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廃人と女
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そんな俺をある一人の女が変えた。
その女の名はエリス。
年は俺と同じで、学園の入学のとき帝国から交換交流目的で近所に引っ越してきたいわゆる幼馴染だ。
あいつとは昔からやることが真逆だったが不思議と馬が合った。
俺が文系科目を得意であればあいつは理系科目が得意。俺が感情的な性格であればあいつは理性的な性格。俺が右利きであればあいつは左利き。果ては俺が右足を前に出すときあいつは左足を前に出す。それがもとで学園時代には学園対抗運動選抜会で二人三脚のペアに選ばれるほどだった。
お互い得意不得意が真逆だったせいか互いに分からない課題について質問しあったり自分の得意な分野の事を話しあって門限を過ぎて二人で互いの親に叱られたりした。だがそれも学園高等部まで。
あいつは突然行ってしまった。互いの国の関係が悪くなったことで交換交流が途切れ、帝国に帰国することになってしまった。その時初めてあいつが感情的になって涙を流したのを目にした。
そしてあいつは最後にサヨナラではなくまたねと俺に告げて国に帰っていった。
それから約四年後あいつは変わり果てた俺の前に立って「久しぶり」と言った。そして俺に「立って」と言い顔を思いきりビンタした。俺は何が何だかわからなくて目を白黒させた。
確かに面影はあるが成長したエリスが立っていて俺のことを殴るなんてありえなかった。エリスは人を殴るような性格ではなく少しおどおどした性格だった。それに互いの国の関係は回復してはおらず、むしろ悪化していた。あいつが俺の前に立つには国を捨てるしかない。
その時、俺の口から「お、あえ、、あ、たり、と、いい、あ、、、た、、おか?」と声になっていない言葉が出ていた。
約半年ぶりに出した声。渡り鳥になったのか?と問う言葉。
「うん、また君に合うためにね!」と俺の声を言葉として汲み取りエリスは答えを返した。
それから俺はエリスに連れられて昔の思い出の残る場所や、よく話をした公園、大人になったら来ようといっていた喫茶店などいろいろな場所に行った。
何日も何日もエリスは俺のことを誘いいろいろな場所に連れだしてくれた。そして俺に話しかけ、俺が返すのを何分も何時間でも待った。
その時の俺の声は言葉にはなっていなかったが、エリスだけはわかってくれた。そのことがただただうれしくて俺は涙を流しながらエリスに向かい合っていた。
そしてその時をきっかけに、白黒の絵に色がついていくかのように俺の声にも感情が加わり、しだいに俺は言葉と思考を取り戻していった。
その女の名はエリス。
年は俺と同じで、学園の入学のとき帝国から交換交流目的で近所に引っ越してきたいわゆる幼馴染だ。
あいつとは昔からやることが真逆だったが不思議と馬が合った。
俺が文系科目を得意であればあいつは理系科目が得意。俺が感情的な性格であればあいつは理性的な性格。俺が右利きであればあいつは左利き。果ては俺が右足を前に出すときあいつは左足を前に出す。それがもとで学園時代には学園対抗運動選抜会で二人三脚のペアに選ばれるほどだった。
お互い得意不得意が真逆だったせいか互いに分からない課題について質問しあったり自分の得意な分野の事を話しあって門限を過ぎて二人で互いの親に叱られたりした。だがそれも学園高等部まで。
あいつは突然行ってしまった。互いの国の関係が悪くなったことで交換交流が途切れ、帝国に帰国することになってしまった。その時初めてあいつが感情的になって涙を流したのを目にした。
そしてあいつは最後にサヨナラではなくまたねと俺に告げて国に帰っていった。
それから約四年後あいつは変わり果てた俺の前に立って「久しぶり」と言った。そして俺に「立って」と言い顔を思いきりビンタした。俺は何が何だかわからなくて目を白黒させた。
確かに面影はあるが成長したエリスが立っていて俺のことを殴るなんてありえなかった。エリスは人を殴るような性格ではなく少しおどおどした性格だった。それに互いの国の関係は回復してはおらず、むしろ悪化していた。あいつが俺の前に立つには国を捨てるしかない。
その時、俺の口から「お、あえ、、あ、たり、と、いい、あ、、、た、、おか?」と声になっていない言葉が出ていた。
約半年ぶりに出した声。渡り鳥になったのか?と問う言葉。
「うん、また君に合うためにね!」と俺の声を言葉として汲み取りエリスは答えを返した。
それから俺はエリスに連れられて昔の思い出の残る場所や、よく話をした公園、大人になったら来ようといっていた喫茶店などいろいろな場所に行った。
何日も何日もエリスは俺のことを誘いいろいろな場所に連れだしてくれた。そして俺に話しかけ、俺が返すのを何分も何時間でも待った。
その時の俺の声は言葉にはなっていなかったが、エリスだけはわかってくれた。そのことがただただうれしくて俺は涙を流しながらエリスに向かい合っていた。
そしてその時をきっかけに、白黒の絵に色がついていくかのように俺の声にも感情が加わり、しだいに俺は言葉と思考を取り戻していった。
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