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ドワーフのバース
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家の外から呼びかけてみる。
「すみませ~ん!どなたかいらっしゃいませんか~!」
返事はなく人の気配もしない。
「...何だ、留守かっ!?」
俺は横から飛んでくる矢に気付き、その矢を咄嗟に掴んでいた。
自分の反射速度と運動神経に驚く。
こんな芸当は生きてた頃には絶対できない。
「お前、何者だ?何の用があってこんな辺鄙な場所に来た?」
矢の飛んできた方向の林から、小さいが頑丈そうな身体をした爺さんが姿を現した。
最初の質問には即座に答えられそうにないので、二つめの質問に答える。
「この辺に町はないかと尋ねに伺っただけですよ」
「嘘を言うな!この辺一帯は樹海になっておる。人の住む町などありゃせんわい!」
「じゃあここはどこなんですか?」
「ん!?本当に知らずに来たのか?ここはドワーフの村じゃ!」
ドワーフ!?小さい頃に絵本に出て来たのを覚えている。
余談だが、あの頃の両親の教育は暗殺色が薄くまだ普通だった。
「へぇ、そうなんですね。あの鍛治を得意とするドワーフさんですか」
ドワーフを見た感じでは少し警戒が解けたような気がする。
「あの、良かったらそこの家でお茶でもしながら話しませんか?」
「ドアホ。わしの家じゃ勝手に決めるな!」
そりゃそうだ。
「まぁ見ればまだ子供じゃないか。矢を掴んだ事といい怪しさ満載じゃが...家に入れ。茶ぐらい飲ませてやろう」
何と親切なドワーフだろう。
「ありがとうございます!」
次にまた名前を訊かれそうだと思い早急に名前を考えたが、名前を決める時間は意外に掛からなかった。
子供の頃、両親に見せられた映画「レオン」の殺し屋である主人公が大好きだったのを思い出し、安易だが「レオン」に決めた。
家に入りドワーフの爺さんに促されて席に座る。
程なく爺さんが紅茶をいれてくれた。
「わしの名はバースだ。で、お前さんの名前は何て言うんだ?」
良くぞ訊いてくれました!
「俺の名はレオンです!」
「レオンか...男らしくてなかなか良い名だな」
「褒めて貰って嬉しいです!ありがとうございます!」
俺は不思議とめちゃめちゃ嬉しくなっていた。
爺さんが俺の眼をじっと見て訊いてくる。
「さっきは町の場所を知りたいような事を言っていたが、家出でもして迷ったのか?」
爺さんナイスパス!家出の線が無難かも知れない。
「実はそうなんです。嫌な出来事があって町を出て森に入ったら道がさっぱり分からなくなったんです」
「なるほど...ここから一番近い町はラドムだな。そこから来たんだろ?」
「は、はい!そこです!その町を出て迷ってしまったんです!」
これで上手くいったのではないだろうか。
「分かった。外に出ろ、帰り方を教えてやる」
「助かります!」
外に出ると爺さんが遠くに見える山を指差して教えてくれた。
「あそこにでかい山が見えるだろ。あの山の頂上を目指して真っ直ぐ歩け。そうすれば途中でラドムに着くわい。それと...待っておれ」
「は、はい」
爺さんは家に入り、暫くすると手に服を持って再び現れた。
「これに着替えて行った方が良いぞ。そのなりじゃすぐに騒がれてしまうだろうからな」
言われて初めて気付く。
俺が前世で最後に来ていたスポーツウェア姿のままだった事に...
「お前、本当は転生人(てんせいびと)だろ?10年ほど前にもお前と同じようにわしの家を訪れたやつがいたんだ」
「じゃあバースさん気付いてたんですね?」
「話しの際中にふと昔の事を思い出してな」
何だか後ろめたい気持ちになったが、有り難く服を貰って着替える。
因みにドワーフの服は小さくて入らないだろうと思っていたのだが、なぜか普通の人間サイズの服でピッタリだった。
「バースさん、お世話になりました!」
「大変だろうがこの世界でしっかり生きるんだぞ」
俺は爺さんに手を振って、町を目指し電光石火で樹海を駆けて行った。
「すみませ~ん!どなたかいらっしゃいませんか~!」
返事はなく人の気配もしない。
「...何だ、留守かっ!?」
俺は横から飛んでくる矢に気付き、その矢を咄嗟に掴んでいた。
自分の反射速度と運動神経に驚く。
こんな芸当は生きてた頃には絶対できない。
「お前、何者だ?何の用があってこんな辺鄙な場所に来た?」
矢の飛んできた方向の林から、小さいが頑丈そうな身体をした爺さんが姿を現した。
最初の質問には即座に答えられそうにないので、二つめの質問に答える。
「この辺に町はないかと尋ねに伺っただけですよ」
「嘘を言うな!この辺一帯は樹海になっておる。人の住む町などありゃせんわい!」
「じゃあここはどこなんですか?」
「ん!?本当に知らずに来たのか?ここはドワーフの村じゃ!」
ドワーフ!?小さい頃に絵本に出て来たのを覚えている。
余談だが、あの頃の両親の教育は暗殺色が薄くまだ普通だった。
「へぇ、そうなんですね。あの鍛治を得意とするドワーフさんですか」
ドワーフを見た感じでは少し警戒が解けたような気がする。
「あの、良かったらそこの家でお茶でもしながら話しませんか?」
「ドアホ。わしの家じゃ勝手に決めるな!」
そりゃそうだ。
「まぁ見ればまだ子供じゃないか。矢を掴んだ事といい怪しさ満載じゃが...家に入れ。茶ぐらい飲ませてやろう」
何と親切なドワーフだろう。
「ありがとうございます!」
次にまた名前を訊かれそうだと思い早急に名前を考えたが、名前を決める時間は意外に掛からなかった。
子供の頃、両親に見せられた映画「レオン」の殺し屋である主人公が大好きだったのを思い出し、安易だが「レオン」に決めた。
家に入りドワーフの爺さんに促されて席に座る。
程なく爺さんが紅茶をいれてくれた。
「わしの名はバースだ。で、お前さんの名前は何て言うんだ?」
良くぞ訊いてくれました!
「俺の名はレオンです!」
「レオンか...男らしくてなかなか良い名だな」
「褒めて貰って嬉しいです!ありがとうございます!」
俺は不思議とめちゃめちゃ嬉しくなっていた。
爺さんが俺の眼をじっと見て訊いてくる。
「さっきは町の場所を知りたいような事を言っていたが、家出でもして迷ったのか?」
爺さんナイスパス!家出の線が無難かも知れない。
「実はそうなんです。嫌な出来事があって町を出て森に入ったら道がさっぱり分からなくなったんです」
「なるほど...ここから一番近い町はラドムだな。そこから来たんだろ?」
「は、はい!そこです!その町を出て迷ってしまったんです!」
これで上手くいったのではないだろうか。
「分かった。外に出ろ、帰り方を教えてやる」
「助かります!」
外に出ると爺さんが遠くに見える山を指差して教えてくれた。
「あそこにでかい山が見えるだろ。あの山の頂上を目指して真っ直ぐ歩け。そうすれば途中でラドムに着くわい。それと...待っておれ」
「は、はい」
爺さんは家に入り、暫くすると手に服を持って再び現れた。
「これに着替えて行った方が良いぞ。そのなりじゃすぐに騒がれてしまうだろうからな」
言われて初めて気付く。
俺が前世で最後に来ていたスポーツウェア姿のままだった事に...
「お前、本当は転生人(てんせいびと)だろ?10年ほど前にもお前と同じようにわしの家を訪れたやつがいたんだ」
「じゃあバースさん気付いてたんですね?」
「話しの際中にふと昔の事を思い出してな」
何だか後ろめたい気持ちになったが、有り難く服を貰って着替える。
因みにドワーフの服は小さくて入らないだろうと思っていたのだが、なぜか普通の人間サイズの服でピッタリだった。
「バースさん、お世話になりました!」
「大変だろうがこの世界でしっかり生きるんだぞ」
俺は爺さんに手を振って、町を目指し電光石火で樹海を駆けて行った。
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