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剣はなかなか良いのが見つからなかったがボロボロの小さな店があったので入ってみたら、魔法による強化がされている剣があったのでそれを買った

「サトー様ですよね?」
ん?振り返るとギルドの制服を着た女性が立っていた
「ギルド長がお呼びです。一緒に来ていただけますか?」
あの人が呼んでるのか、厄介ごとが来そうだが行かないわけにもいかないか 
「分かりました、どうせ拒否権はないでしょうし行きますよ」
「ご理解くださり感謝します」

「やあー、待っていたよサトー君」
ギルドの奥にあるギルド長室に来たら偉そうに座っているアンリエッタさんがいた
「なんのようですか?」
めんどくさいので早く終わって欲しい
「君に指名依頼をするよ」
「断る」
「え~!」
「俺はまだ冒険者歴二日だぞ?そんなヒヨッ子に何を期待してるんだ」
「でも、君なら簡単だと思うよ?
聞いているかな?サメ達の話、その原因を探って欲しいんだ」
「なぜ俺が?」
「何となくかな。僕の勘が君なら解決できると言っているんだよ」
「そうですか、それはすごいですね。でも俺にそんな力はありませんよ。ギルド長の勘も役に立ちませんね」
「そうかな?アンガイ合ってる気もするけど
まあいいや。どうせすぐには了承してくれないと思って褒美も用意しているんだよ」
「ならその褒美で他の人を誘ってください。俺はこれで失礼します」
部屋を出て
ブワッ
行こうとしたら後ろからすさまじい圧力が発せられた

「小僧、調子に乗るなよ。私の指名依頼を断れると思っているのか?」
「それが貴女の本性なんですね、なんとも恐ろしい」
「私の圧力を受けて平然としていられるお前の方がよっぽど恐ろしいと思うが?」
「そうですかね?これぐらいなら平気ですよ」
事実彼はこのぐらいのプレッシャーなら余裕だった。今まで恐怖や怒り、悲しみもすべての感情を嘘で流してきたのだ
今更これぐらいの圧力など余裕で受け流せる

「で?そろそろ俺に依頼してきた本当の理由を聞きたいんだが」
「はー、君にはどうやっても勝てるイメージがわかないな。それで本当の理由だっけ?
簡単だよ、占い師がそう言っていたんだ。その占い師はこの王都で一番の腕だから信用しているんだ」
「そんなこと言われても出来ないものはしょうがないんだが」
原因は俺です!何か言えるわけ無いだろ
「どうしてもかい?」
「ああ、多分俺では役に立たんからな」
「そっかー。なら仕方ないかな、君に強制依頼を発動するよ
強制依頼は断るにはそれなりの覚悟をもってやるべきだよ」

これ以上拒否するのはめんどくさいな
「分かった分かった、力になれるかわからんが俺も協力しよう」
「よろしい。ならよろしく頼むよ」
全く面倒ごとを押し付けられた気がする

部屋を出て下に行くと
「お疲れ様でした。ほとんど脅迫のようなものになってしまって申し訳ありません」
なぜ知ってるんだ?
「どうせ強制依頼使ったんですよね?いつものパターンですので」
あのギルド長いつものこんなことやってるのか。全く本当に面倒なことになったな

何はともあれ依頼を受けた以上はしっかりこなさせてもらうか
そのためにはまずどう誤魔化すか考えないと
分からなかった、ではまた無理難題を押し付けられそうだし
なら、他の方法で解決するしかないってことだけど、そもそもの話として、サメの暴れた理由なんかどう調査すればいいんだ?
水の底に何かがいた。ってのは一つの場所にしか使えないから却下で





もう、めんどいしでっち上げるか。嘘は俺の十八番だしな
まずは……でっち上げる内容だが

自然災害を起こすか。俺がやる時点で既に自然では無いがそこは気にせずにいくか
大嘘つきはどんなことが出来るかは何となくでわかるんだよな
「この世界は素晴らしい。災害など起こらず平和だ、サメも大人しい」
自分で言ってて何か嫌になるな。あからさまな嘘をつかないといけないのは変な感覚がする

自己嫌悪に陥っていると遠くの方に黒い雲が集まっているのが見えた
なんだあれ?

よく見てみると雲だと思ったのは雲ではなく大量の黒っぽい色の生物だった。というか翼の生えたサメだった

むーー、災害とサメが合わさったのか。出きることが分かってもどんなことが起こるかはわかんないんだよな
まあ、出てきちゃったものは仕方ないか。理由をでっち上げて報告するか
ちょっと失敗したな

ギルド長室に入り大量の魔物の出現を知らせる
「その事で全冒険者に伝えることがあるんだ、少し待っててくれ」
そう言いギルド長は部屋を出る
窓から外を見るとサメ達の姿を確認できた、地球のと変わらない種類もいる、翼つきだが
あんなのが大量に飛んでると、なんというか恐ろしいな
「来てくれ」
部屋の外からた声をかけてくる。入れば良いのに
仕方なく部屋を出ると
「さて、準備もできたことだし早く行こう」
アンリエッタさんは神聖さすら感じさせるほど綺麗な鎧を身に付けていた


