吸血秘書と探偵事務所

かみこっぷ

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吸血鬼と狼男⑥

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ゴッギィイイイイイイイイイ!!

鉄と鋼を打ち合せたような轟音が相一の言葉を遮った。

音の原因は銀月の拳と相一が構えるコード2の結界、長方形の障壁との衝突である。

吸血鬼をも圧倒する腕力による一撃を人間程度に防がれた事に銀月が眼を見開く。

「不思議かよ? 満月の明かりで上乗せされてる筈の自慢の力がこんなちっぽけな結界一つに止められて」
チカッチカッと、銀月の視界の端で鈍い光が明滅する。

その光の元を辿れば相一の手元、結界の発生源であるスマホを握る右とは逆の手に握られる一本のペンライトに行き着いた。

「話の続きだ。お前の力の制限、それは月明かり以外の光を浴びると力の上昇率が著しく低下するという事だ」

「…………」

「だからお前は必要以上に周囲を破壊し、純粋に月の明かりだけを得られる様に街灯や自販機といった強い光を発するものを潰していったんだ」

銀月が小さく後ろに跳ね、相一との距離を開ける。

「ふん、確かにお前の言う通りこの力は光の純度に大きく左右される。そんな小さな明かりでかき乱されるくらいになあ。その上で、だ」

瞬間、銀月の巨体が残像を残す程の速度で掻き消える。

当然その場から消滅した訳では無い。

その獣としての瞬発力を存分に発揮し、文字通り眼にも止まらぬスピードでの移動を繰り返し相一達との距離を詰めていく。

「だったらその余計な光を浴びなければいい。光を避ける訳じゃねえ、狙いをつける人間の動きを上回ればいいだけの話だ。ソレぐらいなんて事はねえぞ!」

人間の動体視力を軽く超えた動きで、相一達を中心に円を描くようにしながら徐々に接近していく。

「ちょ、ちょっとアンタ! いくら弱点が分かってもそれを当てられないんじゃ…………」

「まあまあちょっと待てって。確か…………そろそろだったよな」

焦る氷柱を尻目にスマホの画面に指を走らせる。

そこに表示されているのはとある街で行われている夏祭りの予定表だった。

「なるほど、そういう事ですか」

璃亜は状況を理解したのか息を吐き、体の力を抜く。

「二人共なにのんびりしてんのよ!? あの狼野郎もう目の前まで――――!!」

事態を把握できていない氷柱だけが、高速で目の前に迫りつつある脅威に身を固くする。

そこに。

ダンッ! と、銀月が全身のバネを使い大きく飛び上がった。
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