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第三章 復讐編
第139話 狂人のプリンスと翠の大地
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「仮面の男!」
「メリッサ、逃げ……なさい!」
クロは振り上げた剣を下ろし、おもむろに仮面を外す。
「クロ……さん? 何であなたが!」
「何で? 簡単な話だよ。お前の父親が悪であり、俺の敵だからだよ」
「やっぱりあなたはCROWだったのね!」
「誰だよ!」
「乙女ゲーム、マジカル聖女エリナのトキメキラブストーリー -狂人のプリンスと翠の大地-に出てくるラスボスよ!」
クロは微妙に違った名前や異名が被っているタイトルに苦笑いが出る。
そして、怒りが込み上げてくる。
「ふざけるな……この世界は作られた物語なんかじゃない」
「お父様を解放しなさいCROW! いえ、キース王子!」
もはや記憶の混濁でおかしくなっているメリッサにつける薬はない。
「キ、キース王子だ……と?」
「伯爵、お前知ってんの?」
「……いや、知らん」
「お前の娘、大丈夫か?」
やはりそんな王子は存在して居ないらしい。
「モナ、やれ」
モナは短刀を懐から取り出し、メリッサを後ろから刺す。
「うっ……」
「メリッサ! 貴様モナに何をした!?」
「何も?」
倒れたメリッサをモナが滅多刺しにする。
「や、やめ……て……」
「…………」
感情の無いロボットのようにメリッサを刺すモナは、ミルドやメリッサの視点からみればマインドコントロールされている様に見えるかもしれない。
「や、やめろ!」
「安心しろよ伯爵? あの短刀で刺したくらいじゃすぐには死ねない」
「やめさせろ! 頼む……娘は関係ない! ぐはっ!」
クロはミルドの顔面を思い切り殴る。
「関係ない? どの口が……」
クロはメリッサに歩み寄り髪の毛を掴みポーションを飲ます。
メリッサは刺された箇所が回復し、意識を取り戻す。
「お前、まだ死ねると思うなよ?」
「な、何でこんな事を……モナに何をしたの!?」
モナは返り血を浴び、無表情のまま立っている。
「お前は馬鹿なのか? 執拗な嫌がらせと虐待を受けた人間が、改心して謝罪をしてきた人間を簡単に許すと思うか? 何度も犯され、おもちゃにされた人間の心は簡単に回復するのか? モナ! 次はミルドだ」
モナは短刀をぶら下げ、磔の状態で睨むミルドのズボンを剥ぎ取り、露わになったイチモツを握り締める。
「やめろ! やめろと言ってるのが分からんのか! グギャァァ!」
ミルドのイチモツがボトッと床に落ち、モナはそれを踏み潰す。
「お父様! ぐふっ!」
「ギャーギャーうるせぇよ」
腹部を蹴り上げられたメリッサは吹き飛び、壁に激突する。
「メ、メリッ……サ!」
「モナ、ミルドにポーションを」
「はい」
クロは取り出したポーションをモナに投げ、ミルドに飲ませるように指示をする。
「ど、どういうつもりだ!」
「血は止まったな、言ったろ? お前には無様な死に方がお似合いだって」
クロはミルドを簡単に殺す気はない。
「だから簡単に死なれては困る。次はそうだな……」
クロは倒れ、痛みでもがくメリッサを見る。
「か、貴様! 以上メリッサに手を出してみろ! 許さんぞ! ぐふっ!」
腹部を思い切り殴られたミルドは吐血する。
「親子揃って良くは囀る虫だな」
ミルドはクロを睨みつけ吠える。
「ふ、ふふふふっ! 私も終わりだが、お前も終わりだぞ!」
「は? 何で?」
「首都の貴族街でこれだけの騒ぎが起こっているんだ、もうすぐ衛兵が集まってくる! 逃げる事は不可能だ! はっはっはっ! 残念だったな蒼穹の叡智の残滓よ! 貴様らの野望は潰え、王子は強大な戦力をまた失う事になる!」
「それで?」
「何だと!?」
「王子の事は知ってるが、この事と王子は関係ない。というより王子とは面識もなければ、蒼穹の叡智を作った理由すら知らん」
「だったら貴様は何のために私を……」
王子に会えばわかると言われたが、国の後継者争いに興味のカケラもない。そもそも、クロは王子に会う必要性を感じていなかった。
「ムカつくから」
「そ、それだけの理由で私は殺されるのか!」
「俺の仲間を殺し、お前が便利に使ってた子飼いの勇者は勝手な理由で拠点壊すし……一体なんなのお前」
「私を殺したところで何も変わらんぞ! 寧ろ、安定し始めた国がまた混乱する事になるぞ!」
「そんなの知らんがな」
「は?」
ザンッ! ザンッ! ザンッ! ザンッ!
