異世界で過ごす悪役ロールプレイ ~努力をしないチート能力者と転生者は無慈悲に駆逐する~【コミカライズ連載決定】

む~ん

文字の大きさ
129 / 156
第三章 復讐編

第129話 新たなる決意を胸に

しおりを挟む
「ヴィト! 止まれ」

【主ぃ?】

 クロはメランコリ国内へと入り、寄り道をしていた。
 クロが止まったのは、蒼穹の叡智のアジトがあった場所から少し離れた丘の上だった。

「今日はここで野宿だ」

【僕、獲物捕まえてくる~】

 ヴィトは今夜の食事となる魔獣を狩りに林の中へ入っていく。

「……あった」

 クロの目の前には、五芒星が刻まれた大きな木があり、根元には小さな石が五つ散らばっていた。

「縦に積んでいたんだけどな」

 下にはマリエラが眠っている。五人で一つずつ石を積み、お墓代わりにしていたが、積み重なっていた石は崩れ落ちていた。

「残ったのは俺だけだよ、マリエラ」

 崩れ落ちた石の中で、一番下にあった石だけはしっかりと地面と同化し根を張っているように見えた。

「死んだのは弱いからだ! だから俺は謝らないぞ? でも、ケジメだけは付けてくる」

 クロはマリエラの墓に手を合わせる。

 暫くすると、魔獣を引きずりながらヴィトが戻って来た。夕食を摂っている時にふいにヴィトから……

「主ぃ? 悲しい?」

 とクロは聞かれたが

「何の事だよ」

 と答えた。

 獣魔契約をしている事でクロと心が繋がっているヴィトは、その言葉が強がりだとわかっていた。

【主ぃ~寝る~】

 ヴィトはそう言いながらクロへ寄り添い眠りにつくのだった。



「ヴォ~!!」

「ア~ヴ~!」

 深々とした夜の帳にうめき声が響き渡る。

【主ぃ?】

「分かってる、ヴィトお前は手を出すな」

【良いの~?】

「昔の仲間が挨拶に来た、それだけだ」

【わかった】

 クロは面倒臭そうに立ち上がると、声がする方へと歩いて行った。

「ははっ! 知った顔がいっぱいだな! 元気だったか? いや、もう死んでるから元気って事はないか!」

 目の前にはレイス化した元蒼穹の叡智の仲間達で蠢いていた。

「仲間だった誼だ、俺が引導を渡してやるから成仏しろよ!」

 スカッ!

「うわっ!」

 クロの拳はレイス達をすり抜ける。

「ぐあっ! 痛てぇ!」

 レイスの持つ剣がクロを切り裂く。

「おいおい、俺の攻撃はすり抜けるのにお前らの攻撃は通るのかよっ!」

 クロは何度も攻撃を試みるが、全てすり抜けてしまう。

「くそっ! 聖属性じゃないと無理なのか?」

 クロはレイス達の攻撃を躱しながら考える。

「ん~、あっ! そうだ!」

 クロが取り出したのは勇者が使っていた剣だった。

「勇者が使ってたんだから聖属性くらいあるだろ! ふんっ!」

 勇者の剣を横一閃に振るとレイス達が霧散するとクロはニヤリと笑う。

「さあ、仕切り直しだ! 成仏したい奴からかかってこい!」

 クロは何度も何度も剣を振り、次々にレイスを倒していく。

「ちっ! 何か動きが良い奴が混ざってんな!」

 動きの良いレイスは元幹部の連中だった。

「そんな目で見るなよ、俺の事がそんなにも嫌いだったか?」

 動きが良いとはいえ所詮はレイス。生前の動きに比べ、今は単純な攻撃しか出来いない雑魚に成り下がっていた。

「お前らのそんな姿は見たくねえよ」

 クロは容赦なく斬り伏せていき、最後の一体が霧散した。

「お前らの意思は継がねえ、でも恨みは晴らしてやるから安心して眠れ」

クロは手を合わせるとヴィトの元へと歩みを進める。

 ドォォォォォォォンッ!

「ぐおっ!」

 背中に衝撃破のような斬撃が飛んできてクロは吹き飛ぶ。

「痛ってぇ……何だ今のはっ! ……ははっ! 嘘だろおいっ! お前もかよ!」

 魔闘術で身体強化をしていたおかげか、致命傷は避けられた。
 斬撃が飛んできた方向へと振り向くとそこには

「マクベスト!!」

 有象無象のレイス達とは一線を画した雰囲気を持つマクベストであった。

「目が血走ってんぞお前!」

 オート戦士化した状態で死んだマクベストは、レイスになってもなお暴れているようだ。

 マクベストから怒涛の斬撃が飛んでくる。

「一番面倒な奴が魔物になってやがる!」

 クロは距離を詰めると、袈裟斬りで両断しようとするがマクベストの剣がそれを防ぐ。

「防御してんじゃねえ!」

 何度も斬り結び、剣戟が鳴り響く。

「やっぱり強えなマクベストはよう!」

 クロにとってマクベストは上司であり、師でもでもある。

「レイスになっても強いのに、何で……何で死んだ!」

 徐々にクロの剣速が上がり、マクベストは防戦一方になる。

「弱くなったお前を倒せても何の自慢にもならねえよ!」

 クロの剣がマクベストを貫く。

 マクベストはその剣を掴みクロを見て微笑む。

「マクベスト……」

 消えゆくマクベストの顔は穏やかだった。

「馬鹿野郎が!」

 やりきれない気持ちがクロの心を蝕む。

【主ぃ! 危ない!】

 ザクっ!

「ぐっ!」

 油断していたクロを背後から何者かが剣で刺した。

「くそっ! まだ残って……マリエラ!?」

「坊……坊……」

 クロは刺さった剣を引き抜くと距離を取る。

「マリエラ……ってお前はゾンビかよっ!」

 マリエラは死体を土葬していたからか、ゾンビ化していた。

「坊……坊……」

「お前、記憶が残って……?」

 マリエラは涙を流し、手を伸ばし近づいてくる。

「マリエラ……」

 ゆっくりと歩みを進めるマリエラに、クロは無意識に手を伸ばしていた。

 スパンっ!

 マリエラの顔が吹き飛び、肉片が飛び散る。

「臭っ! マリエラゾンビ臭っ!! そして刺してんじゃねえよ!」

 マリエラゾンビは倒れ、身体はピクピクと痙攣し、やがて動きを止めた。

【主ぃ~、大丈夫ぅ?】

「ああ、平気だ」

 傷はケンタ印のポーションで回復した。

 辺りは瘴気に満ちており、このままでは再びレイス化するかもしれない。

「なあヴィト? お前聖属性魔法的なやつで浄化できる?」

【出来るよ~】

「じゃあ頼むわ」

 ヴィトの身体から浄化の光が放たれ、周囲は綺麗に浄化されるかと思いきや、ヴィトは瘴気を吸収した。

「お前、斑模様が更に禍々しくなったな! 格好良いじゃねえかよ」

【主ぃ~このゾンビどうする?】

「あ~、燃やすか?」

 クロはマリエラゾンビを焚き火まで引きずり、そのまま放り投げる。

「これで完了! 明日は一気に首都まで行くからちゃんと寝ろよ?」

【うん】

 クロとヴィトが眠りにつけたのは朝方近くだった。


「暑い……」

 燦々と照りつける陽の温かさで目が覚める。

「はっ! おいヴィト!」

【な~に? 主ぃ~】

「寝過ごした」

 結果、メランコリ国の首都ウーツに着いたのは夕方過ぎだった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...