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#103 終戦編 果実5口目ー幽永毒蛇

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『終戦編 果実5口目ー幽永毒蛇』
――建物カルデアから少し離れた森奥
ザッザッザッ
キノコ「…」
紅姫「キノコさん…」
キノコ「くそ…っ…!!」
翡翠「…仕方なかったよ」
ポイズン「无名」
无名「!」
ポイズン「キノコの治療も頼む」
无名「分かったわ」
ポイズン「よくやったよ充分だキノコ」
キノコ「…!!」
ポイズン「今は傷を癒せ。目が覚めるまでケイパンと鬼姫の隣にも」
キノコ「…うん」
スタッ
ポイズン「…」
?「私の相手?」

撫堵「同じ匂いがする…よろしくね」
――神格者【毒神】撫堵

ポイズン「…同じ匂い?」

撫堵「能力【幽永毒蛇ユウエイドクジャ】」

○撫堵能力―【幽永毒蛇ユウエイドクジャ
=周囲のものを毒に変え自由に操作する

撫堵「わかった?」
ポイズン「毒…!!」
撫堵「…よいしょっ」
グァッ
撫堵「見極めさせてもらうね…敵かどうか」
ボソッ
ポイズン「?」
ドドンッ
ポイズン『ベノムウォール』!!!
ズァアアアアアアアアアアッ
撫堵「アビスイーター
ズバッ
ポイズン「!」
撫堵「液状の毒なんだね」
ポイズン「斬れんのか…!!」
スタッ
撫堵「毒使いの鎌だもん」
フゥッ
撫堵『毒蜘蛛どくぐも
ポイズン「!!」
ガバッ
撫堵「私の毒は霧なんだ…どっちが強いだろ」
ポイズン『ベノムソード』ッ!!!
ズダァァァン
ババッ
撫堵「…範囲は―」
ドロォッ
ジュワッ
撫堵「!」
スッ
ポワワワワ
撫堵(かわしたと思ったのに…当たってた…?)
ポイズン「やっぱりか」
撫堵「?」
ポイズン「同じ毒の能力持ちなら…解毒も出来るんだな」
撫堵「…私で試したの?」
ポイズン「俺が先に食らってれば自分で試してたよ」
撫堵「当たってくれても良かったけど」
ポイズン「そこは流石にフェアに行こう」
撫堵「じゃあ次は君がくらってみる番だ」
スッ
パチンッ
ドンッ
ザククククククッ
ポイズン「!」
ババッ
ポイズン「あっ―ぶな…!!」
撫堵「危なかったね…これで終わりならね」
モクモク
ポイズン「なんだその…不気味な手は」
撫堵「霧で纏って大きく見せてるだけだよ」
ズッ
撫堵「まぁ―範囲は君より広いけど」
ズズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
ポイズン「…ッ!!」
撫堵「息止めても無駄だよ」
ジュワッ
ポイズン「!?」
撫堵「私の霧は体表から侵入して蝕むことだって出来る」
ポイズン「…っぶは!!」
ジリッ
ポイズン「そうかよ…!!」
ポワワワワ
撫堵(解毒…あの量でも正気を保てるんだ)
ポイズン「…ふぅ」
ポイズン(手一杯になっちまう…効かないからってくらいまくってもいい事は無さそうだな…)
撫堵「…」
撫堵(お互いに有効打がない…どうしよっかな)
ポイズン「考え事か」
撫堵「どう攻めようかなって」
ポイズン「っはは」
ドロォッ
ポイズン「結構のんびりしてるんだな」
撫堵「よく言われるよ…美嘉ちゃんにも怒られたな」
ポイズン「美嘉?もう出てきた人格か?」
