コトレットさんの不思議なお仕事~こちら異世界管理局~

胡散臭いゴゴ

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まっくろくらいの白雪姫・二つの下巻

68.【下巻/サイド・レアレテ】白雪姫ト七人の――……

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【まっくろくらいの白雪姫・下巻/現実編レアレテ(2/7)】



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 百万のルビールブラ、千万のダイアモンドデアマン
 本当に埋まっているのやら、運を天デイオスに任せて掘り続けるのさ!


 「さあ、次に紹介するは、パックとペックだのう。二人は兄弟で、つくろいやこしらえ物をするんよ。飾りからかごから、器用ないい指をしておるよ。その代わり、足がちといかんのだのう」
そう言われ、パックとペックを見ると、さすがの白雪姫もあっと叫びそうになりました。と言うのも、兄と弟は二人トゥエ一人エン一人エン二人トゥエ、腰から上は二人分揃っているのに、胴が腰でくっついていて、そこから下は一人分しかなかったのです。

 「俺達ゃ兄弟、バックと」
 「ペック。とっても仲良し」
 「いつでも一緒。何をするにも」
 「どこへ行くにも、いつでも一緒の」
 「仲良し兄弟。だって俺達、どうにもこうにも」
 
 「「離れられない間柄!」」

 同じ顔、同じ声、ひとつの体で二人は笑い、白雪姫も平気な顔をしているのが楽ではありません。リトル・ジョンが首を振り振り、
やっこさんらを初めて見りゃ、誰だって仰天ぎょうてんするさ。俺だって、てめえの●●●カジモド、棚に上げて腰抜かしたもんさ。わめき散らさないだけ、人間ができてらあ」


 「それで、やっこさんらや先生サヴァンこしらえた物、俺達の掘った物を、町で食べ物やら入り用の物と換えてくるのが、あっこの隅に座ってる奴の仕事なのさ。俺達ん中では、一等見てくれが上等だからな」


 そう言われたのは、き火から少し離れて胡坐あぐらをかいた髭面ひげづらの男。なるほど、顔に斜めに傷跡が走るのと、左の手首から先がないのとを除けば、まともな人間と変わらない見目をしておりました。白雪姫は、たぶんこの男は刑罰を受けた罪人クレミネオだろう、と見当をつけました。

 男は白雪姫をちらりと見ると、こう名乗りました。
ガタゴトうるルンペルシュテさい柱小僧ィルツヒェンだ」
白雪姫はぽかんとしましたが、そんな名前は小鬼ゴブリンのもの、からかわれたのだとすぐ気づき、口元に微笑み、目でとがめてやりました。すると男も、姫の利口なことを知って、恐ろしげな面相に思いがけない人懐っこい笑みを浮かべて、うやうやしく会釈をするのでした。


 白雪姫はリトル・ジョンにたずねました。
「けれども、その隣に座っている人は、もっと見目がいいのに」
手なし男の横におりましたのは、金色の髪の一本も損ないのない、●●●者カジモド達と一緒にいるのが不思議な、きれいな若者でした。
 若者は静かに微笑んで、き火の揺れるのを見つめておりました。けれどもリトル・ジョンはまた首を振り振り、
「ああ。あれはばかのトプシー・ハンスといって、頭が弱いんだ。あれは自分の鼻も見つけられねえばかだから、商い事はハンスの仕事じゃないのさ」

 そう言いました。見るとなるほど、ハンスは幸せそうな顔をして、自分のズボンの中に小用を足しているところでした。



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 こうして焚き火の七人トルチャ・シエテは仲間の紹介を終えると、今度はお客の娘さんトランジッテのことを知りたがりました。そこで姫は、まず隠し事したことをびました。

 「驚かせると思い、申しませんでした。私は白雪姫ブラネージュ、この国の王女です」

 そう明かすと七人は騒ぎ出し、リトル・ジョンが身を乗り出して叫びました。
「知っているぞ、知っているぞ。この国のお姫さんは俺らと同じ●●●者カジモドだと、町方の衆が話すのを聞いたことがある。あんたが噂の●●●カジモド姫の白雪姫か」

