65 / 156
第二章 立志編
第65話 冷静と情熱のあいだ
しおりを挟む
カインとマリベルの遺体は教会へ運び込まれ、エリーナの手によって丁寧に棺桶に安置された。
リュウシンとゼクトは二人の訃報を聞きつけ駆けつけていた。
「カイン! マリベル! 嘘だろ!?」
「……クロ~これはどういう事なのかなあ?」
リュウシンは未だに信じられないといった感じで二人に語りかけ、ゼクトは怒りを抑え何が起こったのかを問いただす。
「すまん……全部俺の責任だ」
ボコッ! ガラガラガラッ!
リュウシンの拳がクロの顔面を捉え、吹き飛んだ勢いで並べてある椅子を薙ぎ倒していく。立ちあがろうとしないクロに馬乗りになり胸ぐらを掴むリュウシンをゼクトが静止する。
「だめだよリュウシン、クロの顔を見ればわかるでしょ?」
「わかってるさ! わかってるけど……」
「これはクロだけの責任じゃないよね? 僕らも同罪だよ……全員で行っていればっ!」
リュウシンはやり場のない怒りをクロにぶつけるしかなかった。それを理解しているクロも抵抗する事なく受け入れていた。しかし、ゼクトはその場に行かなかった自分達に責める権利はないと考えているのか、後悔の割合が大きかった。
「リュウシン様、ゼクト様……クロ様を責めないでください……」
「良いんだエリーナ、二人の好きなようにさせてやってくれ」
「でも……」
家族同然に生きてきた五人の内、二人が殺され痛々しい姿で帰ってきた。その悲しみと怒りは、エリーナの想像を遥かに超え立ち入ることが出来ない。
「誰がこの二人を殺した!?」
「僕もそれを知りたい」
クロはゆっくりと立ち上がり、二人に裏に停めてある馬車へついてこいと無言で誘なう。
馬車の荷台からスレイを二人の前に投げ捨て、簀巻きになったその姿を見た二人は察した。
「こいつが! クロッ! こいつがやったのか!?」
剣を抜いたリュウシンをゼクトが冷静に止める。ここでこいつを殺しては詳しい事がわからなくなるとわかっていたからだ。
ゼクトは平静を装っているが怒りのパラメータは振り切っている。辛うじて斥候という役割を担っているのもあり冷静さの大切さを誰よりもわかっている。
「リュウシン落ち着こうよ……見なよ? 片腕が無くなって、残った腕の指も全部折られてる……すぐにでも殺したかっただろうけど僕達の為に我慢してくれた。そうだよねクロ?」
「ああ、そいつは今回の依頼人で二人はそいつの取り巻きにやられたらしい。カインはマリベルを人質に取られ身動きが取れないまま嬲り殺されたそうだ……!!」
自分とエリーナのみが討伐に赴き、戻って来た時には二人が殺されていた事。悪霊とスレイが裏で繋がっていた事。目的は冒険者の殺し持ち物を剥ぎ取り売り払う事。取り巻き達は全て鏖殺した事。背後にメランコリ国の貴族が関わっている事を二人に説明した。
「冒険者の持ち物を売ったところで大した金にもならねぇだろ……こんな小物にカインとマリベルは殺されたのかよ……」
「ねえクロ? もちろん報復するんだよね?」
「当然だ、二人の無念は必ず!」
「いつだ!? いつ出発する!?」
リュウシンは涙をながし、剣先をクロに向けて叫ぶ。
「相手は貴族だ、確実に事を進める為には情報が必要になる」
「そうだね、怒りにまかせて乗り込んでも無駄死にしちゃ意味がないからね」
「何を悠長な事を!」
「リュウシン、お前は懺蛇の暗部だ。そんなお前が冷静を欠いてどうする! 報復は必ず実行する! そのためのにこいつを殺さず連れ帰ってきたんだ」
「じゃあ先ず何をしたらいいんだ!?」
「とりあえずこいつをボン爺のところに運んでくれ。そして裏ギルドに拷問を任せ情報を可能な限り吐かせろ」
「わかった」
「ゼクトはその情報を元により細かい情報を集めてくれ」
「了解」
「でもその前に……カインとマリベルが安らかに眠れるようにちゃんと葬儀をしてやろう」
二人は無言で頷くと教会の中へ戻っていった。
リュウシンとゼクトは二人の訃報を聞きつけ駆けつけていた。
「カイン! マリベル! 嘘だろ!?」
「……クロ~これはどういう事なのかなあ?」
リュウシンは未だに信じられないといった感じで二人に語りかけ、ゼクトは怒りを抑え何が起こったのかを問いただす。
「すまん……全部俺の責任だ」
ボコッ! ガラガラガラッ!
