アースルーリンドの騎士 幼い頃

あーす。

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第三章『三人の子供と騎士編』

5 剣士の資質

 昼食の席で、いつも元気いっぱいの子供達がぐったりしてる様を、ディングレーは見た。
アイリスも心配げな視線を、ひっきり無しに彼らに投げる。
だが食後暫くしてから、テテュスがローランデを見つめ、ローランデは受けて立つように静かに立ち上がり、ファントレイユも体を起こし、シェイルはレイファスの視線に気づき、言い放つ。
「“野獣”を退治するだけの短剣を投げる気が、ありそうだな!」

オーガスタスにがっちり阻まれ、ローランデの側に寄れないギュンターに、直ぐ様振り向かれて睨まれたが。

テテュスはさっきどうやっても受けられなかったオーガスタスの剣を、受け止めたかった。
が、ローランデは剣を構えると直ぐに、テテュスとファントレイユにかかって来いと促す。

テテュスもファントレイユももう、遠慮は無かった。
午前とはうって変わって、激しい剣の音が飛ぶ。
テテュスもファントレイユも必死でその剣士に斬りかかる。
が直ぐに、ローランデの剣は相手の攻撃を防ぎにかかった。
テテュスにもファントレイユにも解った。
どこに剣を突き入れるかで、相手の行動が縛れるのかを。

やっぱり、どれだけ剣を振り入れようとしても、その前に突き入れられるローランデの素早い剣に、体勢を崩す。
自分本来の型で剣を振るう事が、どうしても出来ない。
半端な突きはローランデに軽くかわされてしまい、結局満足な攻撃に、出る事すら出来ない。

そして…。
テテュスは気づいた。
ローランデがファントレイユに向かい、凄まじい気迫を一瞬込めて、剣を繰り出す。
止めの剣で、ファントレイユは受けそびれてその手から剣を弾かれる。
自分に向けては重く鋭い剣が、剣めがけて降って来る。
かん…!
受けたものの…。
といっても、ローランデの剣は彼の剣目指していたから、当たったと言った方が正しい。
当たった衝撃の重い痺れに、剣を持っているのが精一杯だった。
そして、気づいた。
オーガスタスの剣は常に重さが漲っていたが、ローランデは一瞬に凄まじい重さを感じる。
その一瞬が恐ろしく早く、ついその一撃に剣を持っていかれそうになるのが解った。

ギュンターのような大きい相手でさえ、ローランデの剣を受ける度、秘かに顔を歪めていたのを思い出す。
ローランデは自分を鍛え、そして力自慢の相手とでさえ渡り合える、その“一瞬の重さ”を、身に付けていた。

更に相手を、自分の意のままに操れる程的確で、どこにどう剣を振り入れれば相手の攻撃を防ぎ、体勢を崩して隙を作れるのか、知り尽くしているようだった。

ファントレイユは弾かれた剣を拾って、再びローランデに攻撃したが、ローランデは変わりなかった。
ファントレイユが剣を振る前に、ローランデの鋭い剣が胸元を抉り、ファントレイユは何とか体勢を崩すまいと、避けながらも踏みとどまる。

テテュスはチラ…!とアイリスと…その横のディングレーを見つめた。
つまり、まだローランデは『遊び』の段階で余裕があると言う事だ。
解っていても…。

ファントレイユも同様だった。
ローランデがテテュスに剣を入れてる隙に、やっと体勢を取り戻し剣を振りかぶる。
が、一瞬で冷やりとした剣に襲われ、結局体勢を崩す。
どうしても。
何度試しても同じで、シェイルがレイファスに、同じ場所に入れてどうする!と叫んでいたが、毎回襲いかかる剣の入る場所が違って、読めなくて、その剣をぎりぎりでかわすのに精一杯になった。

つまり…ローランデはテテュスの相手をしている最中でも自分が、見えているんだ…。
目で見てるんじゃなく、気配で。
まるで三つ目の目を持っているみたいに。

そういえばシェイルだって、それが飛んでくると知っていたけど、後ろから飛んできた短剣を、まるで見ないでぎりぎりで避けてた。

目で、見るんじゃないんだ……。

それが解ったとしても、どうすればそんなものが身に付くのかさえ、ファントレイユには解らなかった。
目で見て隙が出来たと感じた時にはもう遅く、ローランデはこちらの攻撃を察して次の瞬間、その隙は消えていた。

