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第2章 暁の竜神
第1話 朝は戦場 2
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それにしても、何がどう繋がればそんな超理論に発展したのか小一時間は問いつめたい。問いつめたいところ。しかし命の危機が迫っている今は別。まずは生き延びなければ。ポーションだ。まずは体力を回復して仕切り直したい。でも目の前で飲むのは無しだ。ウロボロスさんは俺を大変に心配して興奮しているのだから。
「し、しかし……! お辛そうで見ていられません……!」
「くっついても何も変わらないから」
むしろ悪化する。皮一枚で繋がってくれたこの命、抱き付かれるのはおろか、腕を組まれただけでも失いかねない。危険だ。今のウロボロスは危険。いつものスキンシップでも待ち受けるのは問答無用の死。無垢な惨劇の幕が上がってしまう。
助かったと気は抜くな。まだ安心なんてできない。慎重に。石橋を叩くように慎重にいこう。それにはまず、やはりその考えを紐解く必要がありそうだ。
「あのさ、どうしてそこでくっ付くことになるのか教えてくれないか? あぁ、嫌と言っているんじゃないぞ。ただ純粋に疑問に思ってさ」
「この世界の蔵書にて勉強しました。男女が裸で抱き合えば例え極寒の冬だろうと乗り切れると」
「あぁ、冬山で遭難した時のことか。まぁ確かに作り話の世界だろうな。それで?」
「私は考えました。なぜそのような言い回しをしたのかと。キーワードは極寒の冬。これはこの上なく困難な状況を表したのではないでしょうか」
ふんふん、ここまでは間違いではなさそうだ。誰も助けに来ない。食べ物も暖も無い。そんな絶望的な状況で2人だけ。確かにどうしようもない場面だな。で、だ。そこからどんなねじれ方をすれば抱き着こうという発想になるんだろう。
「つまりどのような苦難、困難も裸で抱き合えば万事解決ということで……はっ!」
目が雲ってやがる。理論がぴょんと大ジャンプしてやがる。どうしてそこで裸で抱き合うという部分にも疑問を持てなかったのか。そう突っ込みかけた、その時。体中に電流が走った感覚を覚えた。気付けたのだ。あのウロボロスとほぼ同時に、何を言わんとしたのかを。
「そ、そうです! 裸じゃないから効果がなかったのでは――!?」
「――あー、元気になった! ほら、こんなに元気!」
考えるな、今は動け。元気一杯さをアピールして活路を開くしかないのだから。気分はヒーローのように勢い良くベッドから飛び起きる。着地の衝撃で体の中がシェイクされたような違和感に襲われるけど我慢だ。ここで元気に振る舞えなければ二度と立つこともできなくなる。
「いやー、ウロボロスと話をするとすぐに回復できるんだよな! 瞬間回復! 健康の秘訣! 百薬の長!」
「そ、そうなのですか? 先程より顔色が青くなって……いえ、白くなっていますが」
「美白のお肌に憧れてな! 夜な夜なパッドをしているんだ! 綺麗だろ?!」
「……そうですね、我が君はいつも凛々しいです! あぁ、惚れ直してしまいます!」
よし、気合いと根性で難を乗り越えたぞ。まさに危機一髪だった。
一息吐きたいところだが、まだ気を緩めてはならない。酸っぱい何かがこみ上げてくるのだ。ここで粗相しようものなら看病されてしまう。
とにかくまずはポーションを、と本能的にウィンドウを操作しかけて止まる。ここでそんな物を取り出せば何かしらアクションを起こされるに違いない。駄目だ。頭が冬山のウロボロスの前でそれは駄目。ならば回復魔法で乗り切れば、いや、それも待て。この距離だ。魔法の反応を見た瞬間にウロボロスが飛び付いてくるかもしれない。命がかかっているんだ、甘い読みは死に直結する。
そうなるとやはりポーションしかあるまい。ドミニオンズ時代を思い出せ。神速のウィンドウ使いと仲間内で言われた超絶テクニックがあれば、きっと勝機はあると信じろ。
「我が君、やはり顔色が優れないように見えます。何かお持ちしましょうか?」
何も要らないから、あと少しの間でいいからこっちを見ないで欲しい。なんて言えるはずもなく、うん、待てよ。そうか、何も演技なんてしなくていい。ウロボロスがいない隙を突けばいいじゃないか。はは、どうして気が付かなかった。だが見過ごしはしなかったぞ。この千載一隅のチャンスを。