無数の剣が亜空間から飛び出し、ミルドに突き刺さる。
「ぐぅ……き……さま……」
「もういいや、もう少し死ぬという恐怖を味わって貰おうと思ったけど……お前、全然面白くない」
「面白く……ない……だと?」
「モナ」
モナ頷くと、短刀で心臓を一突きする。
「モ……ナ……」
やがてミルドは動きを止め、ぐったりと下を向く。
無表情でミルドを殺したモナだったが、その手は震えていた。クロは後ろからその手を取り頭をくしゃくしゃ撫でると、モナの目からは涙が流れる。
「連れて行け」
「御意」
クロが合図を送ると陰部隊が現れ、モナを抱え連れて行った。
「仇討ちって意外につまらないモノなんだな」
仇討ちをしても死んだ仲間は帰ってこないという事実と、目標がなくなる虚無感。
気は晴れるが、それはただの自己満足に過ぎない事に気付かされてしまう。
「鎮魂歌ってのは、残された者に対する慰めの歌なのかな」
亡き仲間達に捧げた仇討ちという鎮魂歌は、クロの心に虚しく響いていた。
「メリッサ、逃げ……なさい!」
クロは振り上げた剣を下ろし、おもむろに仮面を外す。
「クロ……さん? 何であなたが!」
「何で? 簡単な話だよ。お前の父親が悪であり、俺の敵だからだよ」
「やっぱりあなたはCROWだったのね!」
「誰だよ!」
「乙女ゲーム、マジカル聖女エリナのトキメキラブストーリー -狂人のプリンスと翠の大地-に出てくるラスボスよ!」
クロは微妙に違った名前や異名が被っているタイトルに苦笑いが出る。
そして、怒りが込み上げてくる。
「ふざけるな……この世界は作られた物語なんかじゃない」
「お父様を解放しなさいCROW! いえ、キース王子!」
もはや記憶の混濁でおかしくなっているメリッサにつける薬はない。
「キ、キース王子だ……と?」
「伯爵、お前知ってんの?」
「……いや、知らん」
「お前の娘、大丈夫か?」
やはりそんな王子は存在して居ないらしい。
「モナ、やれ」
モナは短刀を懐から取り出し、メリッサを後ろから刺す。
「うっ……」
「メリッサ! 貴様モナに何をした!?」
「何も?」
倒れたメリッサをモナが滅多刺しにする。
「や、やめ……て……」
「…………」
感情の無いロボットのようにメリッサを刺すモナは、ミルドやメリッサの視点からみればマインドコントロールされている様に見えるかもしれない。
「や、やめろ!」
「安心しろよ伯爵? あの短刀で刺したくらいじゃすぐには死ねない」
「やめさせろ! 頼む……娘は関係ない! ぐはっ!」
クロはミルドの顔面を思い切り殴る。
「関係ない? どの口が……」
クロはメリッサに歩み寄り髪の毛を掴みポーションを飲ます。
メリッサは刺された箇所が回復し、意識を取り戻す。
「お前、まだ死ねると思うなよ?」
「な、何でこんな事を……モナに何をしたの!?」
モナは返り血を浴び、無表情のまま立っている。
「お前は馬鹿なのか? 執拗な嫌がらせと虐待を受けた人間が、改心して謝罪をしてきた人間を簡単に許すと思うか? 何度も犯され、おもちゃにされた人間の心は簡単に回復するのか? モナ! 次はミルドだ」
モナは短刀をぶら下げ、磔の状態で睨むミルドのズボンを剥ぎ取り、露わになったイチモツを握り締める。
「やめろ! やめろと言ってるのが分からんのか! グギャァァ!」
ミルドのイチモツがボトッと床に落ち、モナはそれを踏み潰す。
「お父様! ぐふっ!」
「ギャーギャーうるせぇよ」
腹部を蹴り上げられたメリッサは吹き飛び、壁に激突する。
「メ、メリッ……サ!」
「モナ、ミルドにポーションを」
「はい」
クロは取り出したポーションをモナに投げ、ミルドに飲ませるように指示をする。
「ど、どういうつもりだ!」
「血は止まったな、言ったろ? お前には無様な死に方がお似合いだって」
クロはミルドを簡単に殺す気はない。
「だから簡単に死なれては困る。次はそうだな……」
クロは倒れ、痛みでもがくメリッサを見る。
「か、貴様! 以上メリッサに手を出してみろ! 許さんぞ! ぐふっ!」
腹部を思い切り殴られたミルドは吐血する。
「親子揃って良くは囀る虫だな」
ミルドはクロを睨みつけ吠える。
「ふ、ふふふふっ! 私も終わりだが、お前も終わりだぞ!」
「は? 何で?」
「首都の貴族街でこれだけの騒ぎが起こっているんだ、もうすぐ衛兵が集まってくる! 逃げる事は不可能だ! はっはっはっ! 残念だったな蒼穹の叡智の残滓よ! 貴様らの野望は潰え、王子は強大な戦力をまた失う事になる!」
「それで?」
「何だと!?」
「王子の事は知ってるが、この事と王子は関係ない。というより王子とは面識もなければ、蒼穹の叡智を作った理由すら知らん」
「だったら貴様は何のために私を……」
王子に会えばわかると言われたが、国の後継者争いに興味のカケラもない。そもそも、クロは王子に会う必要性を感じていなかった。
「ムカつくから」
「そ、それだけの理由で私は殺されるのか!」
「俺の仲間を殺し、お前が便利に使ってた子飼いの勇者は勝手な理由で拠点壊すし……一体なんなのお前」
「私を殺したところで何も変わらんぞ! 寧ろ、安定し始めた国がまた混乱する事になるぞ!」
「そんなの知らんがな」
「は?」
ザンッ! ザンッ! ザンッ! ザンッ!
無数の剣が亜空間から飛び出し、ミルドに突き刺さる。
「ぐぅ……き……さま……」
「もういいや、もう少し死ぬという恐怖を味わって貰おうと思ったけど……お前、全然面白くない」
「面白く……ない……だと?」
「モナ」
モナ頷くと、短刀で心臓を一突きする。
「モ……ナ……」
やがてミルドは動きを止め、ぐったりと下を向く。
無表情でミルドを殺したモナだったが、その手は震えていた。クロは後ろからその手を取り頭をくしゃくしゃ撫でると、モナの目からは涙が流れる。
「連れて行け」
「御意」
クロが合図を送ると陰部隊が現れ、モナを抱え連れて行った。
「仇討ちって意外につまらないモノなんだな」
仇討ちをしても死んだ仲間は帰ってこないという事実と、目標がなくなる虚無感。
気は晴れるが、それはただの自己満足に過ぎない事に気付かされてしまう。
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