ファントレイユの息が上がり、テテュスがまだ、睨みすえてなんとか一撃だけでもローランデに攻撃の剣を振るおうとしていた。
が、ローランデは笑顔で剣を、下げた。
「少し、休もう」

ファントレイユはほっと息を吐き出し、テテュスは俯いて、肩で息を、していた。

子供達から解放されたローランデの前に、ギュンターがとうとうオーガスタスを振り切り進む。
シェイルが咄嗟に気づき、短剣を持ち構え、レイファスがそれを瞳に、またぞっと背筋に冷や汗をかいた。

「…ギュンター。講義中だ」
「話くらい、いいだろう?」
背後にオーガスタスが、立つのが解ったが、ギュンターはローランデを見続けた。
ローランデはその素晴らしい美貌の男らしさを感じたものの、ギュンターに微笑む。
「私が、言われた仕事をちゃんとこなすのを誇りに感じる優等生だと、知っている筈だ」
ギュンターは一瞬顔を、揺らした。
「二人がお前の、思うレベルに達する迄俺と二人きりで過ごす気は無いと。
そう言うのか?」
ローランデに頷かれ、ギュンターは唇を、噛んだ。
「…君にも手伝って貰いたいが、午前のあんなやり用はごめんだ。
確かに鍛えるべき相手だが、子供だという事を完全に忘れてるだろう?」
ギュンターはまだそれでも異論を唱えるように愛しのローランデを見る。
オーガスタスが背後から、ギュンターに顔を寄せてその耳元で静かに告げた。
「いい子にしてろ。ローランデはお前の事を、どうせ無視できやしない」
ローランデはその言葉に一瞬頬を染めて俯き、顔を上げて恋人に告げた。
「終わればちゃんと、君との時間を作るから」
ギュンターが、静かに唸った。
「…それは、約束か?」
だがその秘やかな声はどこか聞いている者を、振り向かせる切実な響きがあった。
ローランデは静かに頷く。
「約束する」
ギュンターの顔は厳しく、だが震えていた。
テテュスとレイファス。そしてファントレイユでさえも。
ギュンターが、ローランデからあまり約束を貰えないんだと、解った。
ギュンターは嬉しいを通り越して、感動しているように、見えたからだった。

これ程の騎士を恋人にするという事が、普通の恋愛よりどれだけ厳しいのか。
彼らには何となく、解った気がした。
ディングレーでさえ、ギュンターを気の毒に思ってた。
そして…。ギュンターは
「気づくと、惚れていた」
と言ってたみたいに、自分ではもうどうしようも無いほど、ローランデが好きなんだと言う事も。

レイファスはでも、とてもギュンターは、潔いと思った。
自分を惨めにするそんな想いを誤魔化したりせず、真剣にぶつかっていって、逃げたりしない所が。
だから、アイリスでさえもギュンターを認めていたし、オーガスタスは邪魔しても、気遣ってる。

ギュンターがその約束を貰って背を向けると、ローランデのその青い瞳にその野獣を気遣う色が浮かぶのを、レイファスもファントレイユもテテュスも見つけ、心の底からほっとした。
シェイルがそれをきつい瞳で見た。

三人共が、ギュンターのそんな真摯な想いを、ちゃんとローランデが受け止めてるんだ、と解って、本当に嬉しかったから、事情を良く知っている大人達はもっと、ほっとしてるように感じられた。
シェイルでさえも。
ただ、シェイルはその野獣の狂った恋心を、どうやって冷やして根絶やしにするかを、伺っているようだったけど。

だが三人がそれを、無邪気に話し合う機会は与えられなかった。
ファントレイユがレイファスと代わり、レイファスが今度はローランデに剣で向かっていく羽目に成り、ファントレイユは銀髪で美貌の短剣使いに、剣で立ち向かった。
ローランデはレイファスに、短剣も使っていいと言い、テテュスには変わらずかかっておいで。と告げた。
レイファスは一瞬呆然としたが、テテュスはきっと唇を結んで彼に剣を構えた。

