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第1章 疑似兄妹
2.幼き日々の交流
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パトリツィアがごく幼い頃、民主化運動はまだ下火で治安はそれほど悪くはなかったので、パトリツィアは婚約者と交流するために、父親が出仕するついでにしょっちゅう王宮に連れて来られていた。逆にルイトポルトもごくたまにではあるが、ツェーリンゲン公爵家のタウンハウスまでパトリツィアを訪ねることもあった。
「パティ、こっちへおいで」
「ルイにいたま!」
ルイトポルトはパトリツィアと会うと、いつも彼女を膝の上に乗せて甘えさせた。ルイトポルトはパトリツィアの頭をよしよしと撫でながら、彼女がたどたどしい口調でいろいろしゃべるのを聞くのが好きだった。そのうちにしゃべり疲れたパトリツィアがこくりこくりと船をこぐようになると、ルイトポルトの寝台で少し寝かせてあげてからツェーリンゲン公爵家の馬車までルイトポルト自ら彼女を運んであげるのがルーチンだった。
いつしかパトリツィアは最後まで起きていられないのがしゃくにさわって膝の上に乗せられたり、頭を撫でられたりするのを拒否したこともあった。でもそうすると、ルイトポルトが悲しそうにパトリツィアを見るので、彼女のささやかな抵抗も大抵中途半端に終わるのだった。
最初のうちは、近衛騎士や公爵家の護衛騎士は恐縮し、眠り込んでしまったパトリツィアを自分たちが運ぶとルイトポルトに申し出たが、ルイトポルトが譲らなかったので、そのうち騎士達は何も言わなくなった。だがパトリツィアが5歳の頃、ツェーリンゲン公爵家の新顔の少年護衛騎士がルイトポルトにお嬢様を運びましょうかと声をかけた。
「いや、私がやりたくてやっているんだから、よい」
「かしこまりました。差し出がましいことを申しまして失礼いたしました」
「お前、そう言えば見たことない顔だな。新人か?」
「はい、先月15歳になってパトリツィア様の護衛騎士に正式に任命されました。ゲオルグと申します」
パトリツィアやルイトポルトの祖父の世代ぐらいまでは社交界デビューする15歳が成人とみなされていたが、今では18歳が成人である。騎士学校を卒業して正騎士になるのなら、卒業直後の18歳から働き始めるのが普通だ。しかし騎士学校に通える財力のない平民の場合、10~12歳ぐらいから従騎士として見習いを始めて正騎士になるしかなく、その場合は実力があれば15歳で正騎士になることもできる。ゲオルグは、パトリツィアの乳母で今は侍女として仕えているナディーンの息子で、従騎士から正騎士に昇格してパトリツィアの専属護衛騎士の1人になった。
ゲオルグに出会ってからしばらくしてルイトポルトは久しぶりにツェーリンゲン公爵家を訪れた。先触れは出したが、パトリツィアを驚かせようと思って彼女には内緒にしてくれるように公爵家の執事に頼んでおいた。ルイトポルトは、パトリツィアが予期せぬ訪問に大喜びして自分に飛びついてくるだろうと想像するだけで顔が綻んだ。12歳のルイトポルトにとって5歳の婚約者は恋愛対象ではないものの、赤ん坊の時からかわいがっていて目の中に入れても痛くない妹のような存在になっていた。
執事の案内でパトリツィアのいる所に着くと、そこはタウンハウス敷地内の公爵家の騎士団の訓練場だった。執事がパトリツィアと侍女ナディーンに王太子の訪問を告げようとしたが、ルイトポルトはパトリツィアを驚かせたくて目で制止した。こっそり背後から近づいていくと、パトリツィアが目を輝かせて騎士達の練習を見学しているのに気付いた。その視線の先には、練習試合をする若手騎士2人がいた。よく見れば、そのうちの1人は先日の生意気な新人騎士ゲオルグだった。
ゲオルグは少し年上の若い騎士と練習試合をしており、白熱の接戦の末に相手を下した。パトリツィアとナディーンが大喜びしているのが目に入り、ルイトポルトの胸に不快感がむくむくと湧き上がってきた。しかもゲオルグがパトリツィアとナディーンの所に来て何か話しており、そこに騎士団長が来て大声で剣筋を褒めている。ルイトポルトはむしゃくしゃしてパトリツィアを驚かそうという当初の計画を忘れて大股で4人に近づいた。するとようやくパトリツィアが彼に気付いて飛びついてきた。
