23 / 58
19話 ラウムリザード
次の日、7の刻に馬でリグレスを出た私たちは、夕刻にはオルト山の中腹にいた。山中は魔物も多かったが、中腹までは強い魔物は出ないというシザーの言葉通り、集団でなければ私でも倒せる程度の魔物しか出なかった。
野営は中腹の少し手前の、比較的安全な場所ですることになった。馬を連れてこられるのはここまでで、明日は魔物除けのアイテムを設置して置いて行く。それでも魔物に襲われたら逃げてリグレスに戻るように教えられているので、繋いではいかないらしい。少し上にある採掘ポイントと、ラウムリザードの目撃地点までは歩きだ。
このオルト山とその麓に広がるバンテの森は、リグレスから子供の足でも半日ほどで着く近場だが、多種類の食材、素材、鉱石などがあり、珍しい物も採れる。それを採取しに訪れる街人も少なくない。その為ギルドから依頼を出して定期的に冒険者が異変がないか調査しにくる。
ウェアウルフとラウムリザードはそれぞれ群れのリーダーで、討伐してもまた次のリーダーが現れるため、調査時の重要なチェックポイントである。いくら魔除けのアイテムを持っていても万全ではないし、ちょっと剣を使えるくらいじゃ太刀打ちできないのだ。だから目撃されると緊急討伐依頼がだされるのだそうだ。
オルト山にはラウムリザードの群れの他に、ロックバードという鳥の魔物が生息している。これは群れを作らないしさほど脅威でもないが、見つかるとしつこく追ってきて空から攻撃されるのは面倒だという。空への注意も怠るな、と忠告を受けた。
☆
翌朝、準備が済み次第出発した。今日の攻撃はロイさんがメインだ。ラウムリザードは氷魔法が弱点で、シザーも使えるが攻撃として役に立つほどではないらしい。ロイさんはラウムリザードを集中して狙い、シザーはその配下のリザードを片付ける。私は隠密で隠れてサポートと、ロックバードへの警戒、という役割分担だ。
登り始めて1刻半、時折出るロックバードやラット(猫くらいの大きさのネズミの魔物)を退治しながら歩く。目撃地点まではあと1刻はかかると思っていたが、シザーが何かの喧騒に気が付いて眉を寄せる。
「魔物同士の争いだが…どっちもラウムリザードだ。配下を含めると9体」
「え、それって…」
「考えるのは後だ。視認出来る位置まで行き、どちらかのリーダーが倒されるまで待つ。気を付けろ」
何か察して言おうとしたロイさんを遮って歩を進めた。気配を消し、隠れながら進むと私の探索にも赤マーカーが現れた。9体が見える位置まで来て岩陰に身を潜め、息を殺して様子を窺う。
ラウムリザードは他より飛び抜けて大きくすぐに分かった。青紫の強固そうな鱗、黒い2本の角、それに長く太い尻尾にある毒針。鱗が変形した物らしいが針なんて可愛い物じゃない、剣だ。レイピアの様に大きく鋭い。しかも違う方向に向けて3本ある。土魔法も使えると聞いたが、尻尾での攻撃が多い。リーダー同士じゃ魔法も毒も効かないだろうから、これが一番有効なのだろう。配下のリザードには、赤や緑の鱗の物が居るがやはり攻撃方法は同じように見えた。それは相手が同族だからで、人相手となると違うだろう。参考程度に見ておかないと危ない。
初めて見る魔物同士の争いを意外と冷静に見れている自分に驚いていると、シザーが違う方向を睨んで険しい顔をした。
「またラウムリザードだ、配下含めて3体」
え!っと声が出そうになった口を自分で抑える。さすがにシザーとロイさんは冷静で、極力小さな声で話す。
「援軍だね」
「ああ、ロイ、援軍のリーダーは任せた。ナツメは予定通りここから援護だ。いいか、警戒を怠るな」
戦況を見ながら探索に赤マーカーが増えるのを待っていると、急にブワッ!と探索範囲が拡がる。レベルが上がったのだろう、マーカーの大きさにも変化があった。シザーの言っていた方向から赤マーカーが3つ来る。小さいのが2つ、大きめのが1つ。考えるのは後にして矢を番え、自分の役目に集中する。