だが大人達は、レイファスの器用さを間の当たりにした。
習いたてだと言うのに、レイファスは長剣を振りながらも瞬間、隙を狙って短剣を投げ入れた。
シェイルの教えがいいのか、ローランデがテテュスに、剣を振り入れている真っ最中に。
ローランデはテテュスに剣を入れて直ぐ、脇差しの剣を左手で抜き様、その短剣に当てて弾く。

レイファスは口をあんぐり、開けそうになった。
両手使いなんだ…。
シェイルとの講習の間、どうしてもローランデに目が行き、見つめていたが、半端じゃない達人でその上…両手が使えたりしたら、どれだけの人数でかかっていっても、返り討ちにあっちゃうしそれに、短剣ですら軽く避けてしまう。
レイファスは、読んでいた物語で『伝説』に残るような騎士に出会ったんじゃないかと、秘かに思い始めた。
でもギュンターも短剣をひょいと避けたし、オーガスタスもディングレーもアイリスも、例え戦闘中に短剣が飛んできても、それに命を取られるような間抜けに見えなかった。

レイファスは改めて、自分の短剣をシェイルが『へなちょこ』と呼ぶ理由が解った。
相手の急所に投げたって当たらない。
避ける方向か、余程の隙を突かない限りは。

レイファスの長剣は攻撃の為で無く、相手を攪乱させる為に使われているのを目にし、アイリスとディングレーはこの短期間にレイファスがどれだけ成長したのか解った。

…ローランデ相手にはまるで無意味だったけれど。

でも少なくとも他の相手には、通用する。
そしてその短剣は、ローランデの次の行動を予想して、投げられ始めてるのにも気づいた。
が……。
ローランデの動きがまるで読めないし、予想して投げたつもりでも、それすらローランデ相手には遅く、彼はとっくに投げた位置にはいなかった。
本人狙って投げた方がマシだと解り、レイファスが投げ出しそうに思ってるのが表情に表れ、大人達は俯いてため息を、付いた。

テテュスがレイファスを応援するように、ひっきり無しに攻撃を続ける。
剣を振らなくとも“気”で攻撃の意思を示して相手を自分に引きつけるテテュスの高等テクニックに、アイリスはやはり感動した。
「私の六歳より彼の方が上だ…」
ささやく彼に、オーガスタスとディングレーが顔を見合わせ、ディングレーがつぶやいた。
「お前、一応剣の腕は確かだが、殆どはったりで勝ってるじゃないか」

アイリスが、二人を見た。
ギュンター迄もが腕組みし、オーガスタスも言う。
「テテュスはお前みたいな手は使わん代わりに、全うな剣士になろうと腕を磨いてるんだろう?」
アイリスは憮然とする様子無く、テテュスを見つめる。
「彼は私と違って、真っ直ぐでとても素直で潔い」
皆がアイリスの言葉に、心から同意した。

ギュンターが感想を述べる。
「自分より性格のいい立派な息子を持つと、親は苦労するようだな」
アイリスの、顔が揺れた。
ディングレーがぶっきら棒に、アイリスの心の不安を感じ、尋ねる。
「お前、本当はテテュスに剣を持たせたくないんだろう?
戦いから離し、うんと子供らしく、遊ばせてやりたいんじゃないのか?」
それを聞いて、アイリスは俯く。
「あの子はあの年で、アリルサーシャの為にずっと“死”と戦って来たから、戦う事が生きる事だと、思い込んでしまってる」
オーガスタスが大きな、ため息を付いた。
「…ほっといても自分で腕を磨き、大した使い手になる、か。なら性格と思い込みが問題だな」
ギュンターも、顔を傾ける。
「剣士としての資質が卓越してる上、戦いを使命としてるなら。
“死”から引き剥がすのは並大抵じゃない」
アイリスがギュンターを不安そうに見つめ、問う。
「…やはりそう、思うか?」
その声が震えていて、アリルサーシャを亡くしたばかりの彼がどれ程テテュスを失いたく無いと思っているのか、その動揺を皆が感じた。

