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「えーと、サリアさんって誰ですか?」
何となく予想はつくがとりあえず確認を取る
「てめぇふざけてんじゃねーぞ!?てめぇがさっきまで話してた子だ」
やっぱりそうだったか。どう対応するか、あんまり角をたてるのは好きじゃないからな
「それはすいませんでした。俺は今日は初めて会ったのでまだ名前を覚えていないのですよ」
「ほー。何だよ新人か?なら先輩がいろいろルールってもんを教えてやるよ」
ニヤニヤ笑みを浮かべながら手招きしている
「あっちに闘技場があるんだ。稽古をつけてやるから行くぞ」

やっと解析が出来た
こいつは今、俺を痛め付けたいだけのようだ。今までにも何人かそんな風に痛め付けられたやつがいるみたいだ
簡単に言うと新人潰しってやつだ
しかし、俺はまだ正式には冒険者出はないので闘技場が使えるのだろうか?

一応聞いておく
「すいません、闘技場を使ってもいいですか?」
毎度お馴染みのエルフさん。サリアさんに聞いてみる
「後は登録だけなので先にそれをやってもらってからでお願いします」
「分かりました、ではここで待たせてもらいますね」
今度は受付の近くで待つ

三分ほどで準備が出来たようで登録をする
「このカードはギルドカードといいます。ギルドに所属しているものなら全員が持っています
名前が表示されますので身分証明になります
他にも機能はありますが、その前に登録してもらってもよろしいですか?」
「分かりました。どうすればいいですか?」
「カードの端にある模様に触って下さい」

言われた通りカードの右上にある模様に指をのせる。すると模様が小さく光った後にカード全体が光り渡されたときは真っ白だったカードが青色になり、名前が表示された。カタカナで姓と名が逆さになってはいるが

「それがDランクのギルドカードです
ランクによって色が違うので人目で分かるんですよ」
なるほどな。これならランクのでっち上げは出来ないってことか

「カードの機能を説明しましょうか?」
「お願いします」
「それでは、まず先ほど触れていただいた模様がまだあると思います」
登録をするときに触れた模様はまだ右上にある
「それに触れていただくと表示が変わります。ご確認ください」
一度模様に触れると、ギルドポイント、ゴールドという項目が出てきた
「ギルドポイントはギルドへの貢献によって増えていきます。ポイントが貯まるとランクを上げられるんです
今のサトーさんのランクなら一万ポイント貯めたらCランクになれます」
俺の今のポイントはゼロか

「次にゴールドの説明をしますね
ギルドは冒険者達のゴールドをお預かりしています。その残高です」
ゴールドはこの世界の通貨ってことか

「もう一度模様に触れますとご自身のスキルが表示されます」
確かにスキルが表示された。もう一度触れると名前の表示に戻った
「以上がカードの説明になります。ご質問はありますか?」
「いえ、大丈夫です」

「それでは先ほどの換金を行いますか?」
「お願いします」
「それではこれが、サンダーシャーク二匹で金貨二枚と七色水晶の金貨一枚と銀貨六枚で、合わせて金貨三枚と銀貨六枚になります
お確かめください」
確かめろ、と言われてもな。金貨と銀貨を解析する
どうやら硬貨は下から
石貨、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白貨、王貨があり十枚で上の硬貨一枚と同じ価値

「ギルドに預けていかれますか?この国にはほとんどのところがカードで支払いが出来るようになっていますよ」
買い物に関してはこっちの世界の方が進んでいるな。一枚のカードですべての支払いが出来るとは
「なら、銀貨六枚は貰うから金貨は預かって貰えますか?」
「かしこまりました。そのように」
「では、お願いします
いろいろ教えてくださりありがとうございます」
「いえいえ、それが私のお仕事ですからお気になさらず」
「それでは今日はこれで」
「はい、お疲れ様でした。これからの活躍期待していますね」
今日は一番の笑顔で見送ってくれた

「てめぇ、いい度胸じゃねーかよ。ああ‼
ぶっ殺してやる
おら、早く闘技場行くぞ。まさか逃げたりしねーよな?ああ‼」
忘れてたなこいつに絡まれてるの。仕方ないな、疲れたからソッコーで終わらせるか
テンプレイベントとはいえこんなにすぐ発生しなくてもいいのにな

仕方なく闘技場に行き、真ん中で相手と向き合う
「さて、新人に冒険者としてのルールを叩き込んでやるよ」
相手は背中に担いでいた大きな斧を構える
解析すると、斧術と怪力のスキルを持っていた
レベルはどちらも2

「この中なら何が起こっても事故で処理されるんだよ。覚悟しろよな」
「あーはい。すいませんが疲れてるんで早く初めて下さい」
「バカにしやがって後悔させてやる」

「グラッドやっちまえー」
「生意気なヤローにドキツいの入れろー」
「いつもの期待してるぞー」
「新人君も頑張って~」

随分と野次が多いな
「任せろやー、今日もパーっとやるぜー」
「「「オオー‼‼」」」
「死ねやー」
開始の合図とかは無いんだな
相手はいきなり斧を振り下ろしてくる
少しだけスキルの練習するか
「動きが速くなる」
チリン

スキルの影響か後ろに下がり避けようとしたら、ものすごい早さで相手との距離が出来た
電気の時は使えないかもって思ったがそんなことなかったな、十分使えそうだ

「ほー、なかなかやるんだな。ま、関係ねーけどな」
真っ正面から突っ込んでくるので後ろに回り込む

つもりだったがかなり離れたところに来てしまった
制御が難しいな。まるで一歩で何歩も歩いているような感覚だ
「逃げてばかりじゃなく戦え」
「ああ、もう終わらせる」
「調子乗んな、ぶった切ってやる」

それしかできないのか真っ直ぐ突っ込んでくる
今度はそれを避けずに迎え撃つ
「身体能力が最大になる」
チリン
「おらーーー!!」
振り下ろしてきた斧の側面を左手で殴り軌道をずらす
右手で相手の顎を下から殴り飛ばす

バタリ
完全なノックアウトだった
シーン
さっきまでうるさかった外野も黙って見ている
喧嘩を売ってきたのは向こうなので倒れてるのはそのままにして闘技場を歩いて出る
出た瞬間に騒がしくなったがどうでもいい

ギルド内の人はほとんど闘技場に行ったらしく静かだった
「お疲れ、格好良かった」
声を掛けてきたのは御堂だった
「強い」
「ああ、ありがとう」
「ん」
それだけ言うとギルドから出ていった
もう五条達の姿がないからそっちに向かったのだろう

さて、俺も早く宿でも探そ
あくびをしながらギルドを出る
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