「にいたま! ゲオルグの剣、見た? すごいよ!」
「へぇ。パティの新しい護衛騎士だっけ? 僕だって強いよ。――おい、ゲオルグ、勝負しよう」
「殿下、困ります」
「何言ったって僕はやるよ」
去年からルイトポルトに専属侍従として仕え始めたアントンが主人を窘めたが、パトリツィアに関する事でルイトポルトが妥協しないことは知っており、それ以上は反論しなかった。アントンはルイトポルトより10歳年上の22歳で臣下であると共に、よき兄貴分にもなりつつある。
「わかりました、受けて立ちます。一切忖度なしですよ」
「おい、ゲオルグ! 不敬だぞ」
「いや、いい。当然の事だ」
先ほどの練習試合には刃を潰した模擬剣を使っていたが、騎士団長はルイトポルトとゲオルグに木剣を渡した。
「さっきと同じ剣を使いたい」
「刃を潰してあるとはいえ、まともに喰らったら大怪我します。木剣でなければ、今回の勝負はなしとします。我が騎士団では私闘は禁止となっていますので」
そこまで言われると木剣を使わないで勝負を回避する選択肢はルイトポルトにはなかった。
15歳の割に体格のいいゲオルグと対峙すると、12歳の平均的な体格のルイトポルトは小さく華奢にしか見えなかった。ルイトポルトは悔しかったが、体格差はスピードで補おうと考え直した。試合開始の合図と共にゲオルグに速攻で攻撃を仕掛けたが、剣筋を見切られ、気が付いた時には首筋に木剣を当てられいた。
「勝負あり! 勝者ゲオルグ!」
その声を聞いてゲオルグは木剣を下げ、ルイトポルトに手を差し出した。ルイトポルトはそれを無視して起き上がり、パトリツィアの方を見た。
「ゲオルグすごい!」
パトリツィアはさっきと同じように目を輝かせてゲオルグを賞賛したが、隣にいた侍女ナディーンが屈みこんでパトリツィアに何か耳打ちすると、途端にしゅんとなった。
「にいたま、ごめんなさい……」
「どうして謝るの? 僕が弱かっただけだ」
ルイトポルトは疲れたと言って用意してあったお茶も飲まずに王宮に帰っていった。
それ以降、ルイトポルトは近衛騎士団長に教えを乞い、以前にも増して剣技や射撃を鍛えるようになった。
「パティ、こっちへおいで」
「ルイにいたま!」
ルイトポルトはパトリツィアと会うと、いつも彼女を膝の上に乗せて甘えさせた。ルイトポルトはパトリツィアの頭をよしよしと撫でながら、彼女がたどたどしい口調でいろいろしゃべるのを聞くのが好きだった。そのうちにしゃべり疲れたパトリツィアがこくりこくりと船をこぐようになると、ルイトポルトの寝台で少し寝かせてあげてからツェーリンゲン公爵家の馬車までルイトポルト自ら彼女を運んであげるのがルーチンだった。
いつしかパトリツィアは最後まで起きていられないのがしゃくにさわって膝の上に乗せられたり、頭を撫でられたりするのを拒否したこともあった。でもそうすると、ルイトポルトが悲しそうにパトリツィアを見るので、彼女のささやかな抵抗も大抵中途半端に終わるのだった。
最初のうちは、近衛騎士や公爵家の護衛騎士は恐縮し、眠り込んでしまったパトリツィアを自分たちが運ぶとルイトポルトに申し出たが、ルイトポルトが譲らなかったので、そのうち騎士達は何も言わなくなった。だがパトリツィアが5歳の頃、ツェーリンゲン公爵家の新顔の少年護衛騎士がルイトポルトにお嬢様を運びましょうかと声をかけた。
「いや、私がやりたくてやっているんだから、よい」
「かしこまりました。差し出がましいことを申しまして失礼いたしました」
「お前、そう言えば見たことない顔だな。新人か?」
「はい、先月15歳になってパトリツィア様の護衛騎士に正式に任命されました。ゲオルグと申します」