ディングレーが肩をすくめる。
「お前が裸になってそのまま…息子に告げればいい。
妻の後を追うようにお前に迄死なれたら、俺は間違いなく廃人か気狂いになると」
オーガスタスも、同意した。
「素直な子だから、直ぐ察するだろう?」
ギュンターは、静かだがきっぱりと告げる。
「泣いてすがれば、テテュスだって思い直す」
泣いてすがる、で、アイリスは突然思い出したように言った。
「…つまり、カレアスは父親としてはあれで結構、やり用を知ってるって事か?」
カレアスを知らないオーガスタスとギュンターが、顔を見合わせる。
ディングレーは、肩をすくめた。
「カレアスは手段として使ってる。
お前はもっと深刻だし、テテュスに通じるよう心を告げる手段は、他に無いだろう?」
アイリスは頷いた。
「テテュスは父親の私が、立派な騎士で誇りに思ってくれているから、あんまりみっとも無い所を晒したくないが…しょうがないな」
ギュンターが唸った。
「そんな風に息子の前で他人行儀に格好付けるから。
真剣な心を打ち明ける時、苦労する羽目になるんだ!」
オーガスタスが途端、心から笑った。
「日頃遊んでいて行状が悪いと、真剣に相手に思いを告げてもなかなか信じてもらえず、苦労するか?」
ギュンターはローランデを口説いてた始めの頃の話を持ち出され、つい憮然として眉間を寄せた。

アイリスは、そうか。やっぱり。とギュンターを見られず、顔を下げた。
ディングレーの一際大きなため息が、その場を包んだ。

かん…!
だがシェイル相手の、ファントレイユの剣が激しさを増す。
シェイルは足を使い、左右、前後に動きながらあらゆる場所からファントレイユに剣を入れていた。
がファントレイユが、それについて行こうとし、慣れないたどたどしさが抜け、シェイルの剣と真っ向から打ち合い始めた。
かんかんっ…!
その剣はファントレイユの気迫さながら、鋭さを増す。
シェイルはその気迫の戦う時の価値を知っていたから、それを生かす為の足使いを、ファントレイユに教えているようだった。

打ちかかる剣は明らかに手を抜いていて、ファントレイユの好きなように剣を振るわせ、しかし彼の予想しない場所へと次々と剣を繰り出し、ファントレイユをなぶって見せた。
ファントレイユは否応なしに、その剣に剣を合わせ止めようと、足を使う。

オーガスタスが感想をもらす。
「わざと、怒らせてるな」
皆が頷き、見つめると、ファントレイユは明らかに怒ってた。
打ちかかる剣は優しく、でもからかうようで、切り返すものの軽くかわされ、あしらわれて、ますます怒りを増していた。
ギュンターは、自分に喰ってかかったファントレイユを思い出す。
人形のような外観。
だが…。
「あれで、プライドは高そうだ」
ディングレーがギュンターを見た。
「…でなく、今まで母親にがっちり管理されて不満が溜まっていたし、女の子と間違われ続け、ストレスの塊だったんだろう?」
アイリスが、同意して頷く。
「お人形のような、無表情な子供だった」
オーガスタスが、ため息を吐いた。
「迂闊に綺麗だと、母親に人形扱いされるのか?」
ギュンターが、訳知り顔で俯く。
「女は容姿にこだわる。
俺も義母に、顔だけは綺麗でそこだけは気に入ってるから、他はどれだけ傷を作って構わないが、顔だけは絶対傷を作るな。
と、くどい程言われた…」

皆が彼の幼少時代に、思わず同情を寄せた。
アイリスが思いついて、尋ねてみる。
「…子供の頃から、だけど暴れん坊だったんだろう?」
ギュンターは頷いた。
「周囲に喧嘩好きな野郎ばかりいたら、そうなるだろう?
暴力が日常茶飯事で、ぼやぼやしてたら拳が飛んで来る。
兄貴共は平気でチビ達を殴るから、止めて庇うのに、腕が無いと出来ないだろう?」
オーガスタスが唸った。
「結構、過酷だな」
ディングレーが、そっと伺う。
「そんなに、乱暴な兄貴なのか?」
「殴り合いが会話だから、弟達も参加させようとしてるつもりなんだろうが。
体格差を、全く考えて無い」
皆が一斉に、ため息を吐いた。

