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第一章 幼少期編
第6話 邂逅ってなんだか格好いいから使いたい
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強さを求め無駄で非効率的な手段でしかない手探り修行ではあるが、頭脳は大人なので同年代よりアドバンテージは取れているという自覚はある。
「最適解はやっぱり魔獣との戦闘だけど、流石に無謀過ぎる。しかし、村の外に出てみたいという冒険心は抑えきれない」
チートなステータス補正がないと分かった時点で魔獣討伐をして強くなるという選択肢はなくなったが、異世界の醍醐味の夢をそう簡単に捨て切れる訳がなかった。
「様子見だ……うん、あくまでも今後のための視察をするんだ……行くか」
クロウの村の外への渇望が再び燃え上がったのには理由がある。村の南側にある防壁の一ヶ所に小さな子供が通れるくらいの小さな穴が空いている事を発見したからだ。
「薬草、毒消草、非常食、果物ナイフ…初期装備としてはこんなもんだろう」
クロウはまだ知らなかった。この村の周辺は所謂スライムの様な弱いモンスターは存在せず、中級者向けの山奥だという事。なぜ村なのに柵ではなく防壁なのかを。
「さあ! 冒険の始まりだ! レベリングだ!」
人通りの少ない裏道を息を殺しながら進み、問題なく穴の空いた防壁までたどり着いた。
「くっ! 意外に狭いな……うらぁぁぁ!!」
防壁を抜けるとそこは一面森だった。
「男は度胸! 女は愛嬌!」
想像以上の光景に思わず足が止まり鼓舞するように大声を出すと、一歩また一歩と牛歩のように森の中を進んで行く。
「ここは薬草の群生地かな?」
稀に開けた場所が現れ、様々な草が生えていたりする。慣れてきたのもあり奥に進むにつれ周囲を見渡す余裕も出てきた。
運が良いのかここまで魔獣とのエンカウントはない。
「なんか拍子抜けだな」
何度目かの開けた場所で休憩をとる。ちょうど日に当たり気持ちが良かった。
「あぁ……ぽかぽかする」
あまりのエンカウントのなさに気が抜けてしまい、ついうとうとし出した瞬間。唐突にそれは訪れた。
ドォーン!! バキバキ!! グォォォォ!!
「はっ!」
素早く臨戦状態に入り、可能な限り身を屈めるた目線の先には古の神かと勘違いするほど大きなイノシシ型の魔獣が興奮状態で登場した。まだロックオンはされていないようだ。
(逃げちゃだめだ! 逃げちゃだめだ……じゃない! 逃げなきゃだめだ! そうこれは戦略的撤退!)
イノシシ型の魔獣に気付かれないよう慎重に踵を返す。
「おいっ! お前! 人族か?」
「なっ!」
急に声をかけられた事にびっくりして声を出してしまった。その声に反応したイノシシ型の魔獣がこちらに気付き鈍足ではあるが迫力のある姿で突進して来た。
「ちょっ! 待てよ!」
「おーい、人族の童よどこへ行く?」
「うるせぇ! それどころじゃないんだよ!」
鈍足とはいえ、こちらは五歳児。余裕を持って避けても突進の風圧でゴロゴロと飛ばされる。
「面白いことをするもんじゃのぉ人族とは、ぎゃははははっ!」
(くそっ! 死ぬぅぅぅぅ!! 誰だ一体)
辺りを見渡すが声の主は見つからない。
「上じゃ上!」
「はぁ!? こっちはそれどころじゃないんだよ!!」
「なんじゃ? 困っておったのか、ならば」
シュッ! ズシーンッ!!
