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第207話 『バッチ』
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怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第207話
『バッチ』
バッチを見せ合った二人。そこで初めてお互いの立場を知ることとなった。
「お前、四神の関係者だったのか」
「アナタも……ウサギさん…………」
二人ともそれに気づくと、驚き合う。そして子ウサギは腕で虎に見えないように目を拭くと、
「なら、泣くな。お前も四神の関係者ならこの程度で泣くんじゃない」
子ウサギは怖い気持ちを抑え込んで虎へ伝える。
「……う、ん」
虎も子ウサギの正体を知り、子ウサギの言葉を聞いたら無理にでも涙を堪える。涙を拭いて口をへの字にして怖い気持ちを抑えた。
「そう、それで良いんだ」
子ウサギは涙を堪えた虎へ手を伸ばす。
「四神なら強くなくちゃな。さ、また探しに行こう」
「うん」
虎は子ウサギの手を取り、両親探しを再開した。
しばらく遊園地の中を探し回り、数分が経過した頃。子ウサギと虎はやっと探し人を見つけ出した。
虎の両親と亀、二人の保護者だ。
なにやら虎の父親と亀は言い合いをしている様子だったが、保護者を発見した二人は走り出した。
そして二人はそれぞれの家族に抱きつく。
無事に家族と合流した二人は向かい合う。そしてある約束をした。
──大人になったら、どっちが大将になるか決めよう。そして負けた方はその人物は全力で支える──
子供だった二人だが、お互いがどのような立場なのかは感じ取っていた。だからこそ、そんな約束をした。
ボスになるために、蹴落とし合うような戦いではない。これはお互いがお互いを支え合うための約束。
そして自分たちの台になった時、どちらが相応しいのかを決め、そのボスのために全力を尽くすということ。
負けても勝っても組織のため。
それが二人の約束だ。
ウンランを切ろうとしたダッチの刀は、ウンランに触れる前に動きを止める。
「……思い出した、ぜ。ウンラン……」
そして刀を止めたダッチはニヤリと頬を上げる。
「お前を倒しちゃ、約束は果たせない。そういうことだもんな」
「…………ダッチ」
ダッチはウンランに振り下ろしていた刀を戻すと、鞘にしまった。ウンランはダッチが刀をしまうことに驚いた顔をして、両手を地面につけたまま座り込んだ。
「本当に思い出した……のか」
そしてダッチのことを見上げ嬉しそうな顔をするウンランをそんなウンランをダッチは睨みつけた。
「いいや、今のは嘘だ。思い出してなんかないぜ。ただお前を倒しちゃもったいないって思っただけだ」
ダッチの言葉にウンランはやれやれとため息を吐いた。
「試されてたのは、俺だったか」
著者:ピラフドリア
第207話
『バッチ』
バッチを見せ合った二人。そこで初めてお互いの立場を知ることとなった。
「お前、四神の関係者だったのか」
「アナタも……ウサギさん…………」
二人ともそれに気づくと、驚き合う。そして子ウサギは腕で虎に見えないように目を拭くと、
「なら、泣くな。お前も四神の関係者ならこの程度で泣くんじゃない」
子ウサギは怖い気持ちを抑え込んで虎へ伝える。
「……う、ん」
虎も子ウサギの正体を知り、子ウサギの言葉を聞いたら無理にでも涙を堪える。涙を拭いて口をへの字にして怖い気持ちを抑えた。
「そう、それで良いんだ」
子ウサギは涙を堪えた虎へ手を伸ばす。
「四神なら強くなくちゃな。さ、また探しに行こう」
「うん」
虎は子ウサギの手を取り、両親探しを再開した。
しばらく遊園地の中を探し回り、数分が経過した頃。子ウサギと虎はやっと探し人を見つけ出した。
虎の両親と亀、二人の保護者だ。
なにやら虎の父親と亀は言い合いをしている様子だったが、保護者を発見した二人は走り出した。
そして二人はそれぞれの家族に抱きつく。
無事に家族と合流した二人は向かい合う。そしてある約束をした。
──大人になったら、どっちが大将になるか決めよう。そして負けた方はその人物は全力で支える──
子供だった二人だが、お互いがどのような立場なのかは感じ取っていた。だからこそ、そんな約束をした。
ボスになるために、蹴落とし合うような戦いではない。これはお互いがお互いを支え合うための約束。
そして自分たちの台になった時、どちらが相応しいのかを決め、そのボスのために全力を尽くすということ。
負けても勝っても組織のため。
それが二人の約束だ。
ウンランを切ろうとしたダッチの刀は、ウンランに触れる前に動きを止める。
「……思い出した、ぜ。ウンラン……」
そして刀を止めたダッチはニヤリと頬を上げる。
「お前を倒しちゃ、約束は果たせない。そういうことだもんな」
「…………ダッチ」
ダッチはウンランに振り下ろしていた刀を戻すと、鞘にしまった。ウンランはダッチが刀をしまうことに驚いた顔をして、両手を地面につけたまま座り込んだ。
「本当に思い出した……のか」
そしてダッチのことを見上げ嬉しそうな顔をするウンランをそんなウンランをダッチは睨みつけた。
「いいや、今のは嘘だ。思い出してなんかないぜ。ただお前を倒しちゃもったいないって思っただけだ」
ダッチの言葉にウンランはやれやれとため息を吐いた。
「試されてたのは、俺だったか」
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