若き騎士達の危険な日常

あーす。

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介抱されるシェイル

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 シェイルが風呂から戻ってくると、室内の皆が振り向く。

赤い唇。
濡れた銀の髪。
心細そうな…今では望まぬ艶をまとった類い希なる美少年の、打ちひしがれた姿は…室内の男達の心を直撃し、皆が揃って痛々しさを直視出来ず俯く中、ローフィスだけが手を差し伸べる。

シェイルは泣き顔で、差し出された手では無く。
ローフィスの胸に飛び込む。

全員が…顔を上げてそれを見た。
ローフィスは抱き返すものの、苦しげな表情。

無言でシェイルに囁く。
「ともかく、薬を塗るから」

シェイルは暫く、ローフィスに抱きつき…やっと頷いて、ローフィスが伏せてた寝台へと、顔を向ける。

ローフィスは背に触れて促し、そして寝台に上るシェイルの横に立って…。

けれどシェイルの、華奢な手首の枷で付けられた赤い痣や…ガウンの胸元に覗く、嬲られて赤い乳首。
そして…細く長い、綺麗な足…。

全てが…グーデンと四年護衛らの、野獣のような欲望に晒され、好きに嬲られたのだと、痛々しく物語っていて…。

ローフィスは薬つぼを手にしたまま、震った。

俯き、振り向き、開いた扉の、続き部屋に居るヤッケルへと、振り向く。

ヤッケルはフィンスに話しかけ…。
が、視線に直ぐ気づくと、振り向く。

「悪いが…」

ローフィスが、薬つぼを差し出し、ヤッケルは直ぐ、駆けつける。

ローランデとフィンスは顔を見合わせ…ローランデが腑に落ちないように、側に居たディングレーに尋ねた。

「どうして…ローフィス殿はご自身で、なさらないんです?
シェイルが心から望んでるのは、ローフィス殿なのに…?」

けれどデルアンダーもテスアッソンも、ディングレーもローフィスの内心が推察出来た。

自分の大切な大切な相手が、あんな酷い辱めを受けたら…!!!
正気でなんて、いられない。

身が震える程の激しい憤りと、救えなかった自分への責めと。
それで…間違いなく、平常心を無くす。

が、オーガスタスだけが、朗らかに微笑む。
「グーデンを殴ってたら、ローフィスももう少しマシだが。
こいつディングレーがグーデン殴るのを体当たりして止めるし。
俺が肩に担いで部屋から連れ出したから。
ローフィスは怒りが収まって無くて、シェイルに乱暴に薬を塗りそうで、ヤッケルに譲った」

デルアンダーもテスアッソンも、それを聞いてほっとし。
ディングレー、だけが
「何か?!
俺に止めた責任取って、グーデンの代わりにローフィスに、殴られろと?」

オーガスタスはすっとぼけて言う。
「そこまでは言ってない。
まあ暗に
“そうだったらローフィスの気も収まる”
…とは仄めかしたが」

ヤッケルが薬を塗りながらとうとう吹き出し、笑って揺れる手で、シェイルに薬を塗った。

けれどシェイルは凄く恥ずかしそうに、俯き…ヤッケルが叫んでる。
「…だからどこが一番、変な薬塗られたのかと、聞いただけだぜ?
…あ。そこか。
うつ伏せになれ」

そこで隣室のオーガスタスを除く男らは、扉が開いたままの寝台に横たわるシェイルから、一斉に頬を赤らめて顔を背けた。

「だって…指…で塗る…の?」
か細い、シェイルの問う声。
が、ヤッケルは怒鳴る。
「だから何だ!!!
俺は五人の弟のおしめを変え続け、汚れた尻も山程拭いたぞ?
熱が出た時、座薬だって塗った!!!
ケツの穴ぐらいで、恥ずかしがるな!!!
変な反応出る方が、後々困るだろう?
どっちがマシだ?!
今一時耐えるか!!!
延々と薬の影響に苦しむか!!!」

シェイルがとうとう、うつ伏せに寝て、お尻をヤッケルに向けた。
ヤッケルは勢いづいて怒鳴る。
「よし!!!」

隣室の男らが、ため息を吐く。
けれど皆内心、一斉にヤッケルを見直した。
「(…外見は軟弱で小柄だが…)」
「(…逞しい…。心が)」

ローランデだけが
「ヤッケルで恥ずかしいんなら、私が。
良く領地の農家を回って、病人を看たし…」
と、声をかける。

が、シェイルは申し出て戸口に姿を見せる、気品溢れるローランデに振り向き…。
彼の高貴さに、お尻の穴に指…を入れられることを、想像した・だけで滅茶苦茶恥ずかしがり、りんごより赤く頬を染めてるのを、ヤッケルは見て…。
小声でつぶやく。
「いや俺の方が…マシみたい…」

ローランデも、あまりに分かりやすいシェイルの反応を見て、頬染めて俯く。
「…そんな…様子だね………」

ディングレーがこっそり、フィンスに尋ねる。
「…ローランデって、天然ボケ?」

フィンスも困って言った。
「多分育ちが、良すぎるんだと思います」

そして、改めてディングレーを見る。
「失礼。
貴方もでしたね…」

ディングレーは俯いたまま、頷く。
「…ローフィスに出会って無く、庶民の感覚を教えて貰ってなかったら。
確かに、そうかもな」

ローランデはそれを聞いて振り向き
「私は良く農民と話したし、庶民の感覚は、分かってますよ?」
と(本人としては気安く)微笑んで言った。

けれどまるで分かってない常人離れした気品を醸し出す貴公子、ローランデを見て。

男達は一斉に、顔を下げてため息を吐き出した。


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