 リトル・ジョンがまじまじと姫の顔を覗き込んだものですから、鼻欠けが小人の頭をこつんとやり、
「失礼じゃねえかい。お姫様を、そうじろじろと見るもんじゃない、この礼儀知らずめ。しかし……なんだな。●●●者カジモドといってもお姫様なら、俺らとは違って、みんな大事にしてくれて、美味うまい物も食えて、さぞ幸せフェリーシなんだろうな」

 しみじみと言いましたので、白雪姫はお腹の中でほくそ笑み、顔に悲しみを浮かべました。
「いいえ、王族ロアーレに生まれた●●●者カジモドなぞは、何にもましてみじめなもの――……」


 そうして白雪姫ブラネージュは精一杯哀れな様子で、お城を追われることとなった顛末てんまつを語りました。うとむのは実の父ペーレあざけるのは家来達サバント……白雪姫は人の心の掛け金を外して、するりと内へ入り込むことを心得ておりましたので、お城での辛い暮らし、意地悪な継母ウィケッド、あわや王様の罠カヴァリオロに殺されかかった経緯を、一幕の物語ラコンテのように語って聞かせました。

 ですから身の上話が終わる頃には、七人のお人好し達は、もうすっかり白雪姫に同情して、一人残らず姫の味方になっておりました。
 こうして勇敢な賢いお姫様は、まずは少しだけ、焚き火の七人トルチャ・シエテの心の扉を開いてみせました。


 白雪姫ブラネージュの身の上話を聞いた焚き火の七人トルチャ・シエテは、もうすっかりこの可哀そうな女の子に同情しておりました。
 ひとつ目エン・オリオ先生サヴァンは黙って話を聞いておりましたが、やがて立ち上がりますと、目に涙さえ浮かべて姫を抱き締めました。
「もう心配はいらんよ、お姫様。ずっとここにおればいい。ここの連中は見目はまずいが、みな親切だから、お前さんに辛く当たる者はおらんよ。だから悲しいことは忘れて、わしらと楽しく暮らすといい」
先生が言ったので、残る六人も口々に、一緒に暮らすように言いました。
 白雪姫は女の子フィーユだから、お料理と糸紡いとつむぎができるでしょう。白雪姫がここに住めば、七人ももっと暮らし良くなるでしょう。

 リトル・ジョンが喜んで言いました。
「みんな、町暮らしが嫌で集まった口だ。そりゃあ森の中はお城と同じって訳にゃいかないが、なあに、住めば都ってなもんさ」
リーレがある。踊りバイレがある」
と声を上げたのは鼻欠け。
雨露あめつゆをしのぐにゃ、見捨てられた古い教会イグレシアがある。後は酒がありゃあ言うことなし。何より仲間がいる。これ以上、何を望むってんだ?」
そう言うと●●●者カジモド達は肩を組んで、体を揺すって歌い出しました、

 サヴァンも笑って、白雪姫の肩を叩きました。
「ここには幸せフェリーシがある。●●●者わしらが町では見つけられなんだ、幸せフェリーシがここにはあるのじゃよ」


 ところがです。

 白雪姫はこの気のいい連中をぐるりと見回すと、ふんと鼻で笑って、罰当たりにもこんなことを言ったのです。
幸せですってフェリーシ? あんた達は、こんな暮らしで満足していて、幸せフェリーシだって言うの?」



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 ●●●者カジモド達の歌が止みました。き火の七人は用心深く白雪姫を見ました。
「何て言ったんだ?」

 今だ、と白雪姫ブラネージュは思いました。

 飛んできた鳥を捕まえるように、この時を捕まえなくちゃならない。巧くやってのけなくちゃならない。この連中を舞台に上げて、踊らせて、しっかり心にクネロを打ち込んでやるには。さあ、心して掛からなくちゃならないぞ、と。
「だって、そうでしょう。そりゃ、町にいた頃と比べたら、ここでの暮らしは幾らかましでしょう。けれど、町で一番貧しい男だって、あんた達ほど惨めじゃない」