さっきまで猛々しく襲ってきたイノシシ型の魔獣は頭と胴体が分離した状態で地に伏せていた。
「うそーん!」
「やれやれ、人族はたかだかビッグボア程度も狩れんのか」
イノシシ型の魔獣の名前はビッグボアと言うらしい。
倒れたビックボアの上に仁王立ちでため息を吐きながらドヤ顔をしている人物が自分とそう年齢が変わらない少年だった。唯一の違いと言えば頭にツノが生えているくらいである。
「狩れるか! なんだよお前!」
「ん? 我か? 我はスフィア・エル・ガルガランドである!」
これが俺とスフィア・エル・ガルガランドの運命的な邂逅であった。
「最適解はやっぱり魔獣との戦闘だけど、流石に無謀過ぎる。しかし、村の外に出てみたいという冒険心は抑えきれない」
チートなステータス補正がないと分かった時点で魔獣討伐をして強くなるという選択肢はなくなったが、異世界の醍醐味の夢をそう簡単に捨て切れる訳がなかった。
「様子見だ……うん、あくまでも今後のための視察をするんだ……行くか」
クロウの村の外への渇望が再び燃え上がったのには理由がある。村の南側にある防壁の一ヶ所に小さな子供が通れるくらいの小さな穴が空いている事を発見したからだ。
「薬草、毒消草、非常食、果物ナイフ…初期装備としてはこんなもんだろう」
クロウはまだ知らなかった。この村の周辺は所謂スライムの様な弱いモンスターは存在せず、中級者向けの山奥だという事。なぜ村なのに柵ではなく防壁なのかを。
「さあ! 冒険の始まりだ! レベリングだ!」
人通りの少ない裏道を息を殺しながら進み、問題なく穴の空いた防壁までたどり着いた。
「くっ! 意外に狭いな……うらぁぁぁ!!」
防壁を抜けるとそこは一面森だった。
「男は度胸! 女は愛嬌!」
想像以上の光景に思わず足が止まり鼓舞するように大声を出すと、一歩また一歩と牛歩のように森の中を進んで行く。
「ここは薬草の群生地かな?」
稀に開けた場所が現れ、様々な草が生えていたりする。慣れてきたのもあり奥に進むにつれ周囲を見渡す余裕も出てきた。
運が良いのかここまで魔獣とのエンカウントはない。
「なんか拍子抜けだな」
何度目かの開けた場所で休憩をとる。ちょうど日に当たり気持ちが良かった。
「あぁ……ぽかぽかする」
あまりのエンカウントのなさに気が抜けてしまい、ついうとうとし出した瞬間。唐突にそれは訪れた。
ドォーン!! バキバキ!! グォォォォ!!
「はっ!」
素早く臨戦状態に入り、可能な限り身を屈めるた目線の先には古の神かと勘違いするほど大きなイノシシ型の魔獣が興奮状態で登場した。まだロックオンはされていないようだ。
(逃げちゃだめだ! 逃げちゃだめだ……じゃない! 逃げなきゃだめだ! そうこれは戦略的撤退!)
イノシシ型の魔獣に気付かれないよう慎重に踵を返す。
「おいっ! お前! 人族か?」
「なっ!」
急に声をかけられた事にびっくりして声を出してしまった。その声に反応したイノシシ型の魔獣がこちらに気付き鈍足ではあるが迫力のある姿で突進して来た。
「ちょっ! 待てよ!」
「おーい、人族の童よどこへ行く?」
「うるせぇ! それどころじゃないんだよ!」
鈍足とはいえ、こちらは五歳児。余裕を持って避けても突進の風圧でゴロゴロと飛ばされる。
「面白いことをするもんじゃのぉ人族とは、ぎゃははははっ!」
(くそっ! 死ぬぅぅぅぅ!! 誰だ一体)
辺りを見渡すが声の主は見つからない。
「上じゃ上!」
「はぁ!? こっちはそれどころじゃないんだよ!!」
「なんじゃ? 困っておったのか、ならば」
シュッ! ズシーンッ!!
さっきまで猛々しく襲ってきたイノシシ型の魔獣は頭と胴体が分離した状態で地に伏せていた。
「うそーん!」
「やれやれ、人族はたかだかビッグボア程度も狩れんのか」
イノシシ型の魔獣の名前はビッグボアと言うらしい。
倒れたビックボアの上に仁王立ちでため息を吐きながらドヤ顔をしている人物が自分とそう年齢が変わらない少年だった。唯一の違いと言えば頭にツノが生えているくらいである。
「狩れるか! なんだよお前!」
「ん? 我か? 我はスフィア・エル・ガルガランドである!」
これが俺とスフィア・エル・ガルガランドの運命的な邂逅であった。
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