少しして現れた援軍は片方に味方し、あっという間にケリがついた。残りは6体、シザーが頷いたのを合図に2人が飛び出していく。私は探索と隠密に気を配りながら状況を見る。
ロイさんが援軍の方へ疾走しながら詠唱する。その瞬間、3体が氷の竜巻に巻き上げられ、雄たけびをあげながら引き裂かれた。凄い…粉々だ。
シザーは飛ぶように走りながら、ラウムリザードの前に居た配下2体を一撃で薙ぎ払う。真っ二つになった配下の陰から毒剣が襲い掛かる。それを後ろへ飛んで避け、着地と同時に踏み切り…見えなくなった。刹那の出来事。気が付くとラウムリザードの首のない巨体が立ちすくんでいた。一瞬何があったのか分からなくなったが、転がっている首と、さっきとは逆の位置にいるシザーを見てやっと理解できた。私はシザーの動きを目で追えなかったのだ。なんて速さ…だがぼやっとしてられない、呆然としてしまった意識を戻して探索に集中する。もうこの辺りに魔物は居ない。
ラウムリザードはすごく強そうに見えたが、2人にかかったらあっという間に終わってしまった。2人が拳を合わせて笑いあうのを見て私も傍へ行った。
「お疲れさまでした」
声をかけるとロイさんが喜々として言う。
「ナッちゃん!見てくれた?僕の魔法!」
そう、今日は神様から魔力を解放してもらってから初めての実戦だった。
「一瞬で粉々、凄かった!」
魔力のない私から見れば羨望の的だ。若干興奮気味に答えるとシザーが不機嫌そうに割り込む。
「そう、粉々だ。討伐部位も、魔石も、ついでに地面もな」
と小さなクレーターが出来た地面をチラッと見る。あ、そうか…全部粉々になったんだ…。
「う、ま、まあ、ほら!実戦初めてだったし!次は気を付けるよ!」
「…ったく、他はいいがラウムリザードくらい残しとけよ、面倒になってまとめて粉々、その癖直せ」
「癖…?」
「ああ、こいつの悪い癖だ。面倒になるといつもこうだ、これでいくら損したか」
シザーは呆れている。
「い、いや~、今日は他に2体いるし、いいかなって」
「「…」」
「…ゴメンってば!そんな顔しないでよ!さあ!回収しよう!」
ロイさんは本当に反省してるのか?と思うほど軽く謝って回収に行く。私とシザーは顔を見合わせて苦笑いし、ロイさんに続いた。
残った魔物の回収を済ませ、別の場所でお昼を食べながらシザーが言った。
「予定ならこの後は採掘だったが、変更だ。…依頼は1体だったが、オルト山に居たのは2体。それは数が増えて群れを分けたと考えれば納得がいく。問題は後の1体は他から来た群れって事だ」
「ラウムリザードって結構強いんだよね、それに住処もこういう岩場で、自分たちより強い魔物ってなかなか居ないんだ。だからさっきみたいに群れ同士の争いなんて滅多にない」
ロイさんも説明してくれる。
「…元の住処に何があったかが重要って事?他にそういう群れが来ていないかとか調べるの?」
少し考え、思いつく事を口にする。やっぱり何かのフラグのような気がしてならない。
「ああ、そうだ」
シザーが満足そうに微笑んで続ける。正解だったようだ。
「これから調査して、他に異常がなければ明日くらいは採掘できる」
「うん、分かった。ありがとう」
それから日が暮れる寸前まで調査をしたが、他には何もなかった。野営地に戻ると馬はきちんとそこに居た。馬の世話はロイさんに任せて夕食の支度を済ませる。その間シザーは辺りを見回りに行った。暗くても見えるって便利。
夕食を食べながら探索が3になった事を言っておく。探索範囲の拡大とマークの大きさの違いなどを説明すると驚いていた。範囲に関してはシザーを超えたらしい。
寝る前、見張りのため火の前に座っているシザーの隣に行くと、子供みたいに胡坐を掻いた上に座らされて後ろから抱きしめられる。
