怪盗イタッチ大作戦!!

ピラフドリア

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第25話 『イノシシの用心棒』

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怪盗イタッチ大作戦!!



著者:ピラフドリア



第25話
『イノシシの用心棒』




 ある町にある喫茶店。そこの二階に三匹の動物達が集まっていた。



「イタッチ。今回は何を狙うつもりだ?」



 ダッチが聞くとイタッチが答える前にアンがパソコンを回転させてダッチに画面を見せる。
 そこに映し出されていたのは、ガラスケースに入れられた黄金に輝く羽。



 そしてその画面を見せてからイタッチが口を開く。



「今回狙うのはこの金の方羽。フォコン美術館に保管されているお宝だ」



「金でできた羽か?」



 ダッチの問いにアンが答える。



「いえ、それがですね。この羽を持っていた生物がいたと言われてるんです」



 アンはパソコンを操作すると、黄金の羽を持つ鳥の絵を表示させた。古くに描かれたものだろう、歴史的なものを感じる絵だ。



「この鳥は一回の羽ばたきで、千年間飛び続けることができる鳥と言われていて、何十万年に一度しか地上に降りないという伝説のある鳥なんです」



「そんな鳥いるわけないだろ」



 疑うダッチ。だが、ダッチの意見にアンとイタッチも同感だ。



「俺達も信じてはいない。だが、この羽が高値で取引されているのは確かだ。偽物だとしてもそれだけの価値がある羽、こいつは手に入れる価値がある」







 そうして作戦決行日。イタッチとダッチはフォコン美術館に到着した。



「フクロウ警部がいるな……」



 美術館の入り口にはフクロウ警部が警察に指示を出している。
 警察の警備で入り口は完全に閉鎖されている。


 侵入口が塞がれている状況に、ダッチはイタッチに聞く。



「どうやって侵入する?」



 イタッチは折り紙を折ると、ダッチに完成したものを見せた。



「これを使う」





 二人の警備員が入口を見張るフクロウ警部に敬礼する。



「お疲れ様であります。警部」



 フクロウ警部も二人に合わせて敬礼をする。



「中の警備の交代か?」



「そうであります。では失礼」



 フクロウ警部の横を通り過ぎ、二人の警備員は中へと入る。その警備員をフクロウ警部は睨んでいた。



 中に入った二人の警備員は中を見張る警備員に挨拶をして交代をする。
 交代したのは一回のエレベーター付近。他に誰もいなくなったのを確認すると、警備員の一人がエレベーターのボタンを押した。



 エレベーターが一階に降りてくる。エレベーターがもうすぐ着くという時。



「そこまでだ。イタッチぃ~」



 二人の背後にフクロウ警部が立っていた。



「け、警部!? どうしたのでありますか!?」



 フクロウ警部は警備員の腕を掴む。



「今回の変装は甘かったな。他の奴は騙せても俺は騙せないぞ!! その尻尾はその警備員にはない」



 イタッチはトンボの警備員に変装していた。しかし、トンボの尻尾からモフモフの尻尾が生えていた。



「いつものお前ならやらないミス。今日は風邪でもひいてたか!!」



 フクロウ警部は手錠を取り出して警備員にはめようとする。しかし、手錠を取り出したと同時にエレベーターが到着して扉が開く。



「ミスしたわけじゃないぜ。フクロウ警部」



 イタッチはフクロウ警部の腕を掴み返すと、エレベーターの中へと引き摺り込む。



「ダッチ、急げ!!」



 ダッチも中に入るとエレベーターを起動させて、すぐさま扉を閉めた。



「何をするイタッチ!? 俺を捕まえて……」



「フクロウ警部。俺はミスをしたんじゃない。お前の力が必要だったから連れてきたんだ」



「まさか……」



 エレベーターが動き出す中、イタッチはフクロウ警部のポケットから鍵を取り出す。



「こいつがないとガラスを開けられないんでな」



「イタッチィィィーーーー!!!!」



 フクロウ警部はイタッチから鍵を取り返そうと抵抗をする。しかし、折り紙で作った縄に拘束されて抜け出すことができない。



 エレベーターが3階に到着すると、イタッチとダッチは変装の折り紙を脱いで、エレベーターの中に脱ぎ捨てた。



「じゃあな。フクロウ警部」



「また会おうぜ」



 二人はエレベーターを降りて行った。



「クソーー!! 次こそは次こそはーーー!!!!」






 エレベーターを降りた二人は美術館の最奥。例の宝の保管されている部屋へとたどり着く。
 しかし、その部屋の前に着くと、アンから無線が入ってきた。



『待って二人とも、中に誰かいます!!』



「誰がいるって誰だ?」



 ダッチに質問にアンは少し時間を置いてから、



『分からない。でも、生体反応があります』



 イタッチは折り紙を構え、ダッチは刀をいつでも抜ける体制になる。イタッチはアンに無線で伝える。



「情報サンキューな。これから突入する」



『気をつけて…………』



 扉を開くと暗い部屋の中心を淡いライトが照らしている。そのライトの光を受けるガラスケースに入れられた金の方羽。



「あれが宝か。早速貰っちまおうか」



 お宝に近づこうとしたダッチをイタッチが止める。



「待て。誰かいるぞ」



 暗い部屋の隅の壁。そこで腕を組む侍姿のイノシシ。壁に寄りかかっていたが、イタッチたちに気づかれると、ふらりと壁から離れて二人の方を向く。



「お前達は悪か、それとも正義か?」



 鋭い眼差しで睨みつけてくるイノシシ。イノシシの質問にイタッチはニヤリと笑って答える。



「悪だ」



「そうか。ならば、ここで消えてもらおう」



 イノシシは腰に下げていた刀を取り出すと、鞘から刀を抜く。そして鞘は適当なところに投げ捨てる。
 イノシシの刀は薄暗い部屋の中でも、美しく光を反射してはっきりと姿を見せる。手入れの行き届き、立派な刀だ。



 イタッチは折り紙を剣を作り、いつでも戦えるようになる。



「お前は何者だ」



「そんなことは取るに足らないこと。俺は正義を実行するのみ」



 名乗ることはしないイノシシ。だが、ダッチはその正体に気づいた。



「人斬りか……」



「ダッチ、分かるのか?」



「噂だけだがな。正義を名乗り、悪人を切り捨てる。ヒーロー気取りのイカれ野郎だ。マフィアの中にはこいつに賞金を賭けようとしてる奴らもいる」



「そんな奴がなんでこんなところに……」



「さぁな。雇われたか。自ら侵入したか」



 二人が会話を終えると、イノシシは刀を構える。



「話し合いは終わりか。悪は俺が切る」



 イノシシは一直線に突っ込んでくる。ダッチも刀を抜いて応戦の構えを取る。



 イタッチとダッチ。どっちに仕掛けてくるか。だが、どっちに来ようと二体一。有利なのはイタッチ達の方のはずだった。
 そのはずだった。



 イノシシの素早い剣技が二人を襲う。まるで同時に斬りかかられたかのように、隙の一切ない二撃。それが二人を襲う。



 二人はガードをするのが精一杯で反撃の余裕などなかった。
 すぐさまもう一段攻撃がやってくる。それが何度も何度も。二人が同時に押されてしまう。



 気がつけばもう背後には壁。これ以上下がることはできない。流れを変えるため、ダッチが動く。



 ダメージ覚悟でイノシシに突っ込む。



「ダッチ!!」



 ダッチの身体を刀が切り裂くが、ダッチは無意識に急所を避けていた。



 イノシシに近づき、ダッチはイノシシの腕にしがみつく。ダッチにより一時的にイノシシの攻撃が止む。



「イタッチやれ!!!!」



 ダッチの叫び声が響く中、イタッチは折り紙の剣を振り下ろす。



 イノシシの身体を折り紙の剣が切り裂いた。ダメージを食らったイノシシは後ずさる。しかし、ダメージがあるはずなのに倒れることはない。



「はぁはぁ……。化け物かよ」



 イノシシから離れたダッチは傷を抑えながら、壁に寄りかかった。



「俺は止まることはない。決して……俺は…………」



 ふらふらになりながらも向かって来ようとするイノシシ。しかし、その時部屋の扉が勢いよく開かれた。



「そこまでだ!! イタッチ!!!!」



 部屋に入ってきたのはフクロウ警部。本物の警備員に発見されて救出されたようだ。
 多くの部下を連れて突入してきた。



 しかし、部屋の状況を見てフクロウ警部は固まる。



「何がどうなってんだ……」



 部屋にはイタッチ達だけではなく。見慣れないイノシシがいた。



「貴様、何者だ!!」



 フクロウ警部が叫ぶと、イノシシは刀をしまってフクロウ警部の方へと走り出す。
 突然向かってくるイノシシに慌てる警備員達。しかし、そんな警備員の頭上をジャンプしてイノシシが美術館から脱出した。



「なんだったんだ。……だが、そんなことよりもだ。イタッチ、逮捕するぞ!!」



 警備員をゾロゾロと連れてきたフクロウ警部。イタッチは血を流しているダッチに肩を貸すと、



「逮捕されてたまるかよ」



 後退りながら部屋の中心へと向かう。そしてマントを広げて、マントの内側に隠していた折り紙の煙幕を地面に転がした。



 部屋中に充満する煙。フクロウ警部はイタッチ達を捕まえようと、煙の中を捜索するがその姿はない。
 さらには



「お、お宝が盗まれています!!」



「なんだとーーー!!!!」



 お宝も消していた。










 それから数日後。イタッチはダッチの見舞いに病院へとやってきた。



「どうだ? 具合は」



「あー、もう大丈夫なんだがよ。医者のやつが……」



「医者の言うことは聞いとけよ」



 イタッチは寝ているダッチに手に入れた宝を見せる。



「こいつがあの時盗んだ宝だ」



「ん、色が黒いじゃねーか」



 盗んだ時は金色だったはずの羽が真っ黒になっている。



「それがどうも、特殊な光を当てると色が変わるだけだったようでよ。これだけじゃなんも価値にはならない」



「なんだよ。タダ働きだったってことか」



「そーなるな」



 笑うイタッチと歯を食いしばるダッチ。イタッチは見舞いに持ってきた品をテーブルに置こうとするが、



「っと、このリンゴはなんだ」



 ダッチの病室に皮を剥いてあるリンゴを発見する。



「あのガキ、毎日毎日、しつけーんだ。お前のところのガキだろ、どうにかしろ!」



「あー、バイト終わって出掛けてると思えばそういうことか。面倒見てやれよ」



「みねーよ、馬鹿」




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