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エルデリオンの過去の夢
エルデリオンの夢 1
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エルデリオンは自分が眠ってると、分かっていた。
だから…ここ暫くずっと思い描き続けたレジィリアンスを腕に抱いた今日。
彼の夢を見るのだと思った。
けれどそこは、過去の城…。
まだ十かそこらの頃。
周囲はいつも大人。
女中に教師達。
世話をされ声をかけられ、いつもお行儀良く…。
だから時々、大声を上げて暴れ回りたい衝動にかられた。
けどそんな事をしたら…回りの大人達に諫められる。
「どうなすったんです?」
「静かに。
そんな事ではじっくりお考えになれないでしょう?
ちゃんと答えを書き記して下さい」
マナーやダンスや歴史や学問…。
退屈な時間。
息が詰まりそうになった時、隠れ家に籠もる。
城の端にある納屋の二階。
一人でぼんやりしてると…屋根を伝う音と共に、窓から顔を出したのが…デルデロッテだった…。
年上だとは思ったけれど…自分と同じ子供。
召使い達の子供にたまに会ったけど。
大抵は親の召使いがやって来て
「こんな所に来ちゃダメでしょう?」
そう言って頭を下げられ、子供は親に手を引かれて、直ぐ行ってしまう…。
だから、聞いた。
「どうしてここに居るの?」
「父と来たんだけど、彼、用事で忙しくて。
だから探検してた」
「…探検…?」
今よりもっと細く、艶やかな濃い栗毛が美しくて…。
顔立ちも、大人の女性のように綺麗で…。
屈託無くて、若々しくって…学問の講師のように、老人のたどたどしい歩き方じゃ無くって、軽やかで。
笑顔が素敵で…。
「来いよ!
ここの上に、宝物の入ったチェストがあるって!」
屋根の上に誘われて…デルデロッテと一緒に屋根を伝った。
わくわく…した…。
見つかったら、大勢の大人達が大騒ぎする。
でも…それより、楽しさが勝った。
屋根を上がり、窓から上の部屋へ入る。
暗くて…埃だらけで。
けれど神秘的で。
一度も入った事の無い部屋。
デルデロッテは埃を被ったガラクタの中、一つの…古いチェストを見つけ、振り向いて頷くから…一緒に蓋を、持ち上げた。
中には…古い衣装やらブローチやら…。
宝物に思えたけど、デルデロッテはがっかりした。
「…女モノばっかだ…」
「これ…宝物じゃないの?」
デルデロッテは頷く。
「剣とか鎧が見つかる筈なんだ。
昔の勇者の…」
夢はその後、時間が飛ぶ。
「デルデロッテ!
帰る時間だ!
どこに居る…?」
声がして…デルデロッテは振り向き、楽しい時間と冒険が終わる…。
しがみついていた。
「もう…行くの?」
不安げに…見えたのかな。
デルデロッテはちょっとびっくりした後…悪戯っぽく笑って、言った。
「また…来る。
ここにいたら会えるよ」
…確かその後、六日間も…講師達の講義の後、納屋に通ったっけ…。
けれど会えない。
がっかりして眠り込んだ。
夜になって、たいまつ掲げた大人達が大騒ぎして自分を探してたっけ…。
納屋にいた事を知られたくなくて…近くの小さな林からこっそり…姿を見せたっけ…。
大人達は安心して…父王や母王妃の元に引き出され、二人に言い訳をした。
けれど次の日、諦めきれず納屋に行くと…デルデロッテはそこに居た。
傷だらけで。
「…ずっと来てた?
ここ、ヤバいよな?
忍び込んだとこ見つかって。
お仕置きに三日も牢に入れられた」
「牢に…居たの?」
デルデロッテはそれでも快活に笑った。
「父が引き取りに来てくれるまでね。
それなりに、楽しかったけど」
「牢が…楽しかったの?!」
デルデロッテは何でも楽しんだ。
彼の事が大好きになって…一緒にいっぱい、城の中を探検して回ったっけ…。
大人の兵士がいると、木の上に登って隠れたりして。
普段出来ない事を…したら叱られる事を、いっぱいした…。
やがて見つかって。
デルデロッテに二度と城に来ないよう、私に、二度と会わないよう言われて。
泣き叫んで抗議した。
たった一人の、親友…。
たった一つの…楽しい時間。
「デルデロッテは王子に、悪影響を及ぼしますぞ」
重臣らの言葉。
でも必死に抗議して…その後、食事を取らず反抗した。
父王は折れて…デルデロッテはその後、正式な私の遊び相手として、城に来るようになった…。
だから…ここ暫くずっと思い描き続けたレジィリアンスを腕に抱いた今日。
彼の夢を見るのだと思った。
けれどそこは、過去の城…。
まだ十かそこらの頃。
周囲はいつも大人。
女中に教師達。
世話をされ声をかけられ、いつもお行儀良く…。
だから時々、大声を上げて暴れ回りたい衝動にかられた。
けどそんな事をしたら…回りの大人達に諫められる。
「どうなすったんです?」
「静かに。
そんな事ではじっくりお考えになれないでしょう?