「何だか嬉しそうだな」
「うん、だって、シザーより遠くまで探索できるんだよ?やっと少し役に立てる。今日みたいに何も出来ないで終わるのは…やっぱり…悪いっていうか」
「そんな事思ってたのか?お前が居るか居ねえかじゃ、天と地ほど差があるんだがな」
「…それって、ご飯とかの事じゃなかったの?」
今の私がこのパーティーで役に立てる事はあまりない。戦闘じゃ見つからないようにしているだけだし、他も今の所なくても困らない。唯一食事では役に立ててると思うが、それだけだった。せめて足手まといにならないように心掛けていたのだ。
「…馬鹿だな、わざわざ飯の為だけにメンバー増やすかよ」
「でも…」
「ノース村を救ったのは誰だ?」
「それは、たまたま砂糖の作り方知ってただけで…」
「違う、ナツメの優しさがあの村を救った」
「え」
「クリムさんも言ってただろ?儲けを自分だけの物にだって出来たはずだ、って。ファングの肉も、ナツメが言い出さなかったら分けたりしなかったと思うぜ。あの時の村人の嬉しそうな顔忘れたか?それに文字や計算だって教えた。大人まで先生って呼ぶんだぜ?俺らが教えた時とはえらい違いだ」
シザーは胡坐を崩し、自分の足の間に向かい合うように私を座らせる。
「レベルが高くて強いだけじゃダメだ。勿論身を守れる強さは必要だが、大事なのは心だ。心が無けりゃ強さもただの凶器だ。俺らは、そのままの、優しいナツメが欲しくて誘った。…分かったか?」
見つめながら優しく言われ、頷く。嬉しくて泣きそうになる。気になっていた、ここに居ていいのか。だから早く強くなりたかった。でもシザーが大事な事を教えてくれて心が軽くなった。急がなくていいんだ。私は今まで通り2人の為に頑張ろうと誓った。
「ありがと…嬉しい」
膝立ちになって自分からキスする。触れるだけの短いキス。シザーも嬉しそうに目を細めてキスしてくれた。
野営は中腹の少し手前の、比較的安全な場所ですることになった。馬を連れてこられるのはここまでで、明日は魔物除けのアイテムを設置して置いて行く。それでも魔物に襲われたら逃げてリグレスに戻るように教えられているので、繋いではいかないらしい。少し上にある採掘ポイントと、ラウムリザードの目撃地点までは歩きだ。
このオルト山とその麓に広がるバンテの森は、リグレスから子供の足でも半日ほどで着く近場だが、多種類の食材、素材、鉱石などがあり、珍しい物も採れる。それを採取しに訪れる街人も少なくない。その為ギルドから依頼を出して定期的に冒険者が異変がないか調査しにくる。
ウェアウルフとラウムリザードはそれぞれ群れのリーダーで、討伐してもまた次のリーダーが現れるため、調査時の重要なチェックポイントである。いくら魔除けのアイテムを持っていても万全ではないし、ちょっと剣を使えるくらいじゃ太刀打ちできないのだ。だから目撃されると緊急討伐依頼がだされるのだそうだ。
オルト山にはラウムリザードの群れの他に、ロックバードという鳥の魔物が生息している。これは群れを作らないしさほど脅威でもないが、見つかるとしつこく追ってきて空から攻撃されるのは面倒だという。空への注意も怠るな、と忠告を受けた。
☆
翌朝、準備が済み次第出発した。今日の攻撃はロイさんがメインだ。ラウムリザードは氷魔法が弱点で、シザーも使えるが攻撃として役に立つほどではないらしい。ロイさんはラウムリザードを集中して狙い、シザーはその配下のリザードを片付ける。私は隠密で隠れてサポートと、ロックバードへの警戒、という役割分担だ。
登り始めて1刻半、時折出るロックバードやラット(猫くらいの大きさのネズミの魔物)を退治しながら歩く。目撃地点まではあと1刻はかかると思っていたが、シザーが何かの喧騒に気が付いて眉を寄せる。
「魔物同士の争いだが…どっちもラウムリザードだ。配下を含めると9体」