「そうだ、ウロボロス。コーヒーを一杯貰えないかな? 朝はやっぱりあれが欲しいんだよ」
「我が君が私のコーヒーを……! 少々お待ちください! 直ちにお持ち致します!」
こんなにも晴れやかな気分でウロボロスを送り出すのは初めてかもしれない。いかん、頬を緩めるな。ゆっくりでいいぞと口にしてはいけない。見送ろう。努めて普段通りに。
あれ、普段俺はどうやって見送っていただろうか。手を振ったか。そっちを見たか。いかん、思い出せない。いつも通りに振る舞うって難しい。落ち着け、何を演じようとしているんだ。わからないのなら、思うがままにした方がまだ自然というもの。頼む、感付いてくれるなよ。
「我が君がコーヒーを……っ!」
心配は杞憂だった。ウロボロスは暴走機関車のように脇目も振らず走り去って行った。うん、いつものウロボロスだ。そうなると少しばかりミスをしたことになる。なにせ、こんな状態の俺が要望したんだ。超特急で用意してしまうだろう。一刻の猶予もない。早く回復しなければ。ささっと手早くアイテムストレージを操作して、さぁ、ポーションをと手に取った時だった。
「おはようございます、愛しの魔王様。あぁ、今日もお美し……おや、どうされましたか? 顔色が……」
アザレアがやって来てしまった。なんて最悪なタイミング。予想だにしない伏兵。しかも一番嫌なウィークポイントを突かれた。つまり俺の顔を見て硬直された。心配もされた。これはもう完璧に気付かれたと考えた方がいい。何か上手い言い訳をしなければ。迅速かつ的確に。その間にウロボロスが戻って来たらアウトだ。
「あー……その、少し寝違えたらしい。悪いけど気分が優れない。急ぎの用事じゃなければまた今度にしてくれないか?」
「寝違えただけでそれほど体調を崩されるはずは……」
「現にこうなった。経過はどうあれ、これが事実だ。理解してくれ」
だからさ、早くユーターンしてくれないかな。もしくは目を瞑ってくれないかな。さっさとポーションを飲みたいんだよ。と、待てよ。全く話が通じなくなるのはウロボロスだけだ。アザレアなら話せば多少はわかってくれる気がする。それに万が一パワー勝負になっても負けない。だからアザレアの前なら隠れる必要はない。寝違えたと言い張り続ければ納得してくれそうな雰囲気をこのままものにできれば勝ちなのではないか。
「……う」
現実は甘くなかった。戦慄した。足音がする。軽い、とても軽やかな、まるでスキップでもしていそうな音がする。間違いない、奴だ。
「し、しかし……! お辛そうで見ていられません……!」
「くっついても何も変わらないから」
むしろ悪化する。皮一枚で繋がってくれたこの命、抱き付かれるのはおろか、腕を組まれただけでも失いかねない。危険だ。今のウロボロスは危険。いつものスキンシップでも待ち受けるのは問答無用の死。無垢な惨劇の幕が上がってしまう。
助かったと気は抜くな。まだ安心なんてできない。慎重に。石橋を叩くように慎重にいこう。それにはまず、やはりその考えを紐解く必要がありそうだ。
「あのさ、どうしてそこでくっ付くことになるのか教えてくれないか? あぁ、嫌と言っているんじゃないぞ。ただ純粋に疑問に思ってさ」
「この世界の蔵書にて勉強しました。男女が裸で抱き合えば例え極寒の冬だろうと乗り切れると」
「あぁ、冬山で遭難した時のことか。まぁ確かに作り話の世界だろうな。それで?」
「私は考えました。なぜそのような言い回しをしたのかと。キーワードは極寒の冬。これはこの上なく困難な状況を表したのではないでしょうか」
ふんふん、ここまでは間違いではなさそうだ。誰も助けに来ない。食べ物も暖も無い。そんな絶望的な状況で2人だけ。確かにどうしようもない場面だな。で、だ。そこからどんなねじれ方をすれば抱き着こうという発想になるんだろう。
「つまりどのような苦難、困難も裸で抱き合えば万事解決ということで……はっ!」
目が雲ってやがる。理論がぴょんと大ジャンプしてやがる。どうしてそこで裸で抱き合うという部分にも疑問を持てなかったのか。そう突っ込みかけた、その時。体中に電流が走った感覚を覚えた。気付けたのだ。あのウロボロスとほぼ同時に、何を言わんとしたのかを。
「そ、そうです! 裸じゃないから効果がなかったのでは――!?」
「――あー、元気になった! ほら、こんなに元気!」