撫堵「ううん…というか人格のこと知ってるんだ…?」
ポイズン「来る途中で无名が話してくれたんだ」
撫堵「なるほど…美嘉ちゃんは私を倒したら出てくるよ」
ポイズン「!」
撫堵「人格の中で最強格。咲良ちゃんを除けば神格者で1番強い」
ポイズン(まだ裏にそんな化け物が隠れてんのか…!!)
撫堵「考えたら凄いよね君達も」
ポイズン「…?」
撫堵「私を倒してもまだ美嘉ちゃんと咲良ちゃんがいる…文字通り規格外な2人が残ってるこの地獄をまだ突破しようと思ってる」
ポイズン「…まぁな」
ドロォッ
撫堵「!」
ポイズン「地獄なんて何度も経験してきてるんだ…今更怯えたりしない」
ドンッ
ポイズン「随分長く話しちまったな!!」
撫堵(もう少し話してても良かったけど)
撫堵「そうだね」
ポイズン『ギフト』!!
ブンッ
撫堵「毒の玉…?」
スパッ
シュゥゥゥゥゥ
撫堵「!」
ポイズン『ベノムミスト』
撫堵(毒霧…)
ダダッ
ポイズン『ベノムハンド』ッ!!!
ッドドォォォォォォォン
ジジジ
ポイズン「こんな視界不良でも防げんのか…!!」
撫堵「足音で分かる」
ポイズン「なるほ―ッ!?」
ガクッ
ポイズン「…!?」
撫堵『毒霧どくぎり
シュゥゥゥゥゥ
撫堵「気づかなかった?もう君の撒いた毒じゃないよ」
ポイズン「いつの間に…なんてな」
ニカッ
撫堵「…?」
ポイズン「注意報だ」
クイッ
撫堵「上―!?」
ポイズン『ドラクト』
ズドドドドド
撫堵「…ッ!!!」
グルルルルルルッ
ババババババババッ
ポイズン「そんな使い方も出来んのかよ…その鎌……」
撫堵「驚いた…捨て身で特攻してくるなんて」
ポイズン「別に最初からそのつもりだった訳じゃねぇ」
撫堵「!」
ポイズン「思いついたから行動に写しただけだ」
撫堵「へぇ…天才ってやつなのかな」
フワッ
ポイズン「は?」
撫堵「よいしょっ」
フワフワ
ポイズン「いやいや…ちょ待て待て待て!!!」
撫堵「どうしたの…?」
ポイズン「いやおかしいだろ!なんで浮いてんだよ!!」
撫堵「鎌が回転してるから」
ポイズン「あー…聞いた俺が馬鹿だったのか…?」
撫堵「逃げなくてもいいの?」
ポイズン「…?」
撫堵「この鎌にはさっき弾いた時に同時に染み込んだ君の液状の毒がたっぷり付着してるよ」
バララララッ
ポイズン「嘘だろ…ッ!!」
撫堵「注意報だね」
クスッ
撫堵『ドクコプター』
ズドドドドドドドドドドド
ポイズン『ベノムウォール』!!!
ッドドォォォォォォォン
ポイズン(自分の毒に苦しめられるなんて…!!)
スタッ
撫堵(楽しかった今の技…もっかいやりたいな)
撫堵「生きてる?」
パラパラ
ポイズン「自分の毒でくたばってたまるか」
撫堵「それもそうだね」
ポイズン(…効くかは駆けだな)
ドロォッ
撫堵「…」
ポイズン『ベノムガン』
ドンッ
ジュワッ
撫堵「ただ毒付与しただけじゃ―」
ポイズン「…蠢け」
クイッ
グワワワワワワワワ
撫堵「!?」
ドロロロロロロロロ
撫堵「なに…これ…!!」
ポイズン「遠隔操作だ」
撫堵「!」
ポイズン「打ち込んだ毒は少量だが中で拡散させてる…解毒が間に合わなかったら詰みだ」
撫堵「…がふっ」
ボタボタボタボタッ
撫堵「――…」
スッ
撫堵「…丁度いいや」
ポイズン「?」
撫堵「もう解毒じゃ間に合わない―だから」