ギュンターもつい、思いついてアイリスに尋ねてみる。
「…どういう少年期を過ごしたら、お前みたいに人を喰った性格に育つんだ?」
皆が興味津々でアイリスを見た。
アイリスは一斉に注がれる皆の視線に肩をすくめ、口開く。
「周囲に身分高く美しく、それは上品に、一見見える、一癖も二癖もある、内情はとても下品な年上の女性に囲まれたら、そうなる。
母とその姉の伯母は、究極の自分勝手だし。
祖母は愛情に溢れているがやっぱり、いざとなるととても手強かった。
拳は飛んで来ない代わりにいつもやり込められて、余程頑張らないと自分の主張を通すのに苦労する。
普段仲がそれ程良く無くても、一旦共通の敵を見つけるといつの間にか徒党を組む。
三人一緒に居る時に、戦闘の火蓋を切らないのが、勝つ秘訣だ」
皆がやはり、最悪に厄介だな。と思い切り首を横に振り、ため息を吐いた。

レイファスはテテュスがそれでも必死で立ち向かう姿に、彼を援護するように短剣をローランデに投げ続けた。
それはやはり余裕でローランデにかわされはしたが、ローランデの口元に、うっとりする程の微笑が浮かんだ。
ギュンターが、見惚れるようにそんなローランデを見つめ、オーガスタスはそっぽを向き、ディングレーは俯いてため息を付き、アイリスは気づいて、悲しげな顔をした。

レイファスはどうして彼が笑うのか解らなかったけど、テテュスの迫力に押されてまた、投げる。
一瞬、ローランデがそれに気を取られた隙を見つけてテテュスが間髪入れず、打ち込んだ。
がっ!
今や両手に剣を持っていたローランデの左手に、その剣は弾かれた。
が、遮られた剣からは、ローランデの“気”の満ちるのを感じた。
戦いの感触って、こういう事なんだ。とテテュスは思った。
ローランデを少し、遊びから本気に出来た手応えを感じ、テテュスは休まず攻め続けた。

レイファスは引きずられるように長剣を振り、威嚇をして短剣を投げる。
テテュスの気迫にも、レイファスの、刃を隠す短剣の握り方にも大人達は感心した。
レイファスは刃を隠したものの、それをローランデが察するのが解って、何度か投げるふりをした。
テテュスに剣を振って牽制し、ローランデが一歩引いたその場所に短剣が飛んだ。
かん…!
予想通り、両刀使いのローランデにやはり、簡単に弾かれた。
がテテュスの突きが、直ぐローランデを襲う。

後ろに引いて間合いを取り、突き入れた剣を弾かれる。
と、テテュスは予想したが、ローランデは違ってた。
引くどころか進み、短剣を弾いた左の脇差しをさっと振って、突く剣を間近で横へ凪払った。

テテュスは剣を、また持って行かれそうになって体勢を崩す。
左の剣は右の剣よりも、小振りで短い。
だからこそ咄嗟の時重い長剣よりも素早く使え、それでなくとも身のこなしの素早いローランデは、目に止まらない早さでそれを使う。

…こんな使い方もあるんだ。と、テテュスは肩で息をした。
ローランデには全く隙が無く、どんな攻撃でも対処出来、その上攻撃ですら卓越していた。
そして…気づくとローランデは自分達の体を掠める時必ず、右手の刃を潰した剣を使い、彼に向かう剣を防ぐ時だけ、刃の潰れていない左の脇差しを使っていた。

相手を気遣いながら戦うローランデに、テテュスは感動していた。

レイファスがとうとう手持ちの短剣が尽きて、長剣で襲いかかった。
たいした気迫だったがローランデの剣の、鮮やかな一振りで叩き落とされ、レイファスはとうとう剣をその手から弾かれて、肩で息をした。
「休んでて、いい」
ローランデに言われ、レイファスは頷く。
だがテテュスはまだ向かっていく。

