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本編
26.おうちカフェ
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「リコォ~、ほんとに出かけるの?!」
「出かけるよ。今日こそヘタレ返上してよ」
「なっ…何、ヘタレって?!」
「2人ともヘタレだよね」
「えっ?!」
リコはバイバーイと手を振って部屋を出て行った。
『ヘタレ返上してね!』
「フフフン…送信っと…」
その頃、リコからメッセをもらった悠は――
(なんだよ、コレ?!俺がヘタレ?!)
悠は萌とリコの部屋のドアの前に着いた。チャイムを押す指が震えながらボタンに近づく。悠はガチガチに緊張していた。
ピンポン――
「はぁ~い」
ドアがガチャリと開いて萌が顔を出した。
「いらっしゃい…中に入って」
「あ、ありがと…お、お邪魔…します」
萌はキッチンの食卓ではなく、自分の部屋へ悠を通した。萌の部屋にはソファはないが、フローリングの上に敷いたマットの上にちゃぶ台のようなテーブルとクッションが置いてあった。
「あ、あの…中野さんは?」
「リコは…用事があるって」
「あ、そうなんだ…」
居心地の悪い無言が続いた。
「あっ、ごめん!コーヒーと紅茶どっちがいい?」
「コ、コーヒーでっ」
悠は思わず声が裏返ってしまった。
「あ、あのっ!これ、ケーキ持って来たんで、中野さんと後で一緒に食べて」
「ありがとう。せっかくだから、今、一緒に食べようよ」
萌は悠からケーキの箱を受け取り、キッチンへ向かった。すぐにコーヒーをコポコポ淹れる音が聞こえ、萌がケーキを皿の上に乗せて戻ってきた。
「ありがとう。ケーキ3個買ってきてくれたんだね。残りの1個はリコにあげるね。あ、コーヒーできたみたい。ミルクと砂糖いる?」
「ミルクだけで」
「私と同じだね」
萌が持って来たコーヒーにはミルクの泡が乗っていた。
「これ、どうやったの?」
「牛乳を泡立てる機械があるんだよ。見る?」
萌はキッチンから小さいポットのように見えるミルクフォーマーを持ってきて悠に見せた。
「これに牛乳を入れて蓋をしてスイッチオンしたら泡が出来上がり!ちょっと高いけどいいよ。前は手に持って泡立てるミルク専用の電動泡立て器を使ってたんだけど、1年もしたらちゃんと回転しなくなって牛乳があんまり泡立たなくなっちゃった」
「へぇ~、そうなんだ。いいね、これ」
「でしょ?」
「触ってもいい?」
「もちろん!」
悠がテーブルの上のミルクフォーマーに手を伸ばすと、カップの縁に腕が当たり、カップが倒れてしまった。
「あっ!ごめん!こぼしちゃった!拭くものある?」
悠は、テーブルから下にコーヒーが垂れないように手でテーブルの縁を抑えた。それでも垂れそうになり、自分の脚をテーブルの下に入れた。
萌はテーブルを布巾で拭いて、悠のジーンズがコーヒーで汚れたことに気付いた。
「あーあ、園田君のジーンズまで汚れちゃったね。ちょっと待ってて」
萌は濡らした布巾を持ってきて悠のジーンズを拭こうとした。
「あっ、えっ、えっ、い、いいよっ…じ、自分で、ふ、拭くっ」
萌の布巾を持っている手首を悠は掴んだ。萌と悠の顔が知らず知らずのうちに近づいていた。
「あっ、あっ、ご、ご、ごめん…」
一瞬時間が止まったようだった。2人とも自分の心臓の音が相手に聞こえるんじゃないかと思うぐらい、胸の鼓動がうるさく感じた。
「出かけるよ。今日こそヘタレ返上してよ」
「なっ…何、ヘタレって?!」
「2人ともヘタレだよね」
「えっ?!」
リコはバイバーイと手を振って部屋を出て行った。
『ヘタレ返上してね!』
「フフフン…送信っと…」
その頃、リコからメッセをもらった悠は――
(なんだよ、コレ?!俺がヘタレ?!)
悠は萌とリコの部屋のドアの前に着いた。チャイムを押す指が震えながらボタンに近づく。悠はガチガチに緊張していた。
ピンポン――
「はぁ~い」
ドアがガチャリと開いて萌が顔を出した。
「いらっしゃい…中に入って」
「あ、ありがと…お、お邪魔…します」
萌はキッチンの食卓ではなく、自分の部屋へ悠を通した。萌の部屋にはソファはないが、フローリングの上に敷いたマットの上にちゃぶ台のようなテーブルとクッションが置いてあった。
「あ、あの…中野さんは?」
「リコは…用事があるって」
「あ、そうなんだ…」
居心地の悪い無言が続いた。
「あっ、ごめん!コーヒーと紅茶どっちがいい?」
「コ、コーヒーでっ」
悠は思わず声が裏返ってしまった。
「あ、あのっ!これ、ケーキ持って来たんで、中野さんと後で一緒に食べて」
「ありがとう。せっかくだから、今、一緒に食べようよ」
萌は悠からケーキの箱を受け取り、キッチンへ向かった。すぐにコーヒーをコポコポ淹れる音が聞こえ、萌がケーキを皿の上に乗せて戻ってきた。
「ありがとう。ケーキ3個買ってきてくれたんだね。残りの1個はリコにあげるね。あ、コーヒーできたみたい。ミルクと砂糖いる?」
「ミルクだけで」
「私と同じだね」
萌が持って来たコーヒーにはミルクの泡が乗っていた。
「これ、どうやったの?」
「牛乳を泡立てる機械があるんだよ。見る?」
萌はキッチンから小さいポットのように見えるミルクフォーマーを持ってきて悠に見せた。
「これに牛乳を入れて蓋をしてスイッチオンしたら泡が出来上がり!ちょっと高いけどいいよ。前は手に持って泡立てるミルク専用の電動泡立て器を使ってたんだけど、1年もしたらちゃんと回転しなくなって牛乳があんまり泡立たなくなっちゃった」
「へぇ~、そうなんだ。いいね、これ」
「でしょ?」
「触ってもいい?」
「もちろん!」
悠がテーブルの上のミルクフォーマーに手を伸ばすと、カップの縁に腕が当たり、カップが倒れてしまった。
「あっ!ごめん!こぼしちゃった!拭くものある?」
悠は、テーブルから下にコーヒーが垂れないように手でテーブルの縁を抑えた。それでも垂れそうになり、自分の脚をテーブルの下に入れた。
萌はテーブルを布巾で拭いて、悠のジーンズがコーヒーで汚れたことに気付いた。
「あーあ、園田君のジーンズまで汚れちゃったね。ちょっと待ってて」
萌は濡らした布巾を持ってきて悠のジーンズを拭こうとした。
「あっ、えっ、えっ、い、いいよっ…じ、自分で、ふ、拭くっ」
萌の布巾を持っている手首を悠は掴んだ。萌と悠の顔が知らず知らずのうちに近づいていた。
「あっ、あっ、ご、ご、ごめん…」
一瞬時間が止まったようだった。2人とも自分の心臓の音が相手に聞こえるんじゃないかと思うぐらい、胸の鼓動がうるさく感じた。
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