「え、それって…」
「考えるのは後だ。視認出来る位置まで行き、どちらかのリーダーが倒されるまで待つ。気を付けろ」
何か察して言おうとしたロイさんを遮って歩を進めた。気配を消し、隠れながら進むと私の探索にも赤マーカーが現れた。9体が見える位置まで来て岩陰に身を潜め、息を殺して様子を窺う。
ラウムリザードは他より飛び抜けて大きくすぐに分かった。青紫の強固そうな鱗、黒い2本の角、それに長く太い尻尾にある毒針。鱗が変形した物らしいが針なんて可愛い物じゃない、剣だ。レイピアの様に大きく鋭い。しかも違う方向に向けて3本ある。土魔法も使えると聞いたが、尻尾での攻撃が多い。リーダー同士じゃ魔法も毒も効かないだろうから、これが一番有効なのだろう。配下のリザードには、赤や緑の鱗の物が居るがやはり攻撃方法は同じように見えた。それは相手が同族だからで、人相手となると違うだろう。参考程度に見ておかないと危ない。
初めて見る魔物同士の争いを意外と冷静に見れている自分に驚いていると、シザーが違う方向を睨んで険しい顔をした。
「またラウムリザードだ、配下含めて3体」
え!っと声が出そうになった口を自分で抑える。さすがにシザーとロイさんは冷静で、極力小さな声で話す。
「援軍だね」
「ああ、ロイ、援軍のリーダーは任せた。ナツメは予定通りここから援護だ。いいか、警戒を怠るな」
戦況を見ながら探索に赤マーカーが増えるのを待っていると、急にブワッ!と探索範囲が拡がる。レベルが上がったのだろう、マーカーの大きさにも変化があった。シザーの言っていた方向から赤マーカーが3つ来る。小さいのが2つ、大きめのが1つ。考えるのは後にして矢を番え、自分の役目に集中する。
少しして現れた援軍は片方に味方し、あっという間にケリがついた。残りは6体、シザーが頷いたのを合図に2人が飛び出していく。私は探索と隠密に気を配りながら状況を見る。
ロイさんが援軍の方へ疾走しながら詠唱する。その瞬間、3体が氷の竜巻に巻き上げられ、雄たけびをあげながら引き裂かれた。凄い…粉々だ。
シザーは飛ぶように走りながら、ラウムリザードの前に居た配下2体を一撃で薙ぎ払う。真っ二つになった配下の陰から毒剣が襲い掛かる。それを後ろへ飛んで避け、着地と同時に踏み切り…見えなくなった。刹那の出来事。気が付くとラウムリザードの首のない巨体が立ちすくんでいた。一瞬何があったのか分からなくなったが、転がっている首と、さっきとは逆の位置にいるシザーを見てやっと理解できた。私はシザーの動きを目で追えなかったのだ。なんて速さ…だがぼやっとしてられない、呆然としてしまった意識を戻して探索に集中する。もうこの辺りに魔物は居ない。
ラウムリザードはすごく強そうに見えたが、2人にかかったらあっという間に終わってしまった。2人が拳を合わせて笑いあうのを見て私も傍へ行った。
「お疲れさまでした」
声をかけるとロイさんが喜々として言う。
「ナッちゃん!見てくれた?僕の魔法!」
そう、今日は神様から魔力を解放してもらってから初めての実戦だった。
「一瞬で粉々、凄かった!」
魔力のない私から見れば羨望の的だ。若干興奮気味に答えるとシザーが不機嫌そうに割り込む。
「そう、粉々だ。討伐部位も、魔石も、ついでに地面もな」
と小さなクレーターが出来た地面をチラッと見る。あ、そうか…全部粉々になったんだ…。
「う、ま、まあ、ほら!実戦初めてだったし!次は気を付けるよ!」
「…ったく、他はいいがラウムリザードくらい残しとけよ、面倒になってまとめて粉々、その癖直せ」
「癖…?」
「ああ、こいつの悪い癖だ。面倒になるといつもこうだ、これでいくら損したか」
シザーは呆れている。
「い、いや~、今日は他に2体いるし、いいかなって」
「「…」」
「…ゴメンってば!そんな顔しないでよ!さあ!回収しよう!」
