ギャペラ～獣の世界に落ちて～

情勢

第一話

 今から自分を描けと言うので仕方無くケイは色鉛筆を使い描く事にした。
 
 ノイルと同じでシルヴァを描くのはファンタジーの世界を描いているようだと思った。
 それに彼は華があり描き応えがある。
 調子に乗るのでそんなこと決して言わないが。

 だがノイルと違い、疲れたと言わんばかりに動くので描きづらい。
 それでも今まで動きまくる動物の絵を描きまくっていたので、しっかりと描き終えた。

｢お前は才能があるなと王子が仰っている｣

｢どうも｣

 しかしこの色鉛筆がこの世界に無いとしたら今あるこれはとても貴重になるなと思う。
 この世界に画材と言うものを見て見たい。
 描いてみたい。

 それからまたシルヴァは仕事だと部屋を後にした。
 王子というのはこんなに忙しいのかと思うと同時に、今まで遊び歩いてて仕事はどうしていたのだろうと思った。


 そんな大忙しのシルヴァは宮殿の会議室へやって来ていた。
 大きなテーブルを囲む椅子の数も20はあるだろうか。

 そこにはシルヴァを始め彼の弟のアーシェルや国の重鎮達が座り、その後ろには補佐官や秘書等が立って並んでいて、その様は他に用事があって国王がいないながらも圧巻である。

｢それで？
テンペニルの第一王子が俺に会いたいと？｣

｢は、どうやら殿下を彼かの国へ招き国交の回復を図りたい様子で｣

｢国王への謁見は無しなのだろう？
どう考えたってケルティマうちがまるで国交を結びたがってる構図ではないか。
話にならん｣

 テンペニル……
 それはケルティマ王国の隣国で王であるホッキョクグマのギャペラが治める極寒地に存在する王国だ。

 だが現在ケルティマ王国とは国境や資源を巡り対立しており、国境沿いでは争いが絶えず緊張状態が続いている。