先生、質問です。

ひらめ

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幻想

幸せって。

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萌には1番に報告した。
萌はすごく喜んでくれた。


聖も宣言通り大切にしてくれて、会える時は会って、会えない時は電話した。


こういうのが幸せなんだろうな。
わたし今まで何を不安に思っていたんだろう。



彩奈にも報告した。
彩奈はびっくりしていた。

彩奈「前さ、うちに好きな人いるか聞いてきたよね?その人のことだったんだ?」

小春「あー、そんなこともあったね。」


あの時は聖より先生だったかも。
なんかすごく前な気がする。


体育の授業では、先生は今まで通り普通に接してくれる。
わたしはすこし違和感を感じながらも
ほかの先生と同じようにみようと努力した。


体育の授業中、体操服のポケットから携帯の振動がつたわった。
聖からLINEだ。こっそりLINEをみた。


聖LINE「今日バイト休みだよね?会える?夜。」


返事をしようとした途端「小春~!!」クラスメイトから呼ばれ
咄嗟にいつも体育の時に持ってくるタオルの下に携帯を隠した。


そして体育の授業を終え彩奈と教室に戻っていると
タオルと携帯が無いことに気づく。


小春「体育館に携帯わすれた!!!」

彩奈「やば!!!見つかったらやばいから取りに行こ!」

小春「1人でいってくるから、先に教室に帰ってて!」


彩奈を残し駆け足で体育館に戻った。




体育館に入るとまさかの平野先生が立っていた。

わたしの携帯とタオルを持って。




先生「上杉~、携帯を堂々と忘れるなんていい度胸してるな。」

小春「すみません!」

先生「・・・上杉、この前の機嫌はなおった?」

小春「あ、すみません。」


先生が吹き出して笑う
その顔をみると自然とわたしも笑いが出た。


先生「お前さ、ほっとけないんだよ。」

小春「え?」

先生「知ってる人に似ててさ。気になっちゃうんだよ」

小春「はぁ、、、」

先生「上杉、何でこのタイミングでお前と出会ったんだろ」

小春「先生?よく意味わからないんですけど。」

先生「ほおっておけない。本当に似てるんだよ。全然違う人なのにごめんな。」


先生は少し寂しそうな眼差しでわたしを見つめる


なんだか、わたしも放っておけない・・・そんな気持ちになる


小春「奥さんとですか?この前見た時は私と似てる感じではなかったですけど。」

先生「あー、いや、あいつには似てないなぁ。大切な人に似てるんだよ」



先生は床に座りすごく辛そうな顔をした。
だが、わたしを見つめるとすぐに我に返ったようにいつもの笑顔を頑張って作ろうとした。


胸がギューっとなる感じがわかった。




そして何故こんなことをしたのかわからないが
気づいたら先生を抱きしめていた。


先生はびっくりしていたが、少しだけわたしが抱きしめた腕を握り返してくれた。



そしてチャイムがなり、現実に戻る



先生「お前つぎの授業だろ!着替えもしてないし、急いで戻れ。携帯返すから。次の先生には俺から用事を頼まれ遅くなったて言っていいから。
ごめんな?」



この場から離れたくなかった。

出来れば一緒にいたいと思ってしまった。
だけど、戻らなければならない
先生を1人にしたくない



先生からまた頭をポンポンと優しく叩かれ
先生「上杉、ありがとな。」


いつもの先生の顔に戻っていた。


わたしはそのまま体育館を飛び出した



心臓が痛いくらいドキドキしている。
こんなことしていいはずもないのに
まだ求めそうになる自分に恐怖を感じた





先生、この一瞬先生ではない顔をみせてくれた事
わたし幸せでした。
本当にもうこのまま消えたいと思うくらい
ほんの少しでも幸せだと思ってしまいました。


そして、聖・・・ごめんなさい。
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