ロイさんは本当に反省してるのか?と思うほど軽く謝って回収に行く。私とシザーは顔を見合わせて苦笑いし、ロイさんに続いた。
残った魔物の回収を済ませ、別の場所でお昼を食べながらシザーが言った。
「予定ならこの後は採掘だったが、変更だ。…依頼は1体だったが、オルト山に居たのは2体。それは数が増えて群れを分けたと考えれば納得がいく。問題は後の1体は他から来た群れって事だ」
「ラウムリザードって結構強いんだよね、それに住処もこういう岩場で、自分たちより強い魔物ってなかなか居ないんだ。だからさっきみたいに群れ同士の争いなんて滅多にない」
ロイさんも説明してくれる。
「…元の住処に何があったかが重要って事?他にそういう群れが来ていないかとか調べるの?」
少し考え、思いつく事を口にする。やっぱり何かのフラグのような気がしてならない。
「ああ、そうだ」
シザーが満足そうに微笑んで続ける。正解だったようだ。
「これから調査して、他に異常がなければ明日くらいは採掘できる」
「うん、分かった。ありがとう」
それから日が暮れる寸前まで調査をしたが、他には何もなかった。野営地に戻ると馬はきちんとそこに居た。馬の世話はロイさんに任せて夕食の支度を済ませる。その間シザーは辺りを見回りに行った。暗くても見えるって便利。
夕食を食べながら探索が3になった事を言っておく。探索範囲の拡大とマークの大きさの違いなどを説明すると驚いていた。範囲に関してはシザーを超えたらしい。
寝る前、見張りのため火の前に座っているシザーの隣に行くと、子供みたいに胡坐を掻いた上に座らされて後ろから抱きしめられる。
「何だか嬉しそうだな」
「うん、だって、シザーより遠くまで探索できるんだよ?やっと少し役に立てる。今日みたいに何も出来ないで終わるのは…やっぱり…悪いっていうか」
「そんな事思ってたのか?お前が居るか居ねえかじゃ、天と地ほど差があるんだがな」
「…それって、ご飯とかの事じゃなかったの?」
今の私がこのパーティーで役に立てる事はあまりない。戦闘じゃ見つからないようにしているだけだし、他も今の所なくても困らない。唯一食事では役に立ててると思うが、それだけだった。せめて足手まといにならないように心掛けていたのだ。
「…馬鹿だな、わざわざ飯の為だけにメンバー増やすかよ」
「でも…」
「ノース村を救ったのは誰だ?」
「それは、たまたま砂糖の作り方知ってただけで…」
「違う、ナツメの優しさがあの村を救った」
「え」
「クリムさんも言ってただろ?儲けを自分だけの物にだって出来たはずだ、って。ファングの肉も、ナツメが言い出さなかったら分けたりしなかったと思うぜ。あの時の村人の嬉しそうな顔忘れたか?それに文字や計算だって教えた。大人まで先生って呼ぶんだぜ?俺らが教えた時とはえらい違いだ」
シザーは胡坐を崩し、自分の足の間に向かい合うように私を座らせる。
「レベルが高くて強いだけじゃダメだ。勿論身を守れる強さは必要だが、大事なのは心だ。心が無けりゃ強さもただの凶器だ。俺らは、そのままの、優しいナツメが欲しくて誘った。…分かったか?」
見つめながら優しく言われ、頷く。嬉しくて泣きそうになる。気になっていた、ここに居ていいのか。だから早く強くなりたかった。でもシザーが大事な事を教えてくれて心が軽くなった。急がなくていいんだ。私は今まで通り2人の為に頑張ろうと誓った。
「ありがと…嬉しい」
膝立ちになって自分からキスする。触れるだけの短いキス。シザーも嬉しそうに目を細めてキスしてくれた。
あなたにおすすめの小説
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って?
いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。