ギルドでNo.1の冒険者パーティに見習いとして加入することになった俺は、最強の冒険者として教育される。

ピラフドリア

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第10話 『山賊を捕まえよう!』

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ギルドでNo.1の冒険者パーティに見習いとして加入することになった俺は、最強の冒険者として教育される。



著者:ピラフドリア



第10話
『山賊を捕まえよう!』



 山賊を捕えろ。そう、俺達に任務を与える。
 任務を伝えたウィンクはウキウキした様子で身体を左右に揺らす。



「お前達の成長を確かめる良い機会にもなる。楽しみだな」



 ニヤリと笑うウィンクに俺とエイコイは同時に反論した。



「「楽しみじゃないですよ!!」」



 そんな中、静かにしていたレジーヌがウィンクに尋ねる。



「山賊の捕獲って言っても、私達だけで大丈夫ですか? 相手は騎士から指名手配されているような大物ですよ」



「そうだな、お前達だけじゃ心配か」



 すると、少し考え込む。杖に体重をかけてミシミシと杖が音を鳴らし始めた頃、ウィンクは決断した。



「ドミニク。お前がついて行ってやれ」



「「「え!?」」」



 俺達はまさかの選出に驚きの声をあげた。



 確かにこの場にいるのは、ドミニクしかいない。セルゲイもクロエもまだ買い出しの途中だ。
 しかし、ドミニクについて来てもらっても心配しかない。



 彼女は俺達に全く興味を示さず、修行の時間が来ても一人で黙々と武器の手入れをしているだけだった。話しかけても無視をされるし、1ヶ月経った今でも目すら合わせてくれない。



 当然、ドミニクの反応はそっぽを向いて嫌そうな顔をする。ドミニクだけでなく、ドミニクの相馬であるイリニですら、そっぽを向いて嫌そうな顔だ。



 こんな態度のドミニクが、何かあった時に助けてくれるとは思えない。俺はウィンクに頼み込む。



「ウィンクさんじゃダメなんですか!? ドミニクさんじゃ不安ですよ!!」



 続いてエイコイも



「そうですよ!! ドミニクさん、僕達に全く興味なさそうなんですよ!! なんなら見殺しにされますよ!!」



 そうやってウィンクを説得しようとするが、ウィンクは顎に手を当てて困り顔をする。



「そうは言ってもな~。俺もまだやることがあるからな……」



 このまま押し切って説得してしまえ、俺とエイコイはそう考えて、説得しようと言葉を出そうとした時。俺達よりも早く、レジーヌが口を開けた。



「分かりました。ドミニクさんについて来てもらいましょう」



「「レジーヌ!?」」



 俺とエイコイが身体を震わせる中、レジーヌは腕を組んで俺達に目線を向けた。



「大丈夫よ。ドミニクさんは悪い人じゃない……はずだから。そうですよね、ウィンクさん」



 少し自信がなさそうな部分もあったが、そう言ったレジーヌは確認するようにウィンクへと回答を求める。
 それを聞いたウィンクはニヤリと頬を上げると、



「当然だ。アイツは世界一優しい騎士だ」








 結局、ドミニクが付き添いで俺達は山賊を捕らえに行くことになった。
 今回も前のドラゴン退治に向かった時のセルゲイのように、数十キロ離れたところからドミニクが見守ってくれているとウィンクは言っていた。
 しかし、前のようにドミニクが助けに来てくれるだろうか。俺とエイコイは見殺しにされるんじゃないかと、怯えながらも先へ向かう。