リュウシンの拳がクロの顔面を捉え、吹き飛んだ勢いで並べてある椅子を薙ぎ倒していく。立ちあがろうとしないクロに馬乗りになり胸ぐらを掴むリュウシンをゼクトが静止する。
「だめだよリュウシン、クロの顔を見ればわかるでしょ?」
「わかってるさ! わかってるけど……」
「これはクロだけの責任じゃないよね? 僕らも同罪だよ……全員で行っていればっ!」
リュウシンはやり場のない怒りをクロにぶつけるしかなかった。それを理解しているクロも抵抗する事なく受け入れていた。しかし、ゼクトはその場に行かなかった自分達に責める権利はないと考えているのか、後悔の割合が大きかった。
「リュウシン様、ゼクト様……クロ様を責めないでください……」
「良いんだエリーナ、二人の好きなようにさせてやってくれ」
「でも……」
家族同然に生きてきた五人の内、二人が殺され痛々しい姿で帰ってきた。その悲しみと怒りは、エリーナの想像を遥かに超え立ち入ることが出来ない。
「誰がこの二人を殺した!?」
「僕もそれを知りたい」
クロはゆっくりと立ち上がり、二人に裏に停めてある馬車へついてこいと無言で誘なう。
馬車の荷台からスレイを二人の前に投げ捨て、簀巻きになったその姿を見た二人は察した。
「こいつが! クロッ! こいつがやったのか!?」
剣を抜いたリュウシンをゼクトが冷静に止める。ここでこいつを殺しては詳しい事がわからなくなるとわかっていたからだ。
ゼクトは平静を装っているが怒りのパラメータは振り切っている。辛うじて斥候という役割を担っているのもあり冷静さの大切さを誰よりもわかっている。
「リュウシン落ち着こうよ……見なよ? 片腕が無くなって、残った腕の指も全部折られてる……すぐにでも殺したかっただろうけど僕達の為に我慢してくれた。そうだよねクロ?」
「ああ、そいつは今回の依頼人で二人はそいつの取り巻きにやられたらしい。カインはマリベルを人質に取られ身動きが取れないまま嬲り殺されたそうだ……!!」
自分とエリーナのみが討伐に赴き、戻って来た時には二人が殺されていた事。悪霊とスレイが裏で繋がっていた事。目的は冒険者の殺し持ち物を剥ぎ取り売り払う事。取り巻き達は全て鏖殺した事。背後にメランコリ国の貴族が関わっている事を二人に説明した。
「冒険者の持ち物を売ったところで大した金にもならねぇだろ……こんな小物にカインとマリベルは殺されたのかよ……」
「ねえクロ? もちろん報復するんだよね?」
「当然だ、二人の無念は必ず!」
「いつだ!? いつ出発する!?」
リュウシンは涙をながし、剣先をクロに向けて叫ぶ。
「相手は貴族だ、確実に事を進める為には情報が必要になる」
「そうだね、怒りにまかせて乗り込んでも無駄死にしちゃ意味がないからね」
「何を悠長な事を!」
「リュウシン、お前は懺蛇の暗部だ。そんなお前が冷静を欠いてどうする! 報復は必ず実行する! そのためのにこいつを殺さず連れ帰ってきたんだ」
「じゃあ先ず何をしたらいいんだ!?」
「とりあえずこいつをボン爺のところに運んでくれ。そして裏ギルドに拷問を任せ情報を可能な限り吐かせろ」
「わかった」
「ゼクトはその情報を元により細かい情報を集めてくれ」
「了解」
「でもその前に……カインとマリベルが安らかに眠れるようにちゃんと葬儀をしてやろう」
二人は無言で頷くと教会の中へ戻っていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる