異世界で過ごす悪役ロールプレイ ~努力をしないチート能力者と転生者は無慈悲に駆逐する~【コミカライズ連載決定】

む~ん

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第三章 復讐編

第144話 ギャンブルはほどほどに

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「これがカジノという娯楽施設? まるで不夜城ね」

 スフィアの目の前には、夜にも関わらず煌煌と輝く巨大な建物が聳え立っていた。

「五本の剣に蛇、五芒星?」

 懺蛇のシンボルマークは、入り口に目立つ様に掲げられている。

 五本の剣は結成当時の初期メンバーであるクロ、カイン、リュウシン、ゼクト、マリベルの五人を意味している。五本の剣には蛇が絡みつき、正面を向いた蛇の頭には五芒星が逆さまに描かれていた。

 ぐぅぅぅ

「腹ごしらえが先の様ね……」

 スフィアは腹ごしらえのため、人が多い食堂へと入る。

「いらっしゃい! 一人?」

「ええ」

「じゃあそのカウンターに座って!」

 スフィアはカウンター席に誘導され、一息つく。

「情報収集も出来そうね」

 適当に料理を頼み、暫くするとカウンター越しに料理が渡される。

「ねえ、ちょっと聞きたいのだけど?」

 店員にチップを渡し懺蛇の情報を聞いていると、周囲に居た者達も集まってくる。

 殆どの者が懺蛇に対して好意的に捉えており、そして囚われた奴が悪いという意見が多かった。

一人の男が外に向かって目配せをする。

「ほら、あれが懺蛇の幹部の一人だよ」

(あれが幹部? 強そうには見えないわね)

 そこに居たのはデルタだった。

 軽く殺気を飛ばすと、デルタは一瞬にして強張った表情になり戦闘態勢を取った。

(最低限の危機察知能力はあるようね)

 デルタは辺りをキョロキョロと見渡し、何も無い事を確認すると、ポリポリと頭を掻き不思議そうな顔をして去っていった。

(あれが幹部なら問題なく暴れることが出来そう)

 デルタは決して弱いわけでないが、彼の強みは臨機応変な行動力である。
 そもそも、スフィア基準で相手を見れば殆どの者が弱者として認識されてしまう。

「良い情報をありがとう、この一杯は私の奢りよ」

「太っ腹だねお嬢ちゃん! ありがてぇ!」

 支払いを済ませると奢った者達から感謝され、店を出るまで手を振られる。

「お腹も満たされたし、情報も手に入ったわ……待っててクー! 今助けに行くわ!」

 決意を秘めた瞳でカジノの中へと入っていく。



 三時間後……



「くっ! なんて魅力的な場所なの!」

 スフィアは初めてのカジノに魅了されていた。

 意気揚々と乗り込んだものの、初めて目にする物に心を奪われ、遊んでるうちにのめり込んでいく。

 魔石を換金して手にした金貨はあっという間に残り少なくなってしまい、まだ持っていた魔石を担保に追加で金貨を手に入れた。

「あぁぁぁぁぁ! 白に賭けていれば……」

 追加で手に入れた金貨が全て無くなり、遊べなくなった悲しみと、勝てない苛立ちが合わさり思わず台を叩き壊してしまった。

 突然の事に周囲がざわついていると、警備をしている男が近づいてくる。

「お嬢ちゃん? こんな事されては困るなあ」

(この男! 確か幹部の……)

 最近のデルタの仕事は、ゴンズの護衛兼カジノビルの警備である。

「ちょっと来てもらえるかな?」

「断ったらどうなるのかしら?」

「俺としては断らないで欲しいんだけど?」

 部屋が緊張感に包まれ、デルタが剣の柄に手を添えた瞬間にスフィアから蹴りが放たれ、デルタは吹き飛ぶ。

「ぐっ!」

 決して油断していた訳ではない。デルタは対峙した時に強者の匂いを感じており、命を失う覚悟をしていた。

(ボスと同等!? あれと同等の存在って……俺死んだな~)

 デルタは蹴られた部分に手をやると激痛が走る。

(二、三本逝ったなこれ……」

「ねえ、あなた幹部の一人よね?」

「そうだよ! それでお前は何者だ?」

「これから死ぬあなたには関係ないと思うけど?」

「それは勘弁して欲しいな」

 尋常ではない空気間に、部屋に居た客は次々と避難していく。

 バァァンッ!

「ここか!? 面白そうな匂いがするのは!」

 ドアが豪快に開かれ、現れたのはガロウだった。

「おいデルタ! 生きてっか!?」

「ガロウさん……気をつけて」

 ガロウは部下にデルタを運ぶよう指示を出すと、スフィアと向かい合う。

「話はもう終わったかしら?」

 スフィアは炎の剣を作り出し、ガロウへ攻撃を加えるが、ガロウの腕はそれを弾く。

「見た目に反して怖い攻撃をする小娘だな!」

 ガロウは肉弾戦に持ち込み反撃を試みる。
 しかし、悉く躱され空をきる。

「当たると痛そうね」

「痛いどころか大怪我するぜぇ!」

 スフィアは炎の剣を片手に反撃をするがガロウの硬い皮膚を貫通するの事はなかった。

「少し本気を出した方が良さそうね」

「手加減してたのかよっ! 良いな小娘ぇ! とことんやろう!」

 ぶつかり合う瞬間、間に割ってはる人物が現れる。

「双方そこまでじゃ! 続きは儂が聞こう」

 ボン爺は客が暴れているという情報を受け、嫌な予感がして駆けつけていた。

(このお爺さん、強そうね)

「ここでは人目が気になるしのう、最上階で詳しい話を聞かせてはもらえんか?」

 スフィアとしては、殺すのが先か後かの問題でしかない。

「爺ぃ! 邪魔すんじゃねえ!」

「ガロウ、それと同じ事を若に言えるか? 答えてみい!」

 ガロウは渋々拳をおろし、ふんっと鼻を鳴らして部屋を出て行く。

「さあお嬢さん来てもらおう」

 スフィアにとって、決して負ける事のない相手にも関わらず、ボン爺の持つ老獪な雰囲気に呑まれ大人しく後を着いて行く。

(このお爺さんがボスじゃないの?)

 情報収集の場で誰一人としてボスの情報を齎してくれる者は居らず、その不気味さに気持ち悪さを感じていた。

 案内された部屋へ入ると、ソファへ座る様に促される。

「それでお嬢さん、いや炎帝よ。あそこで暴れていた理由を聞かせてくれるかのう?」

「!?」

 正体がバレた事に驚くスフィアだった。
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