「何そんなにビビってるのよ。頼りにしてないなら自分達だけでやり遂げれば良いじゃない」



 怯える俺とエイコイを見てレジーヌはふんと鼻から息を出す。それにエイコイはため息を吐く。



「それもそうだけど……僕達、まともに戦闘訓練とか受けてないんだよ、この前のドラゴン退治だって、罠に嵌めるのが前提だったんだから」



 そう、俺達が現在修行としてやっていることは、この世界の勉強と基礎の筋トレばかり。そんな状態で突然、戦闘をして来いって言われても自信はない。



 俺とエイコイの状況にレジーヌはやれやれと首を振る。



「何も戦えとは言われてないでしょ。山賊を捕らえれば良いのよ、捕らえれば」



 それもそうだ。戦って来いとは言われていない。
 しかし、言うのは簡単だが、どうやって捕えるのか。それが問題になる。



 俺は歩きながらレジーヌに尋ねる。



「っで、その捕える方法は?」



 レジーヌは少し考えてから、



「落とし穴?」



「「舐めんな!!」」





 結局、良い方法を思いつく前に、



「着いてしまった……」



 エイコイは草むらに隠れながら頭を抱える。



 森の中にある木造の砦。そこが山賊の拠点だ。



 木材で作った3メートルを超える壁で円状に囲み、中には外を見張るための見張り台まである。
 なんとなく弥生時代の集落風だ。



「レジーヌ、何人くらいいそうだ?」



 俺はエイコイの隣で草むらに隠れて、頭上の木の上で拠点の中を覗いていたレジーヌに聞く。



「そうね~。ざっと50人くらいかしら……。あ、やっぱ待って、今産まれたから」



「産まれた!?」



 山賊の拠点から赤ん坊の鳴き声が聞こえてくる。本当にここが赤ん坊の拠点なのだろうか……。実は普通の集落だったりしないか。



 そんなことを考えていると、木造の扉が開き、槍を持った兵士達が門の前で整列を始める。
 そして建物の反対側の森から馬車が走ってくる。



 二つ車輪のついた馬車を二匹の馬が引き、馬車は傘のような天井で日を防いでいる。馬車を守るように槍を持った兵士達が囲んでおり、馬車に乗る人物がどれだけ偉いのかが一目でわかる。
 馬車は一人乗りでその馬車に乗っているのは、手配書にあった人物とそっくり。
 馬車に乗る人物はコウ・チンヨウだろう。



 チンヨウの乗る馬車の後ろには大量の荷物を持った兵士達が続いている。木箱を抱えており、箱の隙間からは食料や金品が入っている。それらは全部、どこかの村から奪ってきたものだろう。



 チンヨウが門を潜ると門が閉まり、門の外は静かになった。
 だが、これで分かった。ここは本当に山賊の拠点だ。



 レジーヌは木の上から俺達のいる草むらへ降りてくる。



「クズども、どうする?」



「どうするって言われても……」



 良い作戦があるわけじゃない。あれだけの人数をどうやって捕まえるか。



 俺とエイコイが悩んでいると、レジーヌが手を叩いて閃いたと言い出した。



「まずは司令塔であるチンヨウを倒すのよ。そうすれば、混乱して連携が取れなくなるはずよ!!」



「いや、それはそうだけど……。どうやってチンヨウの元まで行くんだよ、それにその後どうするんだ」



 レジーヌはドヤ顔をしていたが、俺が指摘し始めると徐々にその表情が暗くなり、下を向いていく。
 やがて地面にお絵描きを始めるほど、落ち込んでしまった。



「……………」



 俺が何も言えずにいると、建物を見張っていたエイコイが呟く。



「いや、その作戦……行けるかもしれないよ」



 そう言って、近くの木陰を指差した。俺とレジーヌがエイコイが示した場所を見ると、そこには山賊の下っ端がいた。
 いつ外に出たのかは不明だ。だが、一人で外に出て木陰で何かやっている様子だ。



「アイツを襲って身ぐるみを剥ぐんだ。そうすれば変装して侵入できるよ!」



「山賊から身ぐるみを剥ぐって…………」



 まぁ、一応相手は一人だし、一体三ならこちらが勝てるだろう。それに変装して侵入という作戦も悪くないかもしれない。
 中の情報を知れば、何か作戦が思いつくかも……。



 俺は落ち込んでいるレジーヌを説得して、三人で一人でいる山賊へこっそり近づく。そして木陰で隠れていた山賊に三人同時に襲いかかった。



「え、子供…………うわ!?」



 山賊は剣の鞘で殴って気絶させ、草むらに隠した。木陰でコソコソとこの山賊が何をしていたのかはわからないが、服を奪い取ることに成功した。
 だが、ここで初めて問題に気づいた。