ローランデがその剣を右で受けながらも、脇差しを鞘に戻す。
テテュスの、眉が寄る。
まだ…それでも全然余裕なんだ…。
かん…!かんかんっ!
激しい振りを、テテュスは見せた。
右に左に振り、そして突く。
全部止められ、かわされて、ローランデの口元の微笑を見つめてテテュスはまた気迫を増し、かかっていった。
ギュンターが思わず怒鳴った。
「振りゃ、いいってもんじゃない…!」
テテュスは咄嗟に解って、右に振ろうとして左に、入れた。
かん…!
止められる。
だがそれでもひたすら左に、続けて入れ始める。
ローランデの剣がテテュスの攻撃に水を差すように時折入るが、休まず襲い来るテテュスの剣を止める間に入る剣は減り、テテュスは体勢を崩す事無く初めてローランデに攻撃をしかけた。
夢中だった。
左に、ローランデめがけ、剣を繰り出し続ける。
ずっと、いい…!
テテュスは思った。
相手はちゃんと手応えがある。
空間の見えない死に神と戦うより、何倍もほっとした。

かん!かん!かんっ…!
オーガスタスが、その自我すら無くすテテュスの集中ぶりに唸った。
ディングレーもその姿を、見つめた。
ギュンターは、その素晴らしい剣士ぶりにべそをかきそうなアイリスを、気の毒げに見つめた。
テテュスはだが、どれだけ激しく打ちかかっても、ローランデのうっとりする微笑が消えないのに気づいた。
瞬間だった。
テテュスの剣が見えない程の早さで右を襲い、ローランデが避けて体勢の整わないその時、テテュスは左に避けるローランデ目がけ、左に思い切り剣を振った。
かん!
ローランデの剣がその剣を真正面で受け止め、彼の微笑がその時、消えていた。

テテュスはようやく、にっこりと笑った。
ローランデは交える剣を、ゆっくりと引く。
テテュスは肩で息をしながら、踏み込む姿勢から身を起こして剣を、引いた。

真っ直ぐ立つと、ローランデに体を折って礼をする。
ディングレーがつい、彼の様子に拍手を送る。
ギュンターも習って拍手が増えた。
オーガスタスが、やっぱり朗らかな弾んだ声で叫ぶ。
「よくやったな!」
そして拍手に加わるが、三人共アイリスが、それこそ泣き出しそうな表情をしてるのに気づき、拍手を控えたものかどうか、お互いを見回した。

テテュスがアイリスの元に笑顔で戻って来ると、アイリスの眉が切なげに寄った。
「君はとても素晴らしい剣士だ」
アイリスにそう言われ、でも彼が泣きそうで、それを伺おうとする前に抱きしめられた。
アイリスのぬくもりが本当にほっとする暖かさで、テテュスは彼にしがみついた。
ローランデが戻って来て、その二人を見やる。
「…アイリスの、言う通りだ。
テテュスは頼もしい剣士になる」

だがオーガスタスもディングレーもギュンターも、それは微妙な表情をした。
ローランデが見るとアイリスは、彼の身の心配に耐えかねたようにその体を微かに震わせていて、ローランデは秘かに皆にそっと聞いた。
「…凄く、心配していたのか?」
オーガスタスが大きく頷き、ディングレーはその通りだ、と見つめ、ギュンターが、説明した。
「泣いてすがって、命は大切にしてくれと息子に言う気でいる」
ローランデは俯いたが、頷いた。