 「こんな森の奥に追っ払われて、木の実を集めて暮らしていて、それを幸せフェリーシと言っていて満足なのかしら?」

 「もう口を利くんじゃないよ、お嬢さんダミナーレ

 き火の七人は怒り出しました。
「お前は、俺達がここに逃げ込むまで、どんな辛い目に遭ってきたか、ちっとも知らないじゃないか。そりゃ、あんたは確かに可哀そうなお姫様だろうさ」
●●●者カジモド達は腹を立て、親切の気持ちをすっかりなくしてしまいました。
「けれども、お前さんは食うに困ったこともなけりゃあ、寒さに震えたこともない。お前さんは、本当に辛いことを何ひとつ知らないくせに、よくもそんな口が利けたもんだ」

 焚き火の七人トルチャ・シエテはこの恩知らずな娘を、今にも暗い森に叩き出さんだかりでした。


 けれども白雪姫ブラネージュは、平気な顔をしておりました。


 さあ、お前は背中をしゃんとして、しっかりきもを据えないといけないぞ。飛んできた鳥を捕まえろ、舞台に上げて踊らせろ。白雪姫は立ち上がると、七人の険しい目つきを跳ね除け、逆ににらみつけました。
「ああ、私は知らない。あんた達が遭ってきたという、辛い目なんて、ちっとも知りはしない」

 「けれども、私は知っている――……●●●者あんた達が幸せフェリーシと呼んでいるものなんて、たかが人並みの暮らしにも及ばないってことを。一国の王女プリンツェスィンに生まれる幸せフェリーシは、よその●●●者カジモドよりましってくらいのものでは、ないことを」

 焚き火の七人トルチャ・シエテは、お姫様の堂々とした振る舞いに驚いて、腹を立てていたのを忘れ、話に聞き入りました。白雪姫ブラネージュは首尾よく舞台を支配したことに、満足しながら続けました。
「そなたらは、不幸せの泉にとっぷり浸かって、心まで●●●カジモドになりかかっているのだ。私は違う。私は諦めない。私は本物の王女プリンツェスィンの喜びを、私を見下した者どもに、全て報いを与えることを諦めない」

 「けれども、私の望みを叶えるのは、私一人の力では足りないのだ」

 姫がずいと踏み出したので、き火の七人は、慌てて後ろに下がらねばならず、太っちょのビッグ・ジョンなどは尻もちをつきました。白雪姫は声高く言います。
「私は報いる――……」
 
 「私は必ず報いる。仇には仇ベンデ・レ・ベンデ恩には恩ベネフ・レ・ベネフで。私はそなたらの助けが欲しい。私はそなたらを梯子はしごの下まで連れて行こう。しくじったら奈落の底アビスまで真っ逆様だけど、登り詰めればお月様セレイネにも手が届く」

 そう言って、き火の七人を見据えた白雪姫の、掛け値なしの王女の威厳いげんを見て、●●●者カジモド達は王様の前に引き出されたような気持ちで、おそれにぶるぶる震えるしかありません。
「さあ、選びなさい。このまま一生鼠みたいに森を這い回り、凍えてみじめに死んでいくか、それとも、今の小さな幸せフェリーシをそっくり失う覚悟で賭けて、そなたらには望むべくもない高みを目指して、私についてくるか」


 白雪姫が口上をしまうと、●●●者カジモド達は静まり返り、焚き火トルチャにくべた枝がぱちぱち鳴って、八つの影を無気味に揺らしました。七人の●●●者カジモド達は顔を見合わせて、ばかのハンストプシーテさえ、神妙な顔で押し黙っているのでした。

 誰も何も言えずに、長いこと立ちました。

 すると出し抜けに、先生サヴァンが笑い出しました。仲間達がぽかんとしているのを尻目に、サヴァンはお腹の底から、さも愉快そうに笑いました。
「気に入った!」
サヴァンは叫びました。
「まったくもって、気に入りましたぞ、お姫様プリンツェスィン。あんた様はまったく、たいしたお人、おそれ多いお人ですわい!」
残りの者達も、サヴァンと同じ気持ちでした。き火の七人は、もうすっかりこの●●●者カジモドのお姫様に、心の内に入り込まれておりました。


 こうして白雪姫は、七人の小人と仲良くなり、一緒に暮らすことになりました。



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次のお話は【幻想編パンタシア】の第2話。
物語は【現実編レアレテ】と【幻想編パンタシア】を交互に繰り返します。

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