ーーーーーー
美嘉「偉大なる毒神の御霊…彼女にその力を」
ーーーーーー

撫堵「…託したよ美嘉ちゃん」
ドクンッ

撫堵【毒神蛇の撫堵】

ポイズン「それが…命を尽くす万策か」
毒神蛇「さっきの子は牌那ちゃんのこの姿嫌がってたね」
ポイズン「キノコは優しいからな」
毒神蛇「…君は違う?」
ポイズン「相手を生かすことだけが救いに必ず繋がるとは思わない」
毒神蛇「!」
ポイズン「勝手な憶測だけどな…向き合うんなら咲良じゃねぇかと」

ーーー
美嘉「アイツらと打ち解けるべきは私達じゃない…だからぶつかる」
ーーー

毒神蛇「…」
クスッ
ポイズン「どうした?」
毒神蛇「ううん、なんでも」
シュルル
毒神蛇「この状態の私…打ち負かしてみてほしい」
ポイズン「!」
毒神蛇「…せいぜい呑まれないようにね」
ドンッ
毒神蛇『バイオレットレンス』
シュゥゥゥゥゥ
ポイズン「霧で撹乱しようとしても同じだ!」
ドロォッ
ポイズン『ベノムプール』!!
ドロロロロロロロロ
シュルル
グググッ
ポイズン「ッ!?」
ミシミシッ
ポイズン「どうした…急に戦法変わったな……ッ!!」
毒神蛇「お互いに毒が有効打にならないからね…仕方ないよ」
ギュルルルルルル
毒神蛇「締め付けて苦しめる」
ポイズン「そうか…締めつけか…!!」
ドロォッ
毒神蛇「!」
ジュワッ
ポイズン「…っはは」
毒神蛇「この状態でも…そんなこと出来るんだ」
ポイズン「離れねぇと俺の毒どんどん侵攻しちまうぞ」
毒神蛇「拡散する毒が身体の中に1個2個増えた所で今更だよ」
ググッ
ミシミシッ
ポイズン「…ッ!!」
毒神蛇「それに―」
毒神蛇『バイオレットレンス』
シュゥゥゥゥゥ
ポイズン「ん――ッ!?」
毒神蛇「同じ攻め方も出来る。私はどの道死ぬ命だけど君は違う…不利なのは君だよ」
ポイズン「…!!」
ポイズン(解毒に回すか…だがそしたら攻め手が消える…!!)
ポイズン「…いや」
ドロロロロロロロロ
ポイズン『毒龍ヒュドラ』ッ!!!
ズォオオオオオオオオオオオオオッ
毒神蛇「!」
ババッ
シュルル
ポイズン「っは…っは…離れてくれて助かった」
ニカッ
毒神蛇「今の技…仕上がってるね」
ポイズン「最終必殺技みたいなもんだよ」
ポワワワワ
毒神蛇「…」
ポイズン「…ふぅ」
ドサッ
ポイズン「!」
毒神蛇「……」
ポイズン「おい…お前…」
毒神蛇「生きてるよ」
ポイズン「なんかの…作戦か?」
毒神蛇「ふふっ仮に作戦だとしても言わないでしょ」
クスッ
毒神蛇「もう…いいかなって」
ポイズン「…」
毒神蛇「死んじゃう前に聞いていい?」
ポイズン「なんだ…?」
毒神蛇「君達は200年前からずっと四神と対峙してきたんだよね」
ポイズン「あぁ」
毒神蛇「もういいやとか…疲れないの?」
ポイズン「…」
毒神蛇「…?」
ポイズン「…っふは!それが聞きたいことなのか」
クスッ
毒神蛇(笑われた…)
ポイズン「疲れはするさ…でも諦めようとは思わない」
毒神蛇「どうして」
ポイズン「一緒に戦ってくれる仲間がいるからだ」
毒神蛇「!」
ポイズン「1人じゃ無理でも足並みを揃えてくれる仲間が…肩を貸してくれる仲間がいる。だから自分だけ諦めようなんて気持ちにはならない」
毒神蛇「…そっか」
スッ
毒神蛇「仲間の話も聞かせてよ」
ポイズン「えぇ…?」
毒神蛇「いいじゃん。死ぬ前に土産話として聞いときたい」
ニコッ
ポイズン「仲間の話…ってもな」
毒神蛇「…」
ポイズン「キノコは抜けてる所はあるけど人一倍責任感が強くて優しい。ケイパンは馬鹿することもあるがずっと俺達を繋いでくれてる。なによりアンデッドは替えが効かない俺達の大切なリーダーだ」
毒神蛇「…うん」
ポイズン「こっちの話をしたんだ。そっちも話してくれよ」
毒神蛇「私達の?」
ポイズン「全員と会ったわけじゃないからな」
毒神蛇「気になるんだ」
ポイズン「あぁ」
毒神蛇「…皆いい子だよ。ずっと一緒に居て飽きなかった…私達のリーダーは美嘉ちゃんかな」
ポイズン「咲良じゃないのか!」
毒神蛇「咲良ちゃんが?無理無理」
クスッ
毒神蛇「私達を集めたのは美嘉ちゃんだよ。でも中心に居たのは咲良ちゃんだったんだ」
ポイズン「…」
毒神蛇「翠ちゃんは怒りっぽいけど面白くて…一伍ちゃんはいつでも元気で楽しませてくれてた。凛ちゃんは引っ込み思案だけどそこが可愛くって牌那ちゃんは…困った時に頼れる存在だった」
スッ
毒神蛇「そして咲良ちゃんと美嘉ちゃんは特別仲が良かった…あの日も」
ポイズン「あの日?」
毒神蛇「話は終わり~」
ポイズン「おいっ」
毒神蛇「自分で言ってくれたじゃん。向き合うんなら咲良ちゃんって」
ポイズン「!」
毒神蛇「真実は…あの子に聞いてあげてね。恨むも救うも全部君達の自由にしていいから」
ズズズ
毒神蛇「巻き込んじゃうから離れて?」
ポイズン「!」
毒神蛇「初めてだな…自分に使うの」

