ギャペラ～獣の世界に落ちて～

相性

第二話

｢………これって｣

 高所恐怖症のケイの為に用意されたのは馬車ならぬトカゲ車だ。
 しかも2頭。

 そう、ケイが拉致された時に乗せられていた幌馬車を引いていた巨大なトカゲだ。

｢コレはガビラビだ｣

｢ガ、ガビラビ……？｣

 トカゲのような生き物はガビラビと言う名前らしい。

｢ジルラーティスなら早いがガビラビでは5日は掛かるぞ。
いいのか？｣

｢まぁ……｣

 見た目は気味が悪く怖いし、5日も移動しなければならないのはツラいが、空を移動するよりマシだと了承した。

 早速馬車ならぬガビラビ車に乗り込む。
 ケイが乗り込むと隣にシルヴァが座り、向かい側にはノイル、そしてルーネス大佐が乗り込んだ。

｢なんだ、ルーネス、お前も一緒か｣

 シルヴァが狭苦しいと不満を吐露する。

｢我が国の次期王となる御方であります。
御身を考えますと同行を御許し頂けませんと……｣

 王子を護衛する為にルーネスは車に同行する事になったが、気まずそうだ。

 それよりもっと気まずいのはノイルの方だろう。

｢おいシルヴァ、何でお前が隣座るんだよ。
ノイルと代われっての!!
絶対ケツ触ったりしてくるだろ｣

 シルヴァの隣は嫌だと言うケイの言葉を通訳しろと言われ、やんわりシルヴァに伝えると、ふんと鼻で笑った。

｢全く、可愛い事を言う｣

 そう言ってケイの腰を自分の方へ引き寄せる。

｢てめっ、何しやがる変態!!
ノイル、お前何て伝えたんだよ？｣

 何故こうなる……
 まさか一国の王子がこんな人物だとは思いもしないノイル。
 そして隣で上司が険しい表情で横目で見ている。

｢はぁ……｣

 ノイルの小さな溜め息は誰の耳にも触れず空虚に消えた。