「なぁ、服が一着しかないんだが」



 それもそのはず、山賊は一人だったのだ。一人分の服しか持っていない。そうなると、変装できるのは一人だけということになる。



「じゃあ、一人が侵入して手引きするって作戦にするか」



 エイコイは手に入れた服を俺に押し付けてくる。



 一人しか変装できないため、この危険な任務は一人で行うことになる。エイコイはそれが嫌で俺に服を押し付けてきた。しかし、当然、俺も嫌だ。



「そうだなぁ、一人で侵入するんだもんな……ここは一番身長の低いエイコイが行くべきかなぁ」



 俺は押し付けられた服をエイコイに押し返す。



「いやいや、今回はユウに手柄を譲るよ。侵入なんて大手柄は君がやるべきだよ」



「いやいやいや、ここはお前が」



「君が!!」



 俺とエイコイが山賊の服を押し付け合う中、レジーヌが服を奪い取った。



「じゃあ、私が着るわね」



「「え!?」」



 俺とエイコイは驚きの声をあげるが、内心では大変な役を押し付けられて、安堵していた。
 しかし、服を手に入れたレジーヌは俺とエイコイを指差すと、



「さっきからアンタ達、誰が侵入するかで揉めてたけど、みんなで侵入すれば良いじゃない!!」



「「どうやって?」」



「私が兵士のフリをして、あなた達は奴隷よ」



「「え? は? えぇぇえっ!?」」







 レジーヌが指を鳴らすと、レジーヌの足元にある影が動き出し、うねうねと揺れる。そしてさらに影が液体のように柔らかくなり、レジーヌの身体が影の中へと沈み始めた。



「着替えを見たら……ひき肉にするわよ」



「「へい!!」」



 俺とエイコイは変な声を出して敬礼をする。
 とはいえ、魔法で影の世界に入り込んで着替えをするため、見えるはずがない。というか、見たら酷い目に遭うのを知っているからそんな勇気もない。



 レジーヌの姿が完全に影の中へと消え、俺とエイコイはレジーヌが着替えをしている間、草むらに隠れて見張りをしながら休むことにした。



「なぁ、エイコイ。俺、実はここは異世界じゃなくて地獄がったんじゃないかって最近思ってるんだけど」



 俺はため息を吐きながら、そんな愚痴をエイコイに告げる。



 ここに来てから修行の毎日。殆どの時間が修行である。学校でも土日があったが、ここでは休みなんて一切ない。
 そのうち、うちの見習いは人間じゃない。とか言い出しそうな勢いだ。



「安心しろ。ユウ……ここは現実だ。この世界の住民の僕がいる」



「地獄の下っ端じゃなくて?」



「誰が下っ端だ!?」



 そんな愚痴をエイコイに聞いてもらっていると、エイコイはポケットの中から猫の絵が描かれたハンカチを取り出した。
 そして懐かしむようにそのハンカチを眺める。



「確かに地獄みたいな日々だけどね。……僕にはこれがあるから、耐えられるよ」



「なにそれ? 好きな人から盗んだハンカチ?」



「貰ったじゃなくて盗んだ!? ……いや、そうじゃない、好きな人……ある意味そうかもしれないけど、僕にとっては憧れの人、かな?」



 エイコイの持つハンカチの端を見ると、そこには文字が小さく書いてある。人の名前なのだろう、しかし、小さくてよく読めない。
 ミ……ア・……ドラス………………オン? 人の名前だろうか。



「僕の家は貴族の中でも小さな家系でね。……領土も小さいし、借金もあるような家だった。そんな僕に勇気をくれた。それがあの人だったんだ。…………それに僕を助けてくれた」



「助けてくれた?」



 俺が首を傾げて詳しい事情を聞こうとした時。近くにあった木陰の影が動き出して、影からヌルッとレジーヌが顔を出した。
 目の下まで顔を出しているが、まだ口から下は影の中だ。



「着替え終わったぞ。クズども」



 そう言うと、レジーヌの身体は少しずつ浮かび上がり、影の中から出てくる。そしてゆっくりと影から身体が出て、完全に脱出した。



 影から出てきたレジーヌの姿は、見習いの山賊と言った風貌。少し服がデカい感じもあるが、問題なく着こなせている。
 このメンバーだとレジが、一番身長が高いため、俺やエイコイが着替えていたらブカブカだっただろう。



 着替え終えたレジーヌはどこから取り出したのか、ロープを取り出すと不気味な笑みを浮かべた。



「さぁ、さっさと侵入するわよ」










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