249 / 354
第247話 【BLACK EDGE 其の247 断れずに】
しおりを挟む
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第247話
【BLACK EDGE 其の247 断れずに】
「なんで私たちがこんなことしないといけないんですか……」
スカイが文句を言いながらブラッドとフェアの後ろをついてくる。
今、ブラッド達はガレオに頼まれて、極寒の森の中を歩いていた。
ガレオに頼まれたのは森に住み着いた巨大な狼の討伐だ。巨大な狼に商品を運搬している馬車が襲われることがあるらしい。そして商品が入荷できないことがあるため、その対処をしたいようだ。
「頼まれたんだからやるしかないだろ」
先を進むブラッドがそう呟くと、スカイは呆れた表情で、
「もしかして、頼まれたら断れないんですか?」
「………………」
ブラッドは答えずに先を急ぐ。そんな中、フェアが
「まぁ、時間はあるんですし、良いじゃないですか」
と言ってスカイを宥める。
ブラッドが参加しようとしている大会の開催まではまだ日にちがある。少しくらい寄り道しても間に合う。
フェアの言葉を聞いたスカイは腰に下げた剣に手をかけると、ブラッドとフェアよりも前に出て走る。そして二人の方を振り返りながら後ろ向きで歩き出した。
「しょうがないですね~、フェアちゃんが言うから今回は許しましょう」
何を許すのだろうか。というか何様のつもりなのか。
「なので今回は私に任せてください。あのポイズンとの戦闘はブラッドさんだけ戦ってましたからね! 私も役に立つってところを見せたいです!!」
スカイはそう言いながらウキウキして先を進んでいく。
さっきまでとは正反対にやる気満々という感じだ。どうしてそこまで切り替えられるのだろうか。
しかし、やる気を出してくれたのならば嬉しい。
「ああ、今回はお前に任せるよ…………。けど、前を見ろよ~、危ないぞ」
「大丈夫ですよ~、転ぶわけないじゃないですか~」
後ろ向きで下がっていると、スカイは何かにぶつかる。それはモフモフした何かだ。
「あれ? 何かにぶつかっちゃいました~、ん、ブラッドさんにフェアちゃん、何を驚いているんですか?」
ブラッドとフェアはスカイがぶつかった何かを見て大きく口を開けて驚いていた。
「も~、なんなんですか。そんなに変な顔をして………………」
スカイが振り返るとそこには木と同じ大きさの白い毛皮の狼がいた。
「グルルルルゥ~」
その狼はスカイのことを見て唸り声を上げている。口からはよだれを垂らし、そのよだれは地面にポタポタと落ちる。
「…………こ、こんなにデカいの………………」
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第247話
【BLACK EDGE 其の247 断れずに】
「なんで私たちがこんなことしないといけないんですか……」
スカイが文句を言いながらブラッドとフェアの後ろをついてくる。
今、ブラッド達はガレオに頼まれて、極寒の森の中を歩いていた。
ガレオに頼まれたのは森に住み着いた巨大な狼の討伐だ。巨大な狼に商品を運搬している馬車が襲われることがあるらしい。そして商品が入荷できないことがあるため、その対処をしたいようだ。
「頼まれたんだからやるしかないだろ」
先を進むブラッドがそう呟くと、スカイは呆れた表情で、
「もしかして、頼まれたら断れないんですか?」
「………………」
ブラッドは答えずに先を急ぐ。そんな中、フェアが
「まぁ、時間はあるんですし、良いじゃないですか」
と言ってスカイを宥める。
ブラッドが参加しようとしている大会の開催まではまだ日にちがある。少しくらい寄り道しても間に合う。
フェアの言葉を聞いたスカイは腰に下げた剣に手をかけると、ブラッドとフェアよりも前に出て走る。そして二人の方を振り返りながら後ろ向きで歩き出した。
「しょうがないですね~、フェアちゃんが言うから今回は許しましょう」
何を許すのだろうか。というか何様のつもりなのか。
「なので今回は私に任せてください。あのポイズンとの戦闘はブラッドさんだけ戦ってましたからね! 私も役に立つってところを見せたいです!!」
スカイはそう言いながらウキウキして先を進んでいく。
さっきまでとは正反対にやる気満々という感じだ。どうしてそこまで切り替えられるのだろうか。
しかし、やる気を出してくれたのならば嬉しい。
「ああ、今回はお前に任せるよ…………。けど、前を見ろよ~、危ないぞ」
「大丈夫ですよ~、転ぶわけないじゃないですか~」