ファントレイユはだが、怒っても無駄だと思えるくらいにシェイルがすばしっこくて、良く考えたら飛んでくる短剣を全部避けてしまう位カンのいい相手だから、どれだけ剣を振っても当たらないんじゃないかと思った。
シェイルが、怒鳴った。
「お前の方が小柄で素早い筈だ。
俺より早く動けないんじゃ、餓鬼の面目丸つぶれだな!」
ファントレイユはかっ!と来て、まるで鬼ごっこのように、シェイルを追いかけ始めた。
避けるシェイルを足で追いつめ、剣を振る。
シェイルはその美貌で笑った。
「レイファスのへなちょこ剣と、どっこいどっこいだな!
そんなん、当たるか?」
シェイルがとうとう持っている剣を下げ、当ててみろ、と姿を晒すので、ファントレイユは思い切りムキに成った。
ぶん…!
さっと体を横に倒すシェイルに難なく避けられ、剣は音を立てて空を切り裂く。
「…いい音だ!」
向かっ腹立ったファントレイユは必死だった。
足を使って剣を振るのが、上手く出来なかったけど構わなかった。
追いつめ、その途中でも剣を振る。
ディアヴォロスの言葉が蘇った。
最小の、振りだ。相手にそれと、気づかれない程の。
そうだ…。
そして…。
シェイルに左に、頭の高さが変わらないまま素早く移動され避けられ、短い振りを幾つか入れる。
そして…。
瞬間、シェイルが自分の間近に来た時、突き入れた。
シェイルは
「おっと…!」
と声に出したが避けた。
まだだ。全然、駄目だ…。
ファントレイユはまた、短い振りを幾つか入れた。
足を使うから、消耗が倍、激しかった。
足を鍛えろと、言われた理由が痛い程解った。
息が、上がった。だが…。
ファントレイユの疲労に、気づいたシェイルが気迫を解く。
その瞬間、ファントレイユは駆け寄り突っ込んだ。
剣の突き入れる位置を、途中で変えた。
シェイルは避けたつもりでその剣が腹に入って来るのを感じ、瞬間後ろにすっ飛んだ。
ファントレイユは突き出した剣に手応えを感じず、肩で息をして剣を、握りしめた。
シェイルはファントレイユがそこで止まるのを見て、つぶやいた。
「なかなか粋な事をするな…」
ファントレイユは頷こうとし、息が切れて無理だった。
シェイルがそっと側に寄ると背に手を掛け、ファントレイユは息切れで死にそうな自分に気づいて、その場に座り込んだ。
ふと顔を上げると、レイファスも少し離れた場所で座り込んでいて、ローランデに声を掛けられていた。

右腕を持たれ、肩を触られていたからきっと、短剣の投げすぎで右腕がひどく痛むんだろうと、ファントレイユは思ったが自分も足が、ぱんぱんだった。

大人達がテテュスに拍手を送ってるのに気づいた。
テテュスはどこも痛くないのかな。とぼんやり思ったが、まだ切れた息は戻らず、ファントレイユは体を丸めたまま息を、吐き続けていた。

「見ているだけだが腹が減るぜ!」
オーガスタスの朗らかな声がお茶請けを歓迎し、そのまろやかな極上のチーズやらハムやらを口に放り込み始めた。
レイファスが、ぐったりするファントレイユをそっと伺う。
「死人みたい」
ファントレイユは頷く。
「右腕が、痛い?」
聞かれてレイファスは、腕をそっと持った。
「感覚が無くて、石みたい」
ギュンターが聞いて唸った。
「暫くしたら、死ぬ程痛むな」
レイファスはげんなりして、顔を下げた。

アイリスがそっと、寄り添う息子を優しげに見つめた。
「君は…?どこも痛くない?」
テテュスはアイリスを見上げた。
「腕も足も、自分のじゃないみたい」
アイリスは、ほっと息を吐いた。
「…じゃあこの後は温泉だ」
テテュスはべそをかきそうな顔をした。
「…もう、今日は終わり?」
ローランデが優しく言った。
「ちゃんと、明日もあるから。
第一疲労を取って置かないと、明日は満足に戦えない」
でもテテュスは静かにローランデを見つめた。
「…でも貴方が本当の敵だったら、手足が痛いからと加減してくれますか?」
皆がテテュスの覚悟に恐れ入り、アイリスの心配の理由も解った。
が、つい一斉に、ローランデを伺い見た。
ローランデはだが、微笑んだ。
「本当の敵に会った時、手足が痛まないよう。
今、訓練してるんだ」
テテュスは、そう言うローランデの信頼感溢れる青い瞳を見、頷いた。
ギュンターはその教師ぶりに、感心した。
「子供を言いくるめるのが、上手いな」
シェイルがぶっきら棒につぶやいた。
「お前が下手過ぎる」
ギュンターが、睨んだ。
「ローフィスに言われるんならともかく、お前に言われたくないぞ!
俺の事が言えるのか?!
少しは兄貴を見習え!」