考えるな、今は動け。元気一杯さをアピールして活路を開くしかないのだから。気分はヒーローのように勢い良くベッドから飛び起きる。着地の衝撃で体の中がシェイクされたような違和感に襲われるけど我慢だ。ここで元気に振る舞えなければ二度と立つこともできなくなる。
「いやー、ウロボロスと話をするとすぐに回復できるんだよな! 瞬間回復! 健康の秘訣! 百薬の長!」
「そ、そうなのですか? 先程より顔色が青くなって……いえ、白くなっていますが」
「美白のお肌に憧れてな! 夜な夜なパッドをしているんだ! 綺麗だろ?!」
「……そうですね、我が君はいつも凛々しいです! あぁ、惚れ直してしまいます!」
よし、気合いと根性で難を乗り越えたぞ。まさに危機一髪だった。
一息吐きたいところだが、まだ気を緩めてはならない。酸っぱい何かがこみ上げてくるのだ。ここで粗相しようものなら看病されてしまう。
とにかくまずはポーションを、と本能的にウィンドウを操作しかけて止まる。ここでそんな物を取り出せば何かしらアクションを起こされるに違いない。駄目だ。頭が冬山のウロボロスの前でそれは駄目。ならば回復魔法で乗り切れば、いや、それも待て。この距離だ。魔法の反応を見た瞬間にウロボロスが飛び付いてくるかもしれない。命がかかっているんだ、甘い読みは死に直結する。
そうなるとやはりポーションしかあるまい。ドミニオンズ時代を思い出せ。神速のウィンドウ使いと仲間内で言われた超絶テクニックがあれば、きっと勝機はあると信じろ。
「我が君、やはり顔色が優れないように見えます。何かお持ちしましょうか?」
何も要らないから、あと少しの間でいいからこっちを見ないで欲しい。なんて言えるはずもなく、うん、待てよ。そうか、何も演技なんてしなくていい。ウロボロスがいない隙を突けばいいじゃないか。はは、どうして気が付かなかった。だが見過ごしはしなかったぞ。この千載一隅のチャンスを。
「そうだ、ウロボロス。コーヒーを一杯貰えないかな? 朝はやっぱりあれが欲しいんだよ」
「我が君が私のコーヒーを……! 少々お待ちください! 直ちにお持ち致します!」
こんなにも晴れやかな気分でウロボロスを送り出すのは初めてかもしれない。いかん、頬を緩めるな。ゆっくりでいいぞと口にしてはいけない。見送ろう。努めて普段通りに。
あれ、普段俺はどうやって見送っていただろうか。手を振ったか。そっちを見たか。いかん、思い出せない。いつも通りに振る舞うって難しい。落ち着け、何を演じようとしているんだ。わからないのなら、思うがままにした方がまだ自然というもの。頼む、感付いてくれるなよ。
「我が君がコーヒーを……っ!」
心配は杞憂だった。ウロボロスは暴走機関車のように脇目も振らず走り去って行った。うん、いつものウロボロスだ。そうなると少しばかりミスをしたことになる。なにせ、こんな状態の俺が要望したんだ。超特急で用意してしまうだろう。一刻の猶予もない。早く回復しなければ。ささっと手早くアイテムストレージを操作して、さぁ、ポーションをと手に取った時だった。
「おはようございます、愛しの魔王様。あぁ、今日もお美し……おや、どうされましたか? 顔色が……」
アザレアがやって来てしまった。なんて最悪なタイミング。予想だにしない伏兵。しかも一番嫌なウィークポイントを突かれた。つまり俺の顔を見て硬直された。心配もされた。これはもう完璧に気付かれたと考えた方がいい。何か上手い言い訳をしなければ。迅速かつ的確に。その間にウロボロスが戻って来たらアウトだ。
「あー……その、少し寝違えたらしい。悪いけど気分が優れない。急ぎの用事じゃなければまた今度にしてくれないか?」
「寝違えただけでそれほど体調を崩されるはずは……」
「現にこうなった。経過はどうあれ、これが事実だ。理解してくれ」
だからさ、早くユーターンしてくれないかな。もしくは目を瞑ってくれないかな。さっさとポーションを飲みたいんだよ。と、待てよ。全く話が通じなくなるのはウロボロスだけだ。アザレアなら話せば多少はわかってくれる気がする。それに万が一パワー勝負になっても負けない。だからアザレアの前なら隠れる必要はない。寝違えたと言い張り続ければ納得してくれそうな雰囲気をこのままものにできれば勝ちなのではないか。
「……う」
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