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第2章 暁の竜神
第10話 ユウとナディアの会談 1
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今日も一日頑張ったなぁ、それが素直な感想だった。万が一に備えた保険とはいえ、復興したばかりのオラクル・ラビリンスの全てをチェックするのは骨が折れる。明日もまた缶詰になるだろう。だが、今は考えるのはやめだ。仕事終わりのコーヒーブレイクを心置きなく満喫しなくては。
あー、味が薄い。でも体に、頭に染み渡っていくような快感は得られる。やがてカップが空になり、そろそろ休もうかと思った矢先の事。またしてもウロボロスがやって来る。また、と言った。言わせてくれ。だってさ、
「我が君、お疲れ様でした。お休みになられる前に、コーヒーは如何でしょうか?」
「え、えっと……その、ウロボロス?」
1日に何杯淹れると気が済むんだ。起床、3食、食事の合間に出されたのも合わせると20杯を優に超えている。もう腹の中はコーヒーしか入っていないだろうよ。中毒患者か、俺は。トイレが近くてたまらないぞ。そう訴えているのだが、見てくれ、このウロボロスの喜々とした表情を。
「これは自信作です。今度こそ大丈夫です。よくお休みになるためにも、是非ご賞味くださいませ」
多分だけど毎回、創意工夫を凝らして淹れているのだろう。相変わらず味は薄いものの、ほんのりと違う気がしている。豆を変えているのか、それとも何か調味料でも足したのか。少なくとも砂糖やミルクではない何かが混ぜられているのだろう。まぁ、あくまでも微かにそう感じる程度で、出汁が変わったかな、程度ではあるが。
まぁ、それでも違う味を出しているのは事実。それにこの笑顔。どうしても強くは断れず、ここまでズルズルと来てしまった。でも、それもここまでだ。
「あ、あのさ、コーヒーにはカフェインってものが入っていてな」
はっきり言って、そろそろ寝たい。時計を見ると、もう朝日が出てもおかしくない時刻だ。社会人ならまだ序の口だと思うだろうか。安心してくれ、もう2回は太陽が昇るのを見た。目が痛い。頭がボーッとする。体が怠い。仕事でもないのにどうしてここまで頑張ったのかと、自分自身に問いたいくらいだ。
理由はいくつかあるが、きっとその一助となっていたのは度々出されたコーヒーだろう。だからさ、そろそろ解放して欲しい。これ以上眠気覚ましの成分を取ってしまえば死ぬかもしれないぞ、俺。
「カフェイン……? それは、私の隠しき切れない愛じょ……いえ、最高の調味料と、何か関係が御座いますか?」
駄目だ、ウロボロスも連続の徹夜特有の謎のテンションになっている。くそう、もういっそ、このまま共倒れになってしまおうか。いや、待て待て。それは駄目だ。またカルマたちに心配をかけてしまう。寝なくては。俺のため、ウロボロスのため、そして皆のために。
「えーと、その、カフェインっていうのはな、眠気を覚ましてしまう効果があって。俺はそろそろ寝たいところで……」
「つまり、今夜は寝かせないということですね!? あぁ、遂に私の思いが届いたということにっ!」
あぁん、もう。どうして都合の良い部分だけ抽出しちゃうかな。その上、なぜ曲解しちゃうかな。もはや原型を留めてないぞ。
それもこれも、全てはルーチェのせいだ。あいつがアデルのコーヒーをあらぬ方向から褒めちぎったから、そのとばっちりが飛んできている。なんだよ、隠し切れない隠し味って。隠せないならどっかしまっておけっての。
そんなことより、今はウロボロスの暴走を止めないと。このままの勢いは危険。大変なことをされかねない。
「違う! い、いや、全く否定はしないよ? お前の気持ちは痛いほど伝わっているから! で、でもさ、そういうのは順序があってだな!」
必死に宥めていると、控えめなノックの音がする。この感じ、カルマだろうか。フェンリスは元気よくバーンと、アザレアはすっと入って来る。ムラクモはもう少し甲高いノックだ。なんて謎の分析をしていると、返答する前だというのにガチャリとドアが開いた。案の定、そこにはカルマが立っていた。
「魔王様、失礼するのじゃ」
「あぁ、やっぱりカルマか。どうした、こんな時間に?」
気付いただろうか。俺は今、いつもならしないミスを犯した。油断していた。これを転機に何とかして寝られないかな、とか考えていたんだ。眠気に負けそうな時、そんな甘えは命取り。見ろ、ウロボロスを。こちらもまた眠気に襲われて、いつも以上に理性のストッパーが緩々になってしまっているのだろう。俺の失言に敏感に反応し、目を吊り上げて詰め寄って来る。
「……む、やっぱりとは一体どういう意味ですか? まさか、カルマとそんな関係に……!」
そうだよね、そうくるよね。これじゃあ、まるで俺がカルマを呼んだみたいじゃんか。冷静に考えてみればこの2日、俺はずっとウロボロスと一緒にいた。離れていたのはコーヒーを淹れている間だけだ。そんな一瞬の隙を突いて、どうして俺がカルマと会う約束を交わせるだろう。ちょっと考えればわかるだろうに。
え、コーヒーを淹れるのだから一瞬ではないだって。甘いな。ウロボロスが俺からそう長く離れるものか。毎回1分足らずで済ませて来たんだぞ。最短記録は3秒だぞ。どうだ、凄いだろ。