シェイルは言われて、くるりと突然、テテュスに振り向く。
「…お前、馬鹿か?
そんなのは、本物の敵にあった時心配しろ!
休める時は有り難く休んどけ!」

あんまり突然、その美貌の顔を向けて言われ、テテュスはびっくりした。
シェイルはギュンターを見た。
「見習うと、こうなる」
皆がくすくす笑い、ギュンターは肩をすくめた。

テテュスはローフィスの言い用を真似るシェイルについ、思い切り微笑んだ。
だがシェイルはお茶を口に持っていく途中ふと思い出して、ディングレーを見つめ、言った。
「そういえば…レイファスとファントレイユの母親達に、あんたとローフィス、恋人同士だと間違われたんだって?」

シェイルにその話をいきなりふられ、ディングレーが途端、ぶっ!と茶を前方に、思い切り吹き出した。
ギュンターが、隣に座るその王族の男の無礼な失態に、素っ気なくハンケチを差し出す。
ディングレーはそれを受け取り、口を拭う。
見るとオーガスタスはもう顔を伏せ、肩を思い切り揺らしていた。
ローランデが、ディングレーを庇うようにぼそり、と疑問を口にする。
「…どの辺で、間違うんだろう?」
オーガスタスが笑い混じりに言った。
「…とっ付きの悪いディングレーが、ローフィスにだけはかなり懐いてないか?」
アイリスが眉を寄せるディングレーを伺い見て、言い訳た。
「彼女達は私の知り合いをみんな、恋愛関係があると勘違いする習性があるんだ」
シェイルが、頷く。
「初めは二人ともが、アイリスの恋人だと思われていたそうだ」
ディングレーの隣で、いきなりギュンターが顔を思い切り、そむけた。
それを見て咄嗟、ディングレーが怒鳴る。
「ギュンター!
笑ってるってバレてるぞ!」
ギュンターはやはりハデに肩を揺らして声を殺し、笑い混じりに言った。
「…幾ら何でも、アイリスと誤解されるなんて趣味が悪すぎだ。
…あんな可愛げの無い奴に、よくその気に成るだなんて勘違いされるよな?」
ディングレーの眉間が思い切り寄り、口を開きかけるとオーガスタスが、死にそうな声で言った。
「逆じゃ…無いのか?
つまりアイリスが、ディングレーとローフィスにその気になる程、悪趣味だと思われていて…二人は…つまり二人は……」
自分で言った言葉が余程可笑しいのか、オーガスタスはとうとうゲラゲラ笑い出し、アイリスが憮然とつぶやいた。
「私に落とされたと?」
ギュンターはそう言うアイリスの顔を見、ついぷっ!と吹き出した。

シェイルは睨むディングレーとアイリス、そしてすっかり笑いに入った二人を、見はしたが言葉を続ける。
「…しかもローフィスとディングレー恋人説では、ディングレーが女役だと思われて、怒った彼は『医者に診て貰え!』と怒鳴ったそうだ」
オーガスタスとギュンターがとうとう腹を抱えて笑い転げ、ローランデ迄俯いて肩を揺らし始めた。

オーガスタスが、笑いに震える声をもらす。
「押し出し満点の、誰もが認める男らしさ全開の王族も、形無しか…?」
ギュンターも笑いながら頷く。
「女相手に怒鳴ったのか?お前が?真剣に?」
日頃女達に大層素っ気なく、それが格好いいと受けている男らしい男が。
それは慌てふためく様子を想像し、更に笑い転げる。

ディングレーは、遠慮の欠片も無くハデに笑う二人を横目に、とうとう凄んだ。
「シェイル…。
ローフィスはそれをみんなの前で口にしていい情報だと、言ったのか?」
シェイルは思い出し、一瞬気まずい表情を浮かべた。
ものの、肩をすくめてとぼけた。
「…そう言えばこの事は、決して他言するなとか、言ってたような…気もする」
もう、遅い!とディングレーは睨んだが、見るとレイファスもファントレイユもくすくす笑い、テテュス迄もが俯いて控えめに笑っていて、ディングレーは怒鳴ってその笑いを止めようとしたが、一同は笑い転げ続け、とうとうディングレーはフテ切って、その笑いを止めるのを諦めた。

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