編

流川おるたな

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第3話 芥藻屑との戦 ノ75

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 気持ちを切り替えた仙花が蓮左衛門と雪舟丸の二人に背を向け、鬼武者韋駄地源蔵に声を掛ける。

「待たせて悪かったな、鬼武者よ。だが儂の気掛かりは粗方晴れた。一騎討ちを再開し決着をつけようではないか」

 己より五十歳以上の歳下の少女の手前勝手な要件に応じ、話しが終わるまで律儀にも胡座をかいてジッと待っていた韋駄地。彼は苛立つような仕草も特に見せず、鎧の擦れ合う音を響かせながらゆっくりと立ち上がった。

 大いに偏見の可能性があるかも知れないけれど、世の中に蔓延る悪党の大半はせっかちな者が多い!ような気がする...
 その是非はともかくとして、韋駄地源蔵の取った行動は実に真摯的であり紳士であったと云えなくもない。

 とはいえ、芥藻屑が平民に行った所業は極悪非道であり許されざる暴挙でもある。
 しかしその悪党どもも突如として現れた仙花一味に尽く倒され、残るはこの鬼武者韋駄地源蔵を残すのみとなった。

「なに、これくらい気にするな。俺は悪党としての自負もあるが変に気は長い。それに貴様らのような手練れと剣を交えることも久しく俺の血肉は湧き踊り、鬼も楽しんでくれているようだ。なんなら三人纏めてかかって来るが良いぞ」

 仙花と韋駄地が一騎討ちが中断する前までは韋駄地が優勢であった。それを踏まえての挑発であろうが...

「...いや、お主の相手は変わらず儂一人で十分だ。だが、先程までの儂とは一味も二味も違うから覚悟するがいい」

 そう言って凄む仙花は、使い慣れ手に馴染み出した脇差の「風鳴り」を引き抜こうとはせず、代わりに未だ一度も戦いで使用したことのない刀、「鳳来極光(ほうらいきょっこう)を鞘より解き放ち前方に構えた。

 彼女の目前に構えたその美しい刀の表面に、今まで現れたことのない「鳳来極光」の文字が浮かぶ上がり一瞬光を放つ。得体の知れない何かに共鳴し息を吹き返したような感覚が仙花に伝わる。

「ハハハ。怪異なる者を前にして生き返ったようだな我が剣『鳳来極光』。お前の凄さをとくと見せてくれよ」

 刀を目にした韋駄地の眉が僅かに動き、自身も鞘から刀を引き抜き身構える。

「その刀、恐らくは人の作り出した代物ではないな。斬られれば鬼の魂まで砕かれそうだ...」

「この刀が特殊な物だとお主にも分かるか。まぁ、こいつの素性はかくいう儂もよく知らんのだがな。では一騎討ちの再開だ!」

「タン!」

 瓦を蹴った仙花が軽やかに、そして驚くほど俊敏に屋根上を駆け間合いを詰める!
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