58 / 171
介抱されるシェイル
しおりを挟む
シェイルが風呂から戻ってくると、室内の皆が振り向く。
赤い唇。
濡れた銀の髪。
心細そうな…今では望まぬ艶をまとった類い希なる美少年の、打ちひしがれた姿は…室内の男達の心を直撃し、皆が揃って痛々しさを直視出来ず俯く中、ローフィスだけが手を差し伸べる。
シェイルは泣き顔で、差し出された手では無く。
ローフィスの胸に飛び込む。
全員が…顔を上げてそれを見た。
ローフィスは抱き返すものの、苦しげな表情。
無言でシェイルに囁く。
「ともかく、薬を塗るから」
シェイルは暫く、ローフィスに抱きつき…やっと頷いて、ローフィスが伏せてた寝台へと、顔を向ける。
ローフィスは背に触れて促し、そして寝台に上るシェイルの横に立って…。
けれどシェイルの、華奢な手首の枷で付けられた赤い痣や…ガウンの胸元に覗く、嬲られて赤い乳首。
そして…細く長い、綺麗な足…。
全てが…グーデンと四年護衛らの、野獣のような欲望に晒され、好きに嬲られたのだと、痛々しく物語っていて…。
ローフィスは薬つぼを手にしたまま、震った。
俯き、振り向き、開いた扉の、続き部屋に居るヤッケルへと、振り向く。
ヤッケルはフィンスに話しかけ…。
が、視線に直ぐ気づくと、振り向く。
「悪いが…」
ローフィスが、薬つぼを差し出し、ヤッケルは直ぐ、駆けつける。
ローランデとフィンスは顔を見合わせ…ローランデが腑に落ちないように、側に居たディングレーに尋ねた。
「どうして…ローフィス殿はご自身で、なさらないんです?
シェイルが心から望んでるのは、ローフィス殿なのに…?」
けれどデルアンダーもテスアッソンも、ディングレーもローフィスの内心が推察出来た。
自分の大切な大切な相手が、あんな酷い辱めを受けたら…!!!
正気でなんて、いられない。
身が震える程の激しい憤りと、救えなかった自分への責めと。
それで…間違いなく、平常心を無くす。
が、オーガスタスだけが、朗らかに微笑む。
「グーデンを殴ってたら、ローフィスももう少しマシだが。
こいつがグーデン殴るのを体当たりして止めるし。
俺が肩に担いで部屋から連れ出したから。
ローフィスは怒りが収まって無くて、シェイルに乱暴に薬を塗りそうで、ヤッケルに譲った」
デルアンダーもテスアッソンも、それを聞いてほっとし。
ディングレー、だけが
「何か?!
俺に止めた責任取って、グーデンの代わりにローフィスに、殴られろと?」
オーガスタスはすっとぼけて言う。
「そこまでは言ってない。
まあ暗に
“そうだったらローフィスの気も収まる”
…とは仄めかしたが」
ヤッケルが薬を塗りながらとうとう吹き出し、笑って揺れる手で、シェイルに薬を塗った。
けれどシェイルは凄く恥ずかしそうに、俯き…ヤッケルが叫んでる。
「…だからどこが一番、変な薬塗られたのかと、聞いただけだぜ?
…あ。そこか。
うつ伏せになれ」
そこで隣室のオーガスタスを除く男らは、扉が開いたままの寝台に横たわるシェイルから、一斉に頬を赤らめて顔を背けた。
「だって…指…で塗る…の?」
か細い、シェイルの問う声。
が、ヤッケルは怒鳴る。
「だから何だ!!!
俺は五人の弟のおしめを変え続け、汚れた尻も山程拭いたぞ?
熱が出た時、座薬だって塗った!!!
ケツの穴ぐらいで、恥ずかしがるな!!!
変な反応出る方が、後々困るだろう?
どっちがマシだ?!
今一時耐えるか!!!
延々と薬の影響に苦しむか!!!」
シェイルがとうとう、うつ伏せに寝て、お尻をヤッケルに向けた。
ヤッケルは勢いづいて怒鳴る。
「よし!!!」
隣室の男らが、ため息を吐く。
けれど皆内心、一斉にヤッケルを見直した。
「(…外見は軟弱で小柄だが…)」
「(…逞しい…。心が)」
ローランデだけが
「ヤッケルで恥ずかしいんなら、私が。
良く領地の農家を回って、病人を看たし…」
と、声をかける。
が、シェイルは申し出て戸口に姿を見せる、気品溢れるローランデに振り向き…。
彼の高貴さに、お尻の穴に指…を入れられることを、想像した・だけで滅茶苦茶恥ずかしがり、りんごより赤く頬を染めてるのを、ヤッケルは見て…。
小声でつぶやく。
「いや俺の方が…マシみたい…」
ローランデも、あまりに分かりやすいシェイルの反応を見て、頬染めて俯く。
「…そんな…様子だね………」
ディングレーがこっそり、フィンスに尋ねる。
「…ローランデって、天然ボケ?」
フィンスも困って言った。
「多分育ちが、良すぎるんだと思います」
そして、改めてディングレーを見る。
「失礼。
貴方もでしたね…」
ディングレーは俯いたまま、頷く。
「…ローフィスに出会って無く、庶民の感覚を教えて貰ってなかったら。
確かに、そうかもな」
ローランデはそれを聞いて振り向き
「私は良く農民と話したし、庶民の感覚は、分かってますよ?」
と(本人としては気安く)微笑んで言った。
けれどまるで分かってない常人離れした気品を醸し出す貴公子、ローランデを見て。
男達は一斉に、顔を下げてため息を吐き出した。
