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「さて、次の修行を始めようか!」

目の前には綺麗な女の人が裸で立っていた

何で服着てないんだ?いや、それよりもだ

「お前誰?」
指を指しながら知らない『人』に聞く

「さっきまで僕と話してたよね!!目の前で変身したよね!何で誰?なのさ!」
ぼくっ子...だと!
リアルでぼくっ子を見るとは思わなかったのでものすごい衝撃を受けてしまった

「いや、何となくは想像できるんだが...あのデカイ鮫...だよな?」
変身するとこを見ていたので間違ってはいないと思うが
「そうだよ!その通りだよ!何ですぐに分かってくれないかなー。せっかくこの僕が数百年ぶりにこの姿をお披露目したってのにさー」ブーブー
しゃがみ込んでのの字を書き始めた

目の前で裸の女がブーブー文句を言ってるなんか初めてだな、斬新な体験過ぎる。
まぁ、別にいっか
のの字を書いている人から離れて剣の素振りを始める。アニメで見た動きを意識しながら何回も剣を振っていると段々と動きが早く、鋭くなっていく

「ねーえー、落ち込んでる人をほっとく何てことがよくできるねー。泣いちゃう
よー?」
四つん這いの状況でよちよちと近づいて来て裾を引っ張ってくる

結構動き回ってたのによくはいはいで掴めたな
純粋に尊敬の念を抱く

「泣いとけ、俺は練習しないといかんのだからな。構ってる余裕はないんだよ」
何となく今のこいつは絡むと危険な臭いがするのでなるべく関わらないようにする

「ふーーん。じゃあ練習始めよっか!」
「は?」
「いっくよーー」

まだこちらの準備が出来ていないうちから首に向かって手刀を打ってくる

しまった!

咄嗟に剣を手刀にぶつけてしまった

キィィン

マジかよ!この人マジか
手刀にぶつかったくせに何故か金属同士がぶつかった時の音がなった

「ふふふふ、僕の心配はいらないよ。全力でこないと痛い目に遭うから気を付けてねっと」
言葉の終わりと共に、手刀とは逆の手で思いっきり殴りかかってくる

クソッ!こいつの解析は情報量が多すぎてあんまり進まなくてまだスキルとかは分かってないんだよな

殴ってきた拳はわざと受け、腕を掴み柔道の要領で投げる

そろそろ言っていいよな。これ以上は嫌になってくるし

「はは、すごいね。僕の拳は結構強いはずなんだけどね」
「それは、どうもです

そ・れ・よ・り・も・だ・な!
そろそろ服を着ろ!!バカが!!」

変身してから服を着ていなかったが、なんとか気にしないようにしてもやっぱり動き回ると気になってしまう

「あー、ごめんね。この姿になるの久々だから服の事なんか忘れてたよ、いやー、参ったねー」
手を腰に当てながら胸を張っている
いや、だからな
「そういうことをやめろって言ってんだよ。早く服を着ろっつうの」

胸を張ると大きなものがプルプルと動いている。健吾はそれを見ないようにずっと顔だけを見るように気を付けていた

「もう大丈夫だよ。魔法で服も作れるからね。いやー、もっと早く行ってくれればいいのにー
もしかして僕の体に興奮してたのかなー?もっと見てても良かったんだぞ!」
ニヤニヤしながらからかうような顔をしている。何となく腹が立つな

「どうでもいいことだ
ほら、やるんだったら早く練習始めるぞ」
「もー、仕方ないなー
やろっか。次は君の力に合わせてあげるから組手方式でスキルを鍛えよう
実際に使った方が覚えが早いからね」

早いとここいつのスキルの正体を解析して対応しないといかんのだが
ずっと解析を使ってはいるが全く、スキルを見ることはできていない

「ふふ、昔見た人に君はよく似てるね
何となく考えてることは想像できるから答えようかな、僕は君たちとは違うステージにいるんだ。だから鑑定や解析は効きづらいんだ、まぁそんなのに頼らずに戦うことも出来るようにならないといけないから今回はスキル不明で戦うよ」

気になる発言が何ヵ所かあったが...今は置いておくか、向こうはもう準備万端みたいだしな

「いくよ、はっ」
身体強化をして迎撃しようとしたが相手のスピードの方が圧倒的に高い

「いろんな攻め方をするから自分のスタイルを探してね。ある程度の怪我なら治せるから思いきってね」
ラッシュを撃ちながら普通に喋って、こちらを気遣う
健吾は剣で弾く、流す、受ける
何とか直撃を受けないように防御に専念する

元鮫は高くジャンプしてから「オーダー『重体ヘビー』」と言い拳を振り下ろす。何とか避け、拳は地面に当たる
すると....

半径数メートルの地面が割れた

やっぱりこいつ半端じゃねーな、正真正銘の化け者だぜ
認識を改め、遠慮なく全力をぶつけていくことにする

「僕の力が分かったかな?全力できてね。じゃないと...死んじゃうからね
オーダー『反体リフレクト』」
自分が割った地面に触れると、急に突風が吹き元鮫がかなり上空にまで打ち上げられている

「言われなくてもそのつもりだ!」
剣以外で使えるスキル、爆裂魔法をしようする。イメージは爆弾
よくファンタジー小説だと体に流れてる魔力を感じるところから始めているが、そこはスキルの補助があるのかすぐに分かったので、その不思議エネルギーを外に出してから固まるイメージをして爆弾を作る

「準備はできたみたいだね。オーダー『飛体フライ』」
「ああ、準備万端だよ!」
空中を滑るように動く相手に向かって作り出した爆弾をなげる

「そんなのは当たらないよ!
それに..弱い!」
丁度隣で爆発させたが効果はない

「クソが」
剣を抜き、片方に剣、もう一方に爆弾を持つ。この爆弾はどんなタイミングでも爆発させられるので近づいてきたら直接ぶつける

「ハッッ!」
「甘い!」
練習した剣の振りを出来たがやっぱりというかなんと言うか、フワリと少しだけ上に浮くことで避けられた...が
「こっちを食らえ!」
かなりのスピードが元々出ていたので、剣を避けたことにより胴に隙ができた

「オッラーーー!!」
全力で叩きつけた爆弾は直接ぶつけることができた
よし!このまま全部ぶち込んでやる!
魔法を発動させ、自分を巻き込む大爆発を起こす。爆風に乗って距離をとる

さすがに多少はダメージがあったかな?

爆煙が晴れてきた
「いやー、今のはすごい爆発だったねー
すごいねー、ほんとにすごいよ。すぐにここまで出来るようになるんだからさ」
腕を横に振り、爆煙を振り払って普通の顔をして立っている

「マジかよ。ノーダメージは無いだろ」
爆煙が消えたそこには服すらも全く汚れていない元鮫がいる
今出来る最大の爆発を当てたのに全く効果がないことに内心悔しさがある

「少しだけ休憩しようか。氣がかなり減ってるみたいだしね」
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