ちゃんと答えを書き記して下さい」
マナーやダンスや歴史や学問…。
退屈な時間。
息が詰まりそうになった時、隠れ家に籠もる。
城の端にある納屋の二階。
一人でぼんやりしてると…屋根を伝う音と共に、窓から顔を出したのが…デルデロッテだった…。
年上だとは思ったけれど…自分と同じ子供。
召使い達の子供にたまに会ったけど。
大抵は親の召使いがやって来て
「こんな所に来ちゃダメでしょう?」
そう言って頭を下げられ、子供は親に手を引かれて、直ぐ行ってしまう…。
だから、聞いた。
「どうしてここに居るの?」
「父と来たんだけど、彼、用事で忙しくて。
だから探検してた」
「…探検…?」
今よりもっと細く、艶やかな濃い栗毛が美しくて…。
顔立ちも、大人の女性のように綺麗で…。
屈託無くて、若々しくって…学問の講師のように、老人のたどたどしい歩き方じゃ無くって、軽やかで。
笑顔が素敵で…。
「来いよ!
ここの上に、宝物の入ったチェストがあるって!」
屋根の上に誘われて…デルデロッテと一緒に屋根を伝った。
わくわく…した…。
見つかったら、大勢の大人達が大騒ぎする。
でも…それより、楽しさが勝った。
屋根を上がり、窓から上の部屋へ入る。
暗くて…埃だらけで。
けれど神秘的で。
一度も入った事の無い部屋。
デルデロッテは埃を被ったガラクタの中、一つの…古いチェストを見つけ、振り向いて頷くから…一緒に蓋を、持ち上げた。
中には…古い衣装やらブローチやら…。
宝物に思えたけど、デルデロッテはがっかりした。
「…女モノばっかだ…」
「これ…宝物じゃないの?」
デルデロッテは頷く。
「剣とか鎧が見つかる筈なんだ。
昔の勇者の…」
夢はその後、時間が飛ぶ。
「デルデロッテ!
帰る時間だ!
どこに居る…?」
声がして…デルデロッテは振り向き、楽しい時間と冒険が終わる…。
しがみついていた。
「もう…行くの?」
不安げに…見えたのかな。
デルデロッテはちょっとびっくりした後…悪戯っぽく笑って、言った。
「また…来る。
ここにいたら会えるよ」
…確かその後、六日間も…講師達の講義の後、納屋に通ったっけ…。
けれど会えない。
がっかりして眠り込んだ。
夜になって、たいまつ掲げた大人達が大騒ぎして自分を探してたっけ…。
納屋にいた事を知られたくなくて…近くの小さな林からこっそり…姿を見せたっけ…。
大人達は安心して…父王や母王妃の元に引き出され、二人に言い訳をした。
けれど次の日、諦めきれず納屋に行くと…デルデロッテはそこに居た。
傷だらけで。
「…ずっと来てた?
ここ、ヤバいよな?
忍び込んだとこ見つかって。
お仕置きに三日も牢に入れられた」
「牢に…居たの?」
デルデロッテはそれでも快活に笑った。
「父が引き取りに来てくれるまでね。
それなりに、楽しかったけど」
「牢が…楽しかったの?!」
デルデロッテは何でも楽しんだ。
彼の事が大好きになって…一緒にいっぱい、城の中を探検して回ったっけ…。
大人の兵士がいると、木の上に登って隠れたりして。
普段出来ない事を…したら叱られる事を、いっぱいした…。
やがて見つかって。
デルデロッテに二度と城に来ないよう、私に、二度と会わないよう言われて。
泣き叫んで抗議した。
たった一人の、親友…。
たった一つの…楽しい時間。
「デルデロッテは王子に、悪影響を及ぼしますぞ」
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でも必死に抗議して…その後、食事を取らず反抗した。
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