二階のから下に集まっている冒険者に向けて話す
「皆に伝えることがある。先程大量の魔物が出現した
大量のサメ型のモンスターだ。そのなかには特殊モンスターも確認できた
皆に強制依頼を出す。この街を守るのだ」

へぇー、ちゃんとギルド長やってるんだな。下の人たちもやる気になってるみたいだし
「君も手伝ってね、調査の方はもういいや。多分だけどあれの出現の予兆だったんだろうね」
まあ、予兆っていえば予兆か。二つとも俺が起こしたことみたいだけど
「さあ行くよ。あんなのがこの街についたら大変なことになるからね」

ほとんどの冒険者はギルドを出たようで中はガランとしている
誰もいないと本当広いな
「そろそろワタシは行くから君も急いでね。それと、出来ればなんだけど君の友達についていてあげて欲しいな
こんな事態だから全冒険者が戦闘に呼ばれたんだけど、そのなかには昨日登録したばかりの白髪の子もいるんだ
いきなりこんな事が起こるなんて不運だね」
「実力は確かですよ。心配なんか要らないでしょ」
「それでもだよ。まだパーティーがいないんだから
友達なんだろ?」
「ただの知人だ」
「とっちでも良いよ。頼んだからね」
そう言って走っていった
本当に落ち着きがないな、この姿を見るのは二回目か

仕方ないか、俺の嘘で人が死んだりしたら目覚めが悪いしな。目立たない程度で何とかしよ
すぐに魔物がいる方へ向かう。飛行速度から計算するとまもなく到着するはずだ
「けんちゃん」クイックイッ
冒険者達の最後尾に追い付いたので並びながら歩いていると服を誰かに引かれた
「御堂か、お前も来ていたんだな。戦うのか?」
「うん。この街はどうでも良いけど、また何処かに移動するのめんどくさそうだし」
「そうか」
涼しい顔でとんでもないこと良い始めるな

「けんちゃんも戦うの?」
「これは俺が原因だからな。俺のせいで人が死ぬのは気分が悪い」
「そっか。でも、サメの調査はけんちゃんのせいじゃないよ」
なんで知ってるのか聞こうとしたが時間切れらしい。とうとう戦闘が始まった

「冒険者の攻撃はサメたちに効果が薄い」
チリン
これだけでもやり易くはなるはずだ。御堂が戦うというのなら密集地帯は危険だな
「少し移動するから我慢しろ」
「え?キャッ」
抱き上げ身体能力を強化したあとこの辺で一番高い石の塔に上る
「見張り台からならやり易いだろ。早く終わらせるぞ」
「……」
「どうした?御堂」
返事がないので下ろしてから顔を覗き込む
「えへへへ、抱っこ、けんちゃんに抱っこされた
もう街なんかどうでも良いやけんちゃんさえ居ればもうなんでも良い」

どうやら御堂は少し頭をぶつけたようだな、運びかたが悪かったか?
「おい、そろそろ始めるぞ」
頭に軽いチョップをいれる
「え?あ、はい」
やっと正気に戻ったか

それからは淡々と倒すことに集中した御堂が遠くにいる奴を魔法で倒し、近づいてきたら剣で斬る
戦いが始まってから一時間以上たったがサメの数は全く減っていなかった。倒しても倒しても次々に出てくる
ここは嘘で片付けるか。スキルを発動させ嘘を言おうとしたとき
「あぶない!」
普通の奴より十倍以上も早い奴が突っ込んできた
「チッ」
身体能力がさせてるので何とかしよ反応でき、剣を突き出すことができた
しかし、勢いを止めることは出来ずそのまま衝突してサメと一緒に吹き飛ぶ
ダメージ無くて良かった

ドンッバキッグシャドカーン
家を四軒ほど破壊したところで止まった、それにしても凄い音だったな
「壊れた」
チリン
破壊された家が元通りになる
「今日は天気が良いな。雲一つない快晴だ」
チリン
大嘘つきを発動させっぱなしにすれば連続で使用もできるのか
急に雲が現れはじめて辺りが暗くなっていく
このまま一気に殲滅する

塔に戻ろうと立ち上がる。ついでに突進してきたサメはお土産に持っていく
「大丈夫かい?この辺で凄い音がしたんじゃが」
よぼよぼのおばあちゃんが話しかけてくる
「なんにもありませんよ」
チリン
ズドーーーン
「なんだ!?」
さっきと同じように突進していたサメが建物を破壊しながら進んでいた
「なんだろね、あれ、隕石かい?」
まだいたのかこのおばあちゃんは
「隕石が降るわけないでしょ」
チリン
「しまった!?」
一度目は破壊音と重なっていて聞こえなかったがまだ王嘘つきを発動させっぱなしだった
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