女装令嬢奮闘記

小鳥 あめ

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騎士は色男 ②

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 ジューシーな肉が串にささったラム肉の串焼きを頬張りながら、露店巡りをする、普段の貴族令嬢の恰好では下品だと感じてしまい出来なかった事も、教会を手伝っている町娘だと思うとすんなりと出来てしまうのが不思議だ。横にいるグラデウスも紙に包まれただけの蒸しパンをモグモグと食べている。いつもは小食なのに今日は調子がいいみたい。彼は領主としての責任感が強いからいつも気を張って居なければいけなくて大変なのだ。
 
 こうして唯の騎士としてなら、何の疲れも無く過ごせるんじゃないだろうか、またハンスにお願いして。身分の入れ替わりして貰おうかな。こういう気楽な立場で遊ぶのも気分転換になっていいし。

 串焼きを食べ終わると、グラデウスが僕の顔を覗き込みフフッと楽し気に笑う。頬についてるぞと言われハンカチで拭われて大変恥ずかしい思いをした。

もう!子供じゃないっていうのに。でもそのあとに優しく口づけをしてくれたから許してあげよう。

 バザーの露店では食べ物や衣料品、小物のほかに、人形劇などもやっている。

張りぼての舞台の上で真っ黒な布を被った人々が、手にそれぞれ操り人形を持って劇を披露していた。

勇敢な勇者と、気高い姫君のお話。

たしか、この話は初代国王とその王妃をモデルにしたお話なはず。多少誇張して作られているらしいが、筋書きは歴史書道理なのだとか。
初代国王と王妃は仲睦まじく、崩壊した国を立て直していきましたと。お話は終わる。

今この国は、そのお話の続きであるのだ。

初代から国王と王妃は仲睦まじくていらっしゃるが、今の代は少しややこしいことになっている。第一王子と第二王子、同じ王妃から生まれているのにかかわらず。二人の見目は正反対と言うように違うのだとか。第一王子は今の国王生き写しの美丈夫で、片や第二王子は初代国王に瓜二つの先祖返りの容姿を持っているのだという。

 それにより、初代の頃から国を支えてきた重鎮たちが、先祖がえりである第二王子の方が次代を継ぐのにふさわしいなどと言い出して、王子たちの意志など関係なく、口を出してくるのだとか。
いや、口だけでならまだましで、強硬派の連中は黒魔術師を雇い入れ第一王子の暗殺までもくろんでいる。
 そして被害にあったのが、王宮騎士だったグラデウスだ。

 今は受けていた傷と呪いも落ち着いてきて、たまにしか発症しなくなったけれど、時折一人で頭を抱えていることがあって、心配になってしまう。
まだまだ幼い仮の婚約者である僕では、彼の役に立てないのは分かってるけれど、もう少しは頼れる存在になりたいな。その為にももっと魔術について学ばないといけないんだけどね。

 劇を見終わり、舞台に小銭を投げた後、僕たちは教会に戻ることにした。中にはハンスが居て場所を取ってくれているらしいし、師匠の晴れ姿もこの目に焼き付けておかないとね。


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