【R18】お猫様のお気に召すまま

環名

文字の大きさ
上 下
62 / 73
【5】重なる想い

6.蜜月①**

しおりを挟む
「キアラ、どうかした? …挙動不審」
 かちこちになったキアラの上に、笑みを含んだご主人様の声が降ってくる。
 ご主人様の顔も笑みを堪えているように見えて、キアラは元々の羞恥に更に羞恥が重なって取り乱した。


「だ、だって、ご主人様が、裸です。 どこを見ていいか、わかりません」
 あたふたとしたキアラに、ご主人様は怒った様子もなく、即座に提案をしてくれる。
「じゃあ、抱っこした方がいい?」
 この辺の発言は、ご主人様のおおらかさと、柔軟さの表れだと思う。
 キアラはそんなところも大好きなのだが、その提案にキアラは頷くことができなかった。

「や、です…。 ご主人様が見えないの、いやです」
 もごもごと、キアラがキアラなりの理由を披露すると、ご主人様はふっと吹き出した。
「我儘だなぁ、キアラ」


 キアラのことを我儘だと言いつつも、ご主人様に怒った様子はない。
 ご主人様はキアラを下敷きにしていて、キアラもご主人様もお互いに裸。
 ご主人様の男性の象徴は興奮状態のままなのに、キアラの準備をしてくれている最中なのだ。
 気の長いところも、ご主人様のいいところだと思う。


 ご主人様に怒った様子ではないけれど、果たして本当にそうかはわからない。
 だから、念のため、とキアラはご主人様に、尋ねる。
「我儘なキアラは、お嫌ですか…?」
 上目遣いにご主人様を見れば、ご主人様は笑ってくれた。
「ううん、可愛い」


 可愛い、という言葉に、キアラは目を丸くする。
 くすぐったいけれど、嬉しくて、キアラが微笑むと、ご主人様も安堵したような表情になった。
「やっと笑ってくれた。 さわりっこしてるときと一緒。 緊張しなくて大丈夫」
 ご主人様は、キアラの上に覆いかぶさるようになったまま、キアラの顔を両手で挟むようにしてふにふにと撫でてくれる。
 そして、キアラの緊張を解くように、何度も何度も角度を変えてキアラの唇に優しいキスをくれるのだ。
 いつもの、さわりっこをするときよりも、ご主人様の動きが慎重なことは、キアラでもわかった。


「にゃ!」
 気持ちのいいところに触れられて、キアラが甲高い声を上げる度に、ご主人様は宥めるようにキアラの額にキスをくれる。


「いや? やめる?」
 キアラは、気持ちがよくて声が出るだけなのに、ご主人様はそんなふうに尋ねてくるのだ。
 まるで、確かめるよう、というか、証拠が欲しいのかもしれない。
 キアラの了承を取って、ひとつひとつ進んでいるのだと、キアラに理解してほしいのかもしれない、と思って、キアラは首を横に振る。
「やめない、です…」
 キアラがそう返事をする度に、ご主人様は安堵したように、嬉しそうに微笑んでくれる。
「うん、可愛い。 いい子」


 ちゅっと一度唇にキスをくれると、ご主人様はキアラに添い寝をするように寄り添って、ごそごそとキアラの身体の下に腕を回す。
 ご主人様が先ほどまで熱心に舐めしゃぶっていて、ぷっくりと膨らんだキアラの胸の先を、今度は指先でくにくにといじりはじめた。


「んん」
 大きな声が出ないように、キアラはぎゅっと目を瞑ってきゅっと唇を噛む。


 ご主人様は、キアラの気持ちいいところなんて知り尽くしているから、キアラの猫の耳をかぷかぷと食み、舌先でなぞり始めるのだ。
 毛が口に入るから止めてほしいとキアラはご主人様に言ったのに、ご主人様はキアラの耳を舐めるのがお好きらしい。
 困ったことであるとは思いながらも、キアラも気持ちいいので結局有耶無耶になっている。


「こっちも、指、増やしていいね」
 ご主人様の、キアラの胸の先をいじっていないほうの手が、キアラの脚の間にそっと触れた。


 つい先ほどまで、ご主人様の指が入っていたその場所は、もう既にとろとろになっていて、ご主人様の指が入口に触れた瞬間、きゅううとなった。
 キアラのそこは、ご主人様の指が気持ちいいことを知っている。
 拒む理由なんて、どこにもないのだ。


「は、はい…」
 キアラが返事をすると、ご主人様はキアラの耳にキスをしながら、ぐにゅう…とキアラのなかに指を埋めた。
「にゃ…」
 もう、そこは、とろとろの、ふやふやで、ご主人様が少し指を動かしただけでちゃぷちゃぷと水音がし始める。
 もう、何度もご主人様の手で経験してきたことだから、キアラはすぐにわかって、ご主人様に訴えた。
「ぁ、あ、そんなにされると、出ます」


「出る? 何が?」
 耳にキスをするのを止めたご主人様は、キアラの顔を覗き込んで訊いてくる。
 ご主人様だって、キアラに何度も何度も今と同じことをしているのだから、何が出るのかなんてわかっているはずなのに、いつもそうやって訊いてくるのだ。
 だからキアラもいつも、恥ずかしいのを我慢して、答える。
「お、しお、出ちゃいますぅぅ…」


 ご主人様をじっと見つめながら訴えると、ご主人様はきらきらで素敵な微笑みを浮かべた。
「出していいよ。 俺、キアラの潮吹き見るの、好き」


 その素敵な笑顔と、ご主人様の言葉に、ご主人様の指を呑み込んでいる場所も、胸も、きゅううううとなる。
 恥ずかしい、けれど、ご主人様が好きと言ってくれるならいいかもしれない、といつも思ってしまう。
 キアラの潮吹きが好きだとご主人様は言ったが、キアラ自身を好きだと言ってもらえているように錯覚するのだ。


 くっくっと優しくだけれど執拗にその場所を刺激されて、ちゃぷちゃぷという水音が大きくなっていく。
 出る、出る、と思いつつ、キアラはぐっと唇を噛んで耐えていた、けれど。
 すぐに我慢できなくなる。
 正確には、我慢できるような類のものではなかったのだ。


「にゃあっ…ぁぁ、あ」
 くっくっと刺激するご主人様の指の動きに合わせて、ぷしゃっぷしゃっと雫が噴き出す。
 ひくっひくっとキアラの身体が跳ねた。
 ご主人様が指の動きを止めた後も、きちんと閉められていない蛇口のように、ちょろちょろと何かが流れるような感じがする。


「ふえ、ぇ」
 自分の身体が、自分の意のままにならなくて、壊れてしまったかのように思えて、キアラは泣きそうになる。
 もう、ほとんど泣いていたと言ってもいい。
 そんなキアラの身体を優しく抱きしめて、ご主人様はキアラの耳ごと頭を撫でてくれる。
「大丈夫。 怖くないよ、いっぱい出たね」


 ご主人様にそうしてもらっていると、気持ちも身体も落ち着いてきたような気がしてくるのだから、キアラは本当に容易い。
しおりを挟む

処理中です...