「落ち着け、ウロボロス。何も無いから」
そんな自慢をしてもどうにもならないし、それはそれで悲しい話だ。カルマとイチャイチャしたい気持ちも無い訳ではない。ぶっちゃけカルマは好みだから。
あー、味が薄い。でも体に、頭に染み渡っていくような快感は得られる。やがてカップが空になり、そろそろ休もうかと思った矢先の事。またしてもウロボロスがやって来る。また、と言った。言わせてくれ。だってさ、
「我が君、お疲れ様でした。お休みになられる前に、コーヒーは如何でしょうか?」
「え、えっと……その、ウロボロス?」
1日に何杯淹れると気が済むんだ。起床、3食、食事の合間に出されたのも合わせると20杯を優に超えている。もう腹の中はコーヒーしか入っていないだろうよ。中毒患者か、俺は。トイレが近くてたまらないぞ。そう訴えているのだが、見てくれ、このウロボロスの喜々とした表情を。
「これは自信作です。今度こそ大丈夫です。よくお休みになるためにも、是非ご賞味くださいませ」
多分だけど毎回、創意工夫を凝らして淹れているのだろう。相変わらず味は薄いものの、ほんのりと違う気がしている。豆を変えているのか、それとも何か調味料でも足したのか。少なくとも砂糖やミルクではない何かが混ぜられているのだろう。まぁ、あくまでも微かにそう感じる程度で、出汁が変わったかな、程度ではあるが。
まぁ、それでも違う味を出しているのは事実。それにこの笑顔。どうしても強くは断れず、ここまでズルズルと来てしまった。でも、それもここまでだ。
「あ、あのさ、コーヒーにはカフェインってものが入っていてな」
はっきり言って、そろそろ寝たい。時計を見ると、もう朝日が出てもおかしくない時刻だ。社会人ならまだ序の口だと思うだろうか。安心してくれ、もう2回は太陽が昇るのを見た。目が痛い。頭がボーッとする。体が怠い。仕事でもないのにどうしてここまで頑張ったのかと、自分自身に問いたいくらいだ。
理由はいくつかあるが、きっとその一助となっていたのは度々出されたコーヒーだろう。だからさ、そろそろ解放して欲しい。これ以上眠気覚ましの成分を取ってしまえば死ぬかもしれないぞ、俺。
「カフェイン……? それは、私の隠しき切れない愛じょ……いえ、最高の調味料と、何か関係が御座いますか?」
駄目だ、ウロボロスも連続の徹夜特有の謎のテンションになっている。くそう、もういっそ、このまま共倒れになってしまおうか。いや、待て待て。それは駄目だ。またカルマたちに心配をかけてしまう。寝なくては。俺のため、ウロボロスのため、そして皆のために。
「えーと、その、カフェインっていうのはな、眠気を覚ましてしまう効果があって。俺はそろそろ寝たいところで……」
「つまり、今夜は寝かせないということですね!? あぁ、遂に私の思いが届いたということにっ!」
あぁん、もう。どうして都合の良い部分だけ抽出しちゃうかな。その上、なぜ曲解しちゃうかな。もはや原型を留めてないぞ。
それもこれも、全てはルーチェのせいだ。あいつがアデルのコーヒーをあらぬ方向から褒めちぎったから、そのとばっちりが飛んできている。なんだよ、隠し切れない隠し味って。隠せないならどっかしまっておけっての。
そんなことより、今はウロボロスの暴走を止めないと。このままの勢いは危険。大変なことをされかねない。
「違う! い、いや、全く否定はしないよ? お前の気持ちは痛いほど伝わっているから! で、でもさ、そういうのは順序があってだな!」
必死に宥めていると、控えめなノックの音がする。この感じ、カルマだろうか。フェンリスは元気よくバーンと、アザレアはすっと入って来る。ムラクモはもう少し甲高いノックだ。なんて謎の分析をしていると、返答する前だというのにガチャリとドアが開いた。案の定、そこにはカルマが立っていた。
「魔王様、失礼するのじゃ」
「あぁ、やっぱりカルマか。どうした、こんな時間に?」
気付いただろうか。俺は今、いつもならしないミスを犯した。油断していた。これを転機に何とかして寝られないかな、とか考えていたんだ。眠気に負けそうな時、そんな甘えは命取り。見ろ、ウロボロスを。こちらもまた眠気に襲われて、いつも以上に理性のストッパーが緩々になってしまっているのだろう。俺の失言に敏感に反応し、目を吊り上げて詰め寄って来る。
「……む、やっぱりとは一体どういう意味ですか? まさか、カルマとそんな関係に……!」
そうだよね、そうくるよね。これじゃあ、まるで俺がカルマを呼んだみたいじゃんか。冷静に考えてみればこの2日、俺はずっとウロボロスと一緒にいた。離れていたのはコーヒーを淹れている間だけだ。そんな一瞬の隙を突いて、どうして俺がカルマと会う約束を交わせるだろう。ちょっと考えればわかるだろうに。
え、コーヒーを淹れるのだから一瞬ではないだって。甘いな。ウロボロスが俺からそう長く離れるものか。毎回1分足らずで済ませて来たんだぞ。最短記録は3秒だぞ。どうだ、凄いだろ。
「落ち着け、ウロボロス。何も無いから」
そんな自慢をしてもどうにもならないし、それはそれで悲しい話だ。カルマとイチャイチャしたい気持ちも無い訳ではない。ぶっちゃけカルマは好みだから。
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