後ろ向きで下がっていると、スカイは何かにぶつかる。それはモフモフした何かだ。
「あれ? 何かにぶつかっちゃいました~、ん、ブラッドさんにフェアちゃん、何を驚いているんですか?」
ブラッドとフェアはスカイがぶつかった何かを見て大きく口を開けて驚いていた。
「も~、なんなんですか。そんなに変な顔をして………………」
スカイが振り返るとそこには木と同じ大きさの白い毛皮の狼がいた。
「グルルルルゥ~」
その狼はスカイのことを見て唸り声を上げている。口からはよだれを垂らし、そのよだれは地面にポタポタと落ちる。
「…………こ、こんなにデカいの………………」
0
あなたにおすすめの小説
人質から始まった凡庸で優しい王子の英雄譚
咲良喜玖
ファンタジー
アーリア戦記から抜粋。
帝国歴515年。サナリア歴3年。
サナリア王国は、隣国のガルナズン帝国の使者からの通達により、国家滅亡の危機に陥る。
従属せよ。
これを拒否すれば、戦争である。
追い込まれたサナリアには、超大国との戦いには応じられない。
そこで、サナリアの王アハトは、帝国に従属することを決めるのだが。
当然それだけで交渉が終わるわけがなく、従属した証を示せとの命令が下された。
命令の中身。
それは、二人の王子の内のどちらかを選べとの事だった。
出来たばかりの国を守るため。
サナリア王が下した決断は。
第一王子【フュン・メイダルフィア】を人質として送り出す事だった。
フュンは弟に比べて能力が低く、武芸や勉学が出来ない。
彼の良さをあげるとしたら、ただ人に優しいだけ。
そんな人物では、国を背負うことなんて出来ないだろうと。
王が、帝国の人質として選んだのである。
しかし、この人質がきっかけで、長らく続いているアーリア大陸の戦乱の歴史が変わっていく。
西のイーナミア王国。東のガルナズン帝国。
アーリア大陸の歴史を支える二つの巨大国家を揺るがす。
伝説の英雄が誕生することになるのだ。
偉大なる人質。フュンの物語が今始まる。
他サイトにも書いています。
こちらでは、出来るだけシンプルにしていますので、章分けも簡易にして、解説をしているあとがきもありません。
小説だけを読める形にしています。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
【完結】エレクトラの婚約者
buchi
恋愛
しっかり者だが自己評価低めのエレクトラ。婚約相手は年下の美少年。迷うわー
エレクトラは、平凡な伯爵令嬢。
父の再婚で家に乗り込んできた義母と義姉たちにいいようにあしらわれ、困り果てていた。
そこへ父がエレクトラに縁談を持ち込むが、二歳年下の少年で爵位もなければ金持ちでもない。
エレクトラは悩むが、義母は借金のカタにエレクトラに別な縁談を押し付けてきた。
もう自立するわ!とエレクトラは親友の王弟殿下の娘の侍女になろうと決意を固めるが……
11万字とちょっと長め。
謙虚過ぎる性格のエレクトラと、優しいけど訳アリの高貴な三人の女友達、実は執着強めの天才肌の婚約予定者、扱いに困る義母と義姉が出てきます。暇つぶしにどうぞ。
タグにざまぁが付いていますが、義母や義姉たちが命に別状があったり、とことんひどいことになるザマァではないです。
まあ、そうなるよね〜みたいな因果応報的なざまぁです。
この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~
夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。
全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった!
ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。
一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。
落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
竜皇女と呼ばれた娘
Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた
ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる
その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ
国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる