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ノ93 詰めの一手
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「っ!!??」
「ボォン!!!」
攻撃の初動に入っていた府刹那は奇襲に気付いたものの、至近距離かつ想定外の反撃がカウンターとなり、胸元へまともにきつい攻撃を受けてしまった!
府刹那の身体は宙へと浮かび後方へ吹き飛ばされ、殊の外ダメージが大きかったのか受身すら取れずに地へと叩きつけられる。
だが絶命と気絶は免れ、仰向けに倒れた状態で首を上げ魔王のいる方を直視すると、瀕死であった筈の羅賦麻が膝を曲げ立ち上がろうとする姿が目に映った。
「くぅぅ...油断は微塵もしておらなんだが...しくじってしまったかのう....」
思いもよらぬ奇襲を受けた府刹那の口から失敗の念が溢れた。
立ち上り仁王立ちする魔王の身体は、府刹那が失敗の念を溢すには十分事足りる状態であった。
雅綾の重力仙術が解けた瞬間に渾身の一撃で破壊した胸元は回復し、二撃目の頭の傷も消え、魔王の身体を貫通した致命傷もほぼ傷口が塞がりつつあったのである。
羅賦麻が頭を掻くような仕草をしつつ悪魔的な異形の口を開く。
「グァグァグァ...老仙人、実に惜しかったなぁ...オレはかつて戦いの相手を褒めた事など一度も無かったが、此度の瀕死にまで追い詰めた貴様らの戦いぶりは賞賛に値するぞ」
吐いた言葉は敵を褒め称える内容で余裕があるように感じられるが、府刹那から受けた攻撃による傷がほぼ回復したとはいえ、羅賦麻の方にもさして余力は残っていなかった。
羅賦麻や亜孔雀の持つ自己治癒能力とて無限に継続できるものではない。喰らったダメージや傷を治癒するため、その被害状況に比して相応の魔力を消費していたのである。
雅綾の重力仙術を耐え続けていた頃から消費し続けていた羅賦麻の魔力は、府刹那の攻撃による傷を治癒した今の時点でほとんど枯渇していた。
謂わば府刹那にとって魔王を倒す絶好の機会ともいえたのだが、肝心の老仙人の方とて仙力を使い果たし疲労困憊であったことに加え、強烈な奇襲のダメージによって既に片腕を動かすことすら叶わなかったのである。
府刹那の繰り出した猛攻は短く、体力の消耗はそれほど無かったように思われたのだが、初撃に殆どの仙力を注ぎ、立て続けの猛攻にもありったけの仙力を注ぎ込んだ結果、魂を削った府刹那の仙力はとうに尽き果てていた。
一歩一歩ゆっくりと己の方へ歩み寄る魔王の姿を見た府刹那は、反撃に転じることを諦め観念したかのように首の力を緩め、後頭部を地につけ空を仰いだ。
「...あと一手...じゃったのにのう...」
「ボォン!!!」
攻撃の初動に入っていた府刹那は奇襲に気付いたものの、至近距離かつ想定外の反撃がカウンターとなり、胸元へまともにきつい攻撃を受けてしまった!
府刹那の身体は宙へと浮かび後方へ吹き飛ばされ、殊の外ダメージが大きかったのか受身すら取れずに地へと叩きつけられる。
だが絶命と気絶は免れ、仰向けに倒れた状態で首を上げ魔王のいる方を直視すると、瀕死であった筈の羅賦麻が膝を曲げ立ち上がろうとする姿が目に映った。
「くぅぅ...油断は微塵もしておらなんだが...しくじってしまったかのう....」
思いもよらぬ奇襲を受けた府刹那の口から失敗の念が溢れた。
立ち上り仁王立ちする魔王の身体は、府刹那が失敗の念を溢すには十分事足りる状態であった。
雅綾の重力仙術が解けた瞬間に渾身の一撃で破壊した胸元は回復し、二撃目の頭の傷も消え、魔王の身体を貫通した致命傷もほぼ傷口が塞がりつつあったのである。
羅賦麻が頭を掻くような仕草をしつつ悪魔的な異形の口を開く。
「グァグァグァ...老仙人、実に惜しかったなぁ...オレはかつて戦いの相手を褒めた事など一度も無かったが、此度の瀕死にまで追い詰めた貴様らの戦いぶりは賞賛に値するぞ」
吐いた言葉は敵を褒め称える内容で余裕があるように感じられるが、府刹那から受けた攻撃による傷がほぼ回復したとはいえ、羅賦麻の方にもさして余力は残っていなかった。
羅賦麻や亜孔雀の持つ自己治癒能力とて無限に継続できるものではない。喰らったダメージや傷を治癒するため、その被害状況に比して相応の魔力を消費していたのである。
雅綾の重力仙術を耐え続けていた頃から消費し続けていた羅賦麻の魔力は、府刹那の攻撃による傷を治癒した今の時点でほとんど枯渇していた。
謂わば府刹那にとって魔王を倒す絶好の機会ともいえたのだが、肝心の老仙人の方とて仙力を使い果たし疲労困憊であったことに加え、強烈な奇襲のダメージによって既に片腕を動かすことすら叶わなかったのである。
府刹那の繰り出した猛攻は短く、体力の消耗はそれほど無かったように思われたのだが、初撃に殆どの仙力を注ぎ、立て続けの猛攻にもありったけの仙力を注ぎ込んだ結果、魂を削った府刹那の仙力はとうに尽き果てていた。
一歩一歩ゆっくりと己の方へ歩み寄る魔王の姿を見た府刹那は、反撃に転じることを諦め観念したかのように首の力を緩め、後頭部を地につけ空を仰いだ。
「...あと一手...じゃったのにのう...」
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