森と花の国の王子

あーす。

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記憶を無くしたレジィリアンス

レジィの調教内容を知るデルデロッテ

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 レジィリアンスはその後、安らかな寝息を立てて眠ってしまうので。
デルデロッテは衣服を着替えるべきか、悩んだ。

ブーツすら、履いたまま。

が、ラステルとエウロペの話の様子だと、かなり強烈な媚薬を飲まされ、ちょっとの刺激で興奮状態になると分かっていた。

…つまり、いつまた。
出番があるかもしれない。

ので、とりあえず着替えようと居間に出向く。
ソファの上に、着替えとガウンが置かれていたので。
取り上げて寝室に戻ると、浴室へと出る。

長方形の大きな浴槽の、半分は露天。
さっさと脱ぎ捨て、湯に浸かる。

正直、昨夜から騎乗続きで、服は土埃、体は汗臭かった。
けどレジィは、気にしてなかったな。
と思い返す。

香りの強い洗い粉を付けて体を擦ると、湯で流し、髪も洗った。

寛ぐ時間も殆ど取らず、湯から上がる。

寝室に戻ると、レジィはもぞ…と寝返りはうつものの、よほど疲れていたのか。
また目を閉じて、眠っている。

横に腰掛けて、ため息を吐く。

さらわれている間、正直どんな目にあったのか。
まだ全容は解明されてない…。

コンコン…。
ノックの音に気づき、デルデロッテは居間に続く扉を開ける。
ラステルが姿を見せ
「レジィは?」
と小声で尋ねるから
「眠ってる」
と小声で囁き返した。

ラステルが首を振るので、居間に移る。
扉を閉めた途端、ラステルは小声で囁く。

「高熱で意識朦朧なレガートに…部下が少しずつ、話を聞き出してる。
…どうやらアルトバルデに売るため、短時間で調教を施したと」
「内容は?」

ラステルが眉を寄せるので、酷いんだな。
とデルデロッテは予想した。

「…これはまだ、エウロペ殿には伏せてある」
「口外しない」

ラステルは頷くと、囁く。
「どうやら後ろは。
初物好きの為に、薬を塗った棒でかなりの間、刺激したそうだ。
それで…いてもたってもいられず、しょっ中挿入をねだるように、なってるのかも。
口の使い方を教えたかったが、上手く行かないし時間も無かったので…よってたかって三人で。
一人が口に突っ込み、もう一人は後ろから。
もう一人に、胸だの股間を刺激したそうだ」

ラステルは長身のデルデロッテを見上げたが、デルデロッテは顔色も変えず尋ねる。
「…同時に?」

ラステルは頷く。
「…後ろは初物でも構わないが。
咥え上手じゃ無いとダメ、ってのが、アルトバルデの要請だったそうだ」

デルデロッテは眉間を寄せる。
「…嫌がってた?」
「その辺を、侯爵から聞きたかったけど…」
デルデは頷く。
「じゃ、私が探る」
「さっきは?」
「挿入されるのは、好きみたいだな。
多分…」
「エルデリオン?」

デルデは頷く。
「よほど丁寧にほぐし、傷つけないようにしたようだ。
が、エルデリオンは多分、レジィに無理に、口は使わせなかったろうから…」

「…咥えるのが嫌で、抵抗して…強姦された?」
「予想は付く」

ラステルは冷静な意見を放つデルデロッテを、改めて見る。
「…じゃ、その辺りを思い出したくなくて?」
デルデは頷く。
「それと。
やっと戻った城から、略奪同然で傷付いた父を残し、馬車に乗せられ…。
ショックも覚めやらぬウチに、無理矢理強姦同然に、初体験」

ラステルは顔下げる。
「…致命的だな…。
君の事は?
覚えてた?」

デルデは首を横に振る。
「改心した侯爵みたいに思ってる。
前の彼より、今の私の方が良かったそうだ」
「流石だな」

ラステルは笑ってそう言ったのに。
デルデは無表情。
「…天狗になって、いい場面だぞ?」
「侯爵より良かったって、言われたって。
褒め言葉にすら、ならない」
「当然すぎて?」
デルデは無言で頷く。

ラステルは顔を下げた。
「…けど結構いやらしいことしたってのに。
レジィは侯爵を頼ってた。
だからそれ程最悪じゃ、無かったって事だから…」

デルデはラステルを、真っ直ぐ見た。
「自分の楽しみ、本意な男と。
相手を快感のるつぼに叩き込む男を比較したら、どっちが相手に好かれると思うんだ?」
「後者?」

ラステルの模範解答に、デルデは大きく頷く。
「勝負にすらならない」

ラステルは小声で呟く。
「…これだけ自信があるってのも、逆に嫌味だと、ロットバルトは思うと思う」
デルデロッテは平然と言葉を返す。
「ロットバルトは愛を込めて抱きしめ、後は成り行き任せ。
情事は快感を追い求める行為では無く、愛を確かめる行為だそうだから、そうなんだろうな」

「…記憶はまだ、戻りそうにない?」
「しっかり確かめてないけど。
嫌な行為や記憶に、まだ激しい拒絶反応があるし。
薬の影響か、どこかぼんやりしてるっぽいから。
薬がすっかり、抜けてからじゃ無いと」

ラステルが頷いた時、デルデロッテは小声で呟く。
「口外しないけど、もう無駄になりそうだ」

ラステルは一気に振り向く。
警護部屋と繋がる隠し扉から、エウロペが姿を見せていた。

「…聞い…」

ラステルが呟くと、エウロペは頷く。
「この扉を少し開けるだけで。
会話が筒抜けって、知ってたか?」

ラステルはがっくり、顔下げた。
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