毒神蛇「彼の者を蝕め。アビスイーター
毒神蛇『蟒蛇うわばみ

ズズズズズズズズズズズズ
撫堵「…ごほっ」
ドパァッ
撫堵「きっつ……」
ポイズン「…!!」
撫堵「自分の判断だよ。そんな硬い表情しなくってもさ」
スッ
撫堵「仲間の話とか…我儘聞いてくれてありがとうね」
ゴポポッ
撫堵「
ニコッ
シュゥゥゥゥゥ…
ポイズン「…」
ケイパン「ポイズン!」
ポイズン「!」
无名「良かった…無事だったのね」
ポイズン「ケイパン…鬼姫にキノコも目が覚めたのか」
鬼姫「うむ」
キノコ「ポイズン…あの子は」
ポイズン「…俺が勝った」
キノコ「…そっか」
翡翠「キノコ…」
紅姫「…」
鬼姫「仮に本当に咲良が被害者なのじゃとしたら―巨悪は1人」
ポイズン「…四神か」
无名「あの2人…無事なのかしら」
ポイズン「キノコ」
キノコ「!」
ポイズン「撫堵…あぁ俺が戦った奴が言ってたんだ」

ーーー
撫堵「真実は…あの子に聞いてあげてね」
ーーー

ポイズン「俺達は何としても咲良を引っ張らなきゃいけない」
キノコ「…」
ポイズン「だから一緒に戦おう。優しさを力に変えてくれ」
ケイパン「ポイズン…キノコ…」
キノコ「――…!!」
グシッ
キノコ「うん…うん!分かった!!」
ポイズン「…」
ニコッ
翡翠「それで…次来る人って」
鬼姫「うむ。全員気を引き締めて欲しい」
翡翠「!」
鬼姫「最後の人格…異例の強さをしているが…必ず勝とう」
全員「あぁ!!」

ーーーーーー
美嘉「…」
ザッザッザッ
美嘉「翠。一伍。凛。牌那。撫堵。咲良」
グッ
美嘉「――勝つよ」
パクッ
ーーーーーー



撫堵
VS
ポイズン
――勝者 ポイズン

終戦編 果実5口目ー幽永毒蛇 ~完~
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