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第109話 『キューブトリック』

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怪盗イタッチ大作戦!!



著者:ピラフドリア



第109話
『キューブトリック』




「おい、おい!! イタッチ!!」



 ダッチの声にイタッチは目を開ける。



「ここは……」



「さぁな。気づいたらここにいた。お前なら何か知ってるんじゃないか?」



 目覚めたイタッチが周囲を見渡すと、そこは間にもない正方形の部屋。
 扉のようなものは見当たらず、場所を確認できるものはない。



「俺には何も心当たりはないな。ダッチ、お前はどこまで知ってる?」



「俺も何もだ。昨日、お菓子を作った寝て、そしたらここにいたんだ」



「俺も同じだ。アンが寝たのを確認してから俺も寝たんだが。アンはどうした? あいつは見当たらないが?」



 部屋を見渡すがアンの姿が見えない。



「いないな」



「寝てる間に移動させられたとすると、アンが気づくはずだ。なぜ、俺たちだけなんだ」



 イタッチは立ち上がると、部屋の端に行き壁に手を触れる。



「コンクリート? いや、鉄骨か」



 イタッチはマントに手を伸ばし折り紙を取り出す。そして折り紙を折ろうとするが、折る前に動きを止めた。



「どうした?」



「おかしいな。俺たちを閉じ込めるのが目的なら、なぜ、俺は怪盗衣装で折り紙を持ってる」



「そういえば、俺も刀があるな」



 刀の存在に気づいたダッチは刀を取り出して、鞘から抜いてみる。



「ん? 変だな」



「お前も気づいたか。ダッチ」



「ああ、普段の刀と違う。確かに完璧な再現だが、俺の目は誤魔化せない」



「なら、そろそろこの部屋の正体を暴こうか」



 イタッチはマントを靡かせると、天井に向かって叫び声を出した。



「アン。見てるんだろ。そろそろ遊びは終わりにしようぜ!!」



「なに? あのガキが関係してるのか!?」



「今回はあいつの悪ふざけだよ」



 イタッチの声が聞こえたのか。機械音が部屋中に響くと、辺りが暗くなる。そして意識が遠くなっていった。







 目が覚めるとイタッチは頭にヘルメットのようなものを装着していた。
 ヘルメットを外し、近くでパソコンを操作しているアンに話しかける。



「今回はふざけすぎだぞ。アン」



「へへへ~。ごめんなさい。新しくできたので試したくって」



 イタッチがアンに説教をしていると、扉が開きダッチが入ってきた。



「おい、起きたらヘルメットみたいなの被ってたんだが、どういうことだ?」



「全部アンの仕業だよ。脳に電波を送り、夢を操作したんだ。それで俺とダッチを閉じ込めた」



「そんなことができるのか!? 手がよく気づいたな!!」



「寝てるとはいえ、俺とダッチに近づけるのはアンくらいだ。あとは折り紙の違和感に気づいたからな」







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