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20.元親友との久々の邂逅
亜美は、最近の俊介に不信を抱きつつあるので、浮気の証拠を詩織に見せてもらうことに決めた。でも、かつてのように大衆居酒屋の個室で盃を交わしながら元親友と語り合う気はない。
平日昼間、亜美は詩織の指定したカフェに向かった。亜美が詩織の名前を出すと、個室に案内された。中に入ると、詩織は既に来ていた。
「あみりん、久しぶり!」
絶縁して1年以上会っていなかったブランクなどまるでないかのように、詩織は亜美の姿を見て笑顔で手を振り、ニックネームで呼んだ。彼女のあまりの馴れ馴れしさに亜美は面食らった。
「あ、え、お久しぶりです」
「やだ、あみりんと私の仲じゃない、そんなによそよそしくしないで」
「いえ、友達でもない方に馴れ馴れしくできませんから」
詩織は途端に口を噤み、顔を顰めた。
「私達の仲は変わらない! ずっと親友よ」
「はぁ……そう思っていただくのは勝手ですけど、今日は友達と遊ぶつもりでここに来たんじゃないんです。夫のことで何かよからぬ証拠があるとかないとか……それをはっきりさせたいから来たんです」
「……そうよね。じゃあ、この写真をよく見て。この女に心当たりない?」
その写真は、詩織がメッセージアプリで送ってきたのと同じものだった。俊介と女性がそれぞれ1人で同じラブホテルから出てきている。
「これ、同じ日に撮ったとは限らないでしょう? それに一緒に出てきているわけじゃないから、この女性が俊と関係あるとは限らないでしょう?」
「興信所は同じ日だと報告してきた。時間も分単位まで分かってるの」
「でも私がそれを信じる理由も証拠もない」
「でもそうだとしても、ラブホテルよ。俊介さんは出張で行っていたはずなのにどうしてラブホテルなんて行く必要があったのかしら? ラブホテルでやることって言ったら、アレしかないでしょう?」
それは亜美も引っ掛かっていたところだった。
「と、泊まるところが手違いで予約されてなかったとか?」
「でもこれ撮ったの、名古屋よ。わざわざラブホテルに行かなくても、いくらでも他の普通のホテルがあるわよね?」
真っ当なことを言われて論破され、亜美はぐうの音も出なかった。
「それより、今度はこっちの写真をよく見て。メッセージ送った後、この写真が撮れたの」
「え? これって……まさか?!」
別の場所で撮った写真を見せられて、その女性が誰なのか、亜美は今度こそはっきりと分かり、目の前が真っ暗になった。その写真では、俊介が女性と2人並んで路上を歩いており、女性が俊介に腕を絡めている。
「そう、貴女もよく知っているわよね」
「でも、彼女が一方的に腕を組もうとしているようにしか見えないわ」
「そうね。探偵によれば、俊介さんが腕を振り払ったような感じに見えたみたいよ。だから彼女が腕を絡めていたのは、ほんの一瞬」
「ほら、そうでしょ」
「でもそれって、その時は俊介さんが彼女を振り払いたかったってだけで、彼女は俊介さんと腕を組むぐらい親密な関係だと思っているってことじゃないの?」
「それって彼女の片想いでしょう?」
「そうかな? 不倫に盛り上がった男女のただの痴話喧嘩じゃないの?」
「やめて! もう聞きたくない! 私の気持ちを振り回すのはやめて!」
亜美は耳を塞いで叫んだ。カフェの個室でも大声を出せば当然のことながら、周囲には聞こえてしまう。でも亜美はそんなことに気を遣う余裕を失っていた。
「でもここに来たのは、はっきりさせたかったからでしょう? この資料はあげる。胡散臭い男と離婚するかどうか、よく考えるといいわ。夜6時までこの部屋はとってあるから、それまでここにいてもいいわよ」
詩織はそう言ってカフェの個室を出て行った。亜美はしばらくの間、呆然として立ち上がる力もなかった。
平日昼間、亜美は詩織の指定したカフェに向かった。亜美が詩織の名前を出すと、個室に案内された。中に入ると、詩織は既に来ていた。
「あみりん、久しぶり!」
絶縁して1年以上会っていなかったブランクなどまるでないかのように、詩織は亜美の姿を見て笑顔で手を振り、ニックネームで呼んだ。彼女のあまりの馴れ馴れしさに亜美は面食らった。
「あ、え、お久しぶりです」
「やだ、あみりんと私の仲じゃない、そんなによそよそしくしないで」
「いえ、友達でもない方に馴れ馴れしくできませんから」
詩織は途端に口を噤み、顔を顰めた。
「私達の仲は変わらない! ずっと親友よ」
「はぁ……そう思っていただくのは勝手ですけど、今日は友達と遊ぶつもりでここに来たんじゃないんです。夫のことで何かよからぬ証拠があるとかないとか……それをはっきりさせたいから来たんです」
「……そうよね。じゃあ、この写真をよく見て。この女に心当たりない?」
その写真は、詩織がメッセージアプリで送ってきたのと同じものだった。俊介と女性がそれぞれ1人で同じラブホテルから出てきている。
「これ、同じ日に撮ったとは限らないでしょう? それに一緒に出てきているわけじゃないから、この女性が俊と関係あるとは限らないでしょう?」
「興信所は同じ日だと報告してきた。時間も分単位まで分かってるの」
「でも私がそれを信じる理由も証拠もない」
「でもそうだとしても、ラブホテルよ。俊介さんは出張で行っていたはずなのにどうしてラブホテルなんて行く必要があったのかしら? ラブホテルでやることって言ったら、アレしかないでしょう?」
それは亜美も引っ掛かっていたところだった。
「と、泊まるところが手違いで予約されてなかったとか?」
「でもこれ撮ったの、名古屋よ。わざわざラブホテルに行かなくても、いくらでも他の普通のホテルがあるわよね?」
真っ当なことを言われて論破され、亜美はぐうの音も出なかった。
「それより、今度はこっちの写真をよく見て。メッセージ送った後、この写真が撮れたの」
「え? これって……まさか?!」
別の場所で撮った写真を見せられて、その女性が誰なのか、亜美は今度こそはっきりと分かり、目の前が真っ暗になった。その写真では、俊介が女性と2人並んで路上を歩いており、女性が俊介に腕を絡めている。
「そう、貴女もよく知っているわよね」
「でも、彼女が一方的に腕を組もうとしているようにしか見えないわ」
「そうね。探偵によれば、俊介さんが腕を振り払ったような感じに見えたみたいよ。だから彼女が腕を絡めていたのは、ほんの一瞬」
「ほら、そうでしょ」
「でもそれって、その時は俊介さんが彼女を振り払いたかったってだけで、彼女は俊介さんと腕を組むぐらい親密な関係だと思っているってことじゃないの?」
「それって彼女の片想いでしょう?」
「そうかな? 不倫に盛り上がった男女のただの痴話喧嘩じゃないの?」
「やめて! もう聞きたくない! 私の気持ちを振り回すのはやめて!」
亜美は耳を塞いで叫んだ。カフェの個室でも大声を出せば当然のことながら、周囲には聞こえてしまう。でも亜美はそんなことに気を遣う余裕を失っていた。
「でもここに来たのは、はっきりさせたかったからでしょう? この資料はあげる。胡散臭い男と離婚するかどうか、よく考えるといいわ。夜6時までこの部屋はとってあるから、それまでここにいてもいいわよ」
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