異世界で過ごす悪役ロールプレイ ~努力をしないチート能力者と転生者は無慈悲に駆逐する~【コミカライズ連載決定】

む~ん

文字の大きさ
6 / 156
第一章 幼少期編

第6話 邂逅ってなんだか格好いいから使いたい

しおりを挟む
 強さを求め無駄で非効率的な手段でしかない手探り修行ではあるが、頭脳は大人なので同年代よりアドバンテージは取れているという自覚はある。

「最適解はやっぱり魔獣との戦闘だけど、流石に無謀過ぎる。しかし、村の外に出てみたいという冒険心は抑えきれない」

 チートなステータス補正がないと分かった時点で魔獣討伐をして強くなるという選択肢はなくなったが、異世界の醍醐味の夢をそう簡単に捨て切れる訳がなかった。

「様子見だ……うん、あくまでも今後のための視察をするんだ……行くか」

 クロウの村の外への渇望が再び燃え上がったのには理由がある。村の南側にある防壁の一ヶ所に小さな子供が通れるくらいの小さな穴が空いている事を発見したからだ。

「薬草、毒消草、非常食、果物ナイフ…初期装備としてはこんなもんだろう」

 クロウはまだ知らなかった。この村の周辺は所謂スライムの様な弱いモンスターは存在せず、中級者向けの山奥だという事。なぜ村なのに柵ではなく防壁なのかを。

「さあ! 冒険の始まりだ! レベリングだ!」

 人通りの少ない裏道を息を殺しながら進み、問題なく穴の空いた防壁までたどり着いた。

「くっ! 意外に狭いな……うらぁぁぁ!!」

 防壁を抜けるとそこは一面森だった。

「男は度胸! 女は愛嬌!」

 想像以上の光景に思わず足が止まり鼓舞するように大声を出すと、一歩また一歩と牛歩のように森の中を進んで行く。

「ここは薬草の群生地かな?」

 稀に開けた場所が現れ、様々な草が生えていたりする。慣れてきたのもあり奥に進むにつれ周囲を見渡す余裕も出てきた。
 運が良いのかここまで魔獣とのエンカウントはない。

「なんか拍子抜けだな」

 何度目かの開けた場所で休憩をとる。ちょうど日に当たり気持ちが良かった。

「あぁ……ぽかぽかする」

 あまりのエンカウントのなさに気が抜けてしまい、ついうとうとし出した瞬間。唐突にそれは訪れた。

 ドォーン!! バキバキ!! グォォォォ!!

「はっ!」

 素早く臨戦状態に入り、可能な限り身を屈めるた目線の先には古の神かと勘違いするほど大きなイノシシ型の魔獣が興奮状態で登場した。まだロックオンはされていないようだ。

(逃げちゃだめだ! 逃げちゃだめだ……じゃない! 逃げなきゃだめだ! そうこれは戦略的撤退!)

 イノシシ型の魔獣に気付かれないよう慎重に踵を返す。

「おいっ! お前! 人族か?」

「なっ!」

 急に声をかけられた事にびっくりして声を出してしまった。その声に反応したイノシシ型の魔獣がこちらに気付き鈍足ではあるが迫力のある姿で突進して来た。

「ちょっ! 待てよ!」

「おーい、人族の童よどこへ行く?」

「うるせぇ! それどころじゃないんだよ!」

 鈍足とはいえ、こちらは五歳児。余裕を持って避けても突進の風圧でゴロゴロと飛ばされる。

「面白いことをするもんじゃのぉ人族とは、ぎゃははははっ!」

(くそっ! 死ぬぅぅぅぅ!! 誰だ一体)

 辺りを見渡すが声の主は見つからない。

「上じゃ上!」

「はぁ!? こっちはそれどころじゃないんだよ!!」

「なんじゃ? 困っておったのか、ならば」

 シュッ! ズシーンッ!!

 さっきまで猛々しく襲ってきたイノシシ型の魔獣は頭と胴体が分離した状態で地に伏せていた。

「うそーん!」

「やれやれ、人族はたかだかビッグボア程度も狩れんのか」

 イノシシ型の魔獣の名前はビッグボアと言うらしい。
 倒れたビックボアの上に仁王立ちでため息を吐きながらドヤ顔をしている人物が自分とそう年齢が変わらない少年だった。唯一の違いと言えば頭にツノが生えているくらいである。

「狩れるか! なんだよお前!」

「ん? 我か? 我はスフィア・エル・ガルガランドである!」

 これが俺とスフィア・エル・ガルガランドの運命的な邂逅であった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

処理中です...