赤い唇。
濡れた銀の髪。
心細そうな…今では望まぬ艶をまとった類い希なる美少年の、打ちひしがれた姿は…室内の男達の心を直撃し、皆が揃って痛々しさを直視出来ず俯く中、ローフィスだけが手を差し伸べる。
シェイルは泣き顔で、差し出された手では無く。
ローフィスの胸に飛び込む。
全員が…顔を上げてそれを見た。
ローフィスは抱き返すものの、苦しげな表情。
無言でシェイルに囁く。
「ともかく、薬を塗るから」
シェイルは暫く、ローフィスに抱きつき…やっと頷いて、ローフィスが伏せてた寝台へと、顔を向ける。
ローフィスは背に触れて促し、そして寝台に上るシェイルの横に立って…。
けれどシェイルの、華奢な手首の枷で付けられた赤い痣や…ガウンの胸元に覗く、嬲られて赤い乳首。
そして…細く長い、綺麗な足…。
全てが…グーデンと四年護衛らの、野獣のような欲望に晒され、好きに嬲られたのだと、痛々しく物語っていて…。
ローフィスは薬つぼを手にしたまま、震った。
俯き、振り向き、開いた扉の、続き部屋に居るヤッケルへと、振り向く。
ヤッケルはフィンスに話しかけ…。
が、視線に直ぐ気づくと、振り向く。
「悪いが…」
ローフィスが、薬つぼを差し出し、ヤッケルは直ぐ、駆けつける。
ローランデとフィンスは顔を見合わせ…ローランデが腑に落ちないように、側に居たディングレーに尋ねた。
「どうして…ローフィス殿はご自身で、なさらないんです?
シェイルが心から望んでるのは、ローフィス殿なのに…?」
けれどデルアンダーもテスアッソンも、ディングレーもローフィスの内心が推察出来た。
自分の大切な大切な相手が、あんな酷い辱めを受けたら…!!!
正気でなんて、いられない。
身が震える程の激しい憤りと、救えなかった自分への責めと。
それで…間違いなく、平常心を無くす。
が、オーガスタスだけが、朗らかに微笑む。
「グーデンを殴ってたら、ローフィスももう少しマシだが。
こいつがグーデン殴るのを体当たりして止めるし。
俺が肩に担いで部屋から連れ出したから。
ローフィスは怒りが収まって無くて、シェイルに乱暴に薬を塗りそうで、ヤッケルに譲った」
デルアンダーもテスアッソンも、それを聞いてほっとし。
ディングレー、だけが
「何か?!
俺に止めた責任取って、グーデンの代わりにローフィスに、殴られろと?」
オーガスタスはすっとぼけて言う。
「そこまでは言ってない。
まあ暗に
“そうだったらローフィスの気も収まる”
…とは仄めかしたが」
ヤッケルが薬を塗りながらとうとう吹き出し、笑って揺れる手で、シェイルに薬を塗った。
けれどシェイルは凄く恥ずかしそうに、俯き…ヤッケルが叫んでる。
「…だからどこが一番、変な薬塗られたのかと、聞いただけだぜ?
…あ。そこか。
うつ伏せになれ」
そこで隣室のオーガスタスを除く男らは、扉が開いたままの寝台に横たわるシェイルから、一斉に頬を赤らめて顔を背けた。
「だって…指…で塗る…の?」
か細い、シェイルの問う声。
が、ヤッケルは怒鳴る。
「だから何だ!!!
俺は五人の弟のおしめを変え続け、汚れた尻も山程拭いたぞ?
熱が出た時、座薬だって塗った!!!
ケツの穴ぐらいで、恥ずかしがるな!!!
変な反応出る方が、後々困るだろう?
どっちがマシだ?!
今一時耐えるか!!!
延々と薬の影響に苦しむか!!!」
シェイルがとうとう、うつ伏せに寝て、お尻をヤッケルに向けた。
ヤッケルは勢いづいて怒鳴る。
「よし!!!」
隣室の男らが、ため息を吐く。
けれど皆内心、一斉にヤッケルを見直した。
「(…外見は軟弱で小柄だが…)」
「(…逞しい…。心が)」
ローランデだけが
「ヤッケルで恥ずかしいんなら、私が。
良く領地の農家を回って、病人を看たし…」
と、声をかける。
が、シェイルは申し出て戸口に姿を見せる、気品溢れるローランデに振り向き…。
彼の高貴さに、お尻の穴に指…を入れられることを、想像した・だけで滅茶苦茶恥ずかしがり、りんごより赤く頬を染めてるのを、ヤッケルは見て…。
小声でつぶやく。
「いや俺の方が…マシみたい…」
ローランデも、あまりに分かりやすいシェイルの反応を見て、頬染めて俯く。
「…そんな…様子だね………」
ディングレーがこっそり、フィンスに尋ねる。
「…ローランデって、天然ボケ?」
フィンスも困って言った。
「多分育ちが、良すぎるんだと思います」
そして、改めてディングレーを見る。
「失礼。
貴方もでしたね…」
ディングレーは俯いたまま、頷く。
「…ローフィスに出会って無く、庶民の感覚を教えて貰ってなかったら。
確かに、そうかもな」
ローランデはそれを聞いて振り向き
「私は良く農民と話したし、庶民の感覚は、分かってますよ?」
と(本人としては気安く)微笑んで言った。
けれどまるで分かってない常人離れした気品を醸し出す貴公子、ローランデを見て。
男達は一斉に、顔を下げてため息を吐き出した。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる