刀姫 in 世直し道中ひざくりげ 仙女覚醒編

流川おるたな

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ノ6 雲峡の実力

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 お銀が口を開こうとするところへ割って入る雲峡。

「ううううう!こんな酷い侮辱を受けたのは多分だけれど生まれて初めてだわっ!!んも~堪忍袋の緒が切れた!覚えておきなさいよーーーーーーっ!!!」

 大した堪忍を入れ得るような大きさでもなく、とっくに切れているはずの堪忍袋がいま正に切れたと豪語した雲峡は目に涙を浮かべつつ、地上には無い種の植物「仙葉」に飛び乗り、地上を離れふわりと浮いたかと思うと、瞬く間に空の彼方へ飛んで行ってしまった。

「いやはや、人騒がせな仙女でござったなぁ」

「でも仙人ってのは本当にいたんでやんすねぇ。あっしは生まれて初めて見たでやんすよ」

 雲峡が現れてから一度も声を発しなかった蓮左衛門と九兵衛が久々に口を開いた。
 雪舟丸はというと、とっくに居眠りを始め寝息の音を立てている。

「まぁ、人格的に問題大アリだったがのう。しかし、あの落雷の威力は尋常ではなかったな。自然界の起こす雷のそれを遥かに超えておる」

「確かに...道を一瞬にして断崖絶壁に成らしめた威力は人智を逸していると云えるでしょう。あれが直撃していたらと思うと...」

「ゾッとするな...」

「こわやこわや」

 お銀と仙花はあの落雷の破壊力を恐れ、九兵衛に至っては寒くもないのに震え上がった。

 雲峡は高尚なはずの仙女でありながら、残念なことこの上なく人格破綻者だったも知れない。だが実際のところその実力たるや、海を越えた遠い大陸に存在する仙人の中でも最強と謳われる「申公豹(しんこうひょう)」にも匹敵するほどだったのである...

「それはさておき、そろそろ道の修復に取り掛かると致しましょう」

「うむ、頼んだぞ」

 仙花に頷いて見せたお銀が大きく深呼吸をし、目を瞑って九字法の印を結び始める。
 忍者と云えば九字法(九字護身法)で間違いなし!と云うわけでもないけれど、次々と手の形を変えて印を結び精神を研ぎ澄ませ、自然の力を吸収し利用する九字法の効力は侮れない。

「臨(りん)・兵(ぴょう)・闘(とう)・者(しゃ)・皆(かい)・陣(じん)・烈(れつ)・在(ざい)・前(ぜん)!!妖狐の弧浪よ姿を現せ!そして有り難くあたしの力になるが良い!!」

「................」

 印を結び終わり、腕組みしながらやや横柄な言葉で妖狐に呼びかけたお銀であったが、何も起こらず沈黙の時間だけが流れ、格好付けてふんぞり返った彼女の姿が虚しく映る...

 無駄な沈黙に耐え切れず仙花が問う。

「どうしたお銀。何も起こらぬが調子でも悪いのか?」
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