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<ひとやすみ>さあ写真を撮ってみよう
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玄奘に、守護霊がいると教えてもらった僕は、そわそわと土日を過ごし、月曜日、はりきって学校に登校した。
気が逸って、いつもよりも三十分ほど早く教室に着いたが、早朝の学校・早朝の教室というものはこんなにがらんとしているんだ、というのも新たな発見だ。
夏休みには、廃病院肝試しツアーを決行したオカルト研究部だが、次は廃学校肝試しツアーもいいかもしれない。
うきうき・わくわく・そわそわ…と、待っている僕に反して、比較的仲のいい友人はまだ登校してこない。
ちらほらと教室の席は埋まりだしたが、普段それほど話さないただのクラスメイトに、「写真撮ってほしいんだけど!」とお願いするのも変な気がする。
既に、【割と変人】のレッテルは貼られているかもしれないけれど、割と僕、人見知りなんだよねぇ…。
腕組みをして目を閉じ、首を捻って悩む僕の耳に、あっけらかんとした声が聞こえた。
「あれ、トノ今日早いじゃん」
「おはよう!」
僕は、サッと顔を上げて、ピッと背筋を正して、腹から声を出す。
小・中と一緒で現在クラスメイトの及川智之は、ビクッとすると心持ち身体を後ろに反らした。
「…え…、何、今日のトノ、三割増しくらいできらきらしてね…?」
それは、やる気と期待に満ち溢れているから当たり前だ。
僕は、ずずい、と僕のスマホを智之――トモに突きつけた。
「ねぇ、僕のこと撮って!」
途端に、トモは不審げに眉を顰める。
一体何を言ってるんだ、と顔にはありありと書いてあるように見えた。
「は? 何、急に。 いつも、写真嫌いだって言うじゃん」
確かに、僕は写真に写るのが苦手だ。
集合写真など、避けられないときは我慢もするが、自分の写真を残す意味はわからない。
振り返って、その当時を懐かしむためだろうか。
きっと、僕は過去に執着していないんだと思う。
今回僕が写真を撮ってほしいのは、僕の記録を残すためではなくて、僕についているという守護霊の存在を明らかにするため。
だからといって、そのことをトモに説明しようとは思わないけれど。
僕は、にっこりと笑って、ずいずいとスマホをトモに近づける。
「いいから撮って!」
「あー…、はいはい。 トノの顔面には敵わないわ」
肩を竦めたトモは、背負っていたバッグを下ろしながら、そんなことを言った。
顔面、と言われて、僕はきょとんとしてしまった。
確かに、僕は顔がいいらしい。
可愛いとかかっこいいとか、よく言われるし、父の知り合いの芸能関係者から「芸能界に興味ない?」ということを聞かれたこともある。
この顔が好きかどうかと問われると、生まれ持ったものなのでしょうがないか、くらいの感じだ。
「はい、笑って~」
トモがスマホを構えているのを見て、僕は不思議に思う。
トモが構えているのは、トモのスマホだ。
僕のスマホは、僕の手の中にある。
「なんで僕のスマホ使わないの?」
「トノのスマホで撮っても面白いことないって」
それは、トモのスマホで撮ると、何か面白いことになるということだろうか。
僕のテンションは一気に上がって、自然と唇が弧の形を描く。
トモは、小学校からの付き合いなので、もちろん僕のオカルト好きも知っているはずだ。
何かサプライズがあるようだ、と気持ちを浮き立たせながら、僕は笑顔でピースサインを作った。
気が逸って、いつもよりも三十分ほど早く教室に着いたが、早朝の学校・早朝の教室というものはこんなにがらんとしているんだ、というのも新たな発見だ。
夏休みには、廃病院肝試しツアーを決行したオカルト研究部だが、次は廃学校肝試しツアーもいいかもしれない。
うきうき・わくわく・そわそわ…と、待っている僕に反して、比較的仲のいい友人はまだ登校してこない。
ちらほらと教室の席は埋まりだしたが、普段それほど話さないただのクラスメイトに、「写真撮ってほしいんだけど!」とお願いするのも変な気がする。
既に、【割と変人】のレッテルは貼られているかもしれないけれど、割と僕、人見知りなんだよねぇ…。
腕組みをして目を閉じ、首を捻って悩む僕の耳に、あっけらかんとした声が聞こえた。
「あれ、トノ今日早いじゃん」
「おはよう!」
僕は、サッと顔を上げて、ピッと背筋を正して、腹から声を出す。
小・中と一緒で現在クラスメイトの及川智之は、ビクッとすると心持ち身体を後ろに反らした。
「…え…、何、今日のトノ、三割増しくらいできらきらしてね…?」
それは、やる気と期待に満ち溢れているから当たり前だ。
僕は、ずずい、と僕のスマホを智之――トモに突きつけた。
「ねぇ、僕のこと撮って!」
途端に、トモは不審げに眉を顰める。
一体何を言ってるんだ、と顔にはありありと書いてあるように見えた。
「は? 何、急に。 いつも、写真嫌いだって言うじゃん」
確かに、僕は写真に写るのが苦手だ。
集合写真など、避けられないときは我慢もするが、自分の写真を残す意味はわからない。
振り返って、その当時を懐かしむためだろうか。
きっと、僕は過去に執着していないんだと思う。
今回僕が写真を撮ってほしいのは、僕の記録を残すためではなくて、僕についているという守護霊の存在を明らかにするため。
だからといって、そのことをトモに説明しようとは思わないけれど。
僕は、にっこりと笑って、ずいずいとスマホをトモに近づける。
「いいから撮って!」
「あー…、はいはい。 トノの顔面には敵わないわ」
肩を竦めたトモは、背負っていたバッグを下ろしながら、そんなことを言った。
顔面、と言われて、僕はきょとんとしてしまった。
確かに、僕は顔がいいらしい。
可愛いとかかっこいいとか、よく言われるし、父の知り合いの芸能関係者から「芸能界に興味ない?」ということを聞かれたこともある。
この顔が好きかどうかと問われると、生まれ持ったものなのでしょうがないか、くらいの感じだ。
「はい、笑って~」
トモがスマホを構えているのを見て、僕は不思議に思う。
トモが構えているのは、トモのスマホだ。
僕のスマホは、僕の手の中にある。
「なんで僕のスマホ使わないの?」
「トノのスマホで撮っても面白いことないって」
それは、トモのスマホで撮ると、何か面白いことになるということだろうか。
僕のテンションは一気に上がって、自然と唇が弧の形を描く。
トモは、小学校からの付き合いなので、もちろん僕のオカルト好きも知っているはずだ。
何かサプライズがあるようだ、と気持ちを浮き立たせながら、僕は笑顔でピースサインを作った。
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