パトリツィアやルイトポルトの祖父の世代ぐらいまでは社交界デビューする15歳が成人とみなされていたが、今では18歳が成人である。騎士学校を卒業して正騎士になるのなら、卒業直後の18歳から働き始めるのが普通だ。しかし騎士学校に通える財力のない平民の場合、10~12歳ぐらいから従騎士として見習いを始めて正騎士になるしかなく、その場合は実力があれば15歳で正騎士になることもできる。ゲオルグは、パトリツィアの乳母で今は侍女として仕えているナディーンの息子で、従騎士から正騎士に昇格してパトリツィアの専属護衛騎士の1人になった。
ゲオルグに出会ってからしばらくしてルイトポルトは久しぶりにツェーリンゲン公爵家を訪れた。先触れは出したが、パトリツィアを驚かせようと思って彼女には内緒にしてくれるように公爵家の執事に頼んでおいた。ルイトポルトは、パトリツィアが予期せぬ訪問に大喜びして自分に飛びついてくるだろうと想像するだけで顔が綻んだ。12歳のルイトポルトにとって5歳の婚約者は恋愛対象ではないものの、赤ん坊の時からかわいがっていて目の中に入れても痛くない妹のような存在になっていた。
執事の案内でパトリツィアのいる所に着くと、そこはタウンハウス敷地内の公爵家の騎士団の訓練場だった。執事がパトリツィアと侍女ナディーンに王太子の訪問を告げようとしたが、ルイトポルトはパトリツィアを驚かせたくて目で制止した。こっそり背後から近づいていくと、パトリツィアが目を輝かせて騎士達の練習を見学しているのに気付いた。その視線の先には、練習試合をする若手騎士2人がいた。よく見れば、そのうちの1人は先日の生意気な新人騎士ゲオルグだった。
ゲオルグは少し年上の若い騎士と練習試合をしており、白熱の接戦の末に相手を下した。パトリツィアとナディーンが大喜びしているのが目に入り、ルイトポルトの胸に不快感がむくむくと湧き上がってきた。しかもゲオルグがパトリツィアとナディーンの所に来て何か話しており、そこに騎士団長が来て大声で剣筋を褒めている。ルイトポルトはむしゃくしゃしてパトリツィアを驚かそうという当初の計画を忘れて大股で4人に近づいた。するとようやくパトリツィアが彼に気付いて飛びついてきた。
「にいたま! ゲオルグの剣、見た? すごいよ!」
「へぇ。パティの新しい護衛騎士だっけ? 僕だって強いよ。――おい、ゲオルグ、勝負しよう」
「殿下、困ります」
「何言ったって僕はやるよ」
去年からルイトポルトに専属侍従として仕え始めたアントンが主人を窘めたが、パトリツィアに関する事でルイトポルトが妥協しないことは知っており、それ以上は反論しなかった。アントンはルイトポルトより10歳年上の22歳で臣下であると共に、よき兄貴分にもなりつつある。
「わかりました、受けて立ちます。一切忖度なしですよ」
「おい、ゲオルグ! 不敬だぞ」
「いや、いい。当然の事だ」
先ほどの練習試合には刃を潰した模擬剣を使っていたが、騎士団長はルイトポルトとゲオルグに木剣を渡した。
「さっきと同じ剣を使いたい」
「刃を潰してあるとはいえ、まともに喰らったら大怪我します。木剣でなければ、今回の勝負はなしとします。我が騎士団では私闘は禁止となっていますので」
そこまで言われると木剣を使わないで勝負を回避する選択肢はルイトポルトにはなかった。
15歳の割に体格のいいゲオルグと対峙すると、12歳の平均的な体格のルイトポルトは小さく華奢にしか見えなかった。ルイトポルトは悔しかったが、体格差はスピードで補おうと考え直した。試合開始の合図と共にゲオルグに速攻で攻撃を仕掛けたが、剣筋を見切られ、気が付いた時には首筋に木剣を当てられいた。
「勝負あり! 勝者ゲオルグ!」
その声を聞いてゲオルグは木剣を下げ、ルイトポルトに手を差し出した。ルイトポルトはそれを無視して起き上がり、パトリツィアの方を見た。
「ゲオルグすごい!」
パトリツィアはさっきと同じように目を輝かせてゲオルグを賞賛したが、隣にいた侍女ナディーンが屈みこんでパトリツィアに何か耳打ちすると、途端にしゅんとなった。
「にいたま、ごめんなさい……」
「どうして謝るの? 僕が弱かっただけだ」
ルイトポルトは疲れたと言って用意してあったお茶も飲まずに王宮に帰っていった。
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