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第二章
不穏の始まり
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「うーんどれが似合うでしょうか…… 」
ソフィアはとある装飾品店でそこに並ぶ煌びやかな商品を眺め呻いていた。
沢山の装飾品のある中でソフィアが眺めていたのはロザリオが並べられたガラスケースだ。
何故ロザリオかと言うとソフィアは旅の途中ライルが女神に祈りをしているところを見た事がないのだ。女神アルテスに選ばれた勇者の一人であるライルは熱心な信徒であるはずなのに。
先程も聞いた時には自ら不良信徒だと言ってしまう始末だ。
そしてソフィアが辿り着いた結論は余りに単純だ。
つまりロザリオを持って無いのだ。
だからこそソフィアはまたライルが祈ることが出来るようにライルに似合うロザリオを探しているのだ。
ソフィアは数あるロザリオを眺めていると店員に声をかけられた。
優しい目をした若い男性。
「なにかお探しですか? 」
その男性があれこれ呟きながらロザリオを探すソフィアに声をかける。
「あ、ええと一緒に旅をしている人にロザリオをプレゼントしたくて似合う物を探しているのですがなかなか見つからなくて… 」
すると店員は別の棚をごそごそと漁り始め一つのロザリオを取り出す。
「であれば此方などはどうでしょう? 」
ソフィアはそのロザリオを見て驚く。
キラキラと光を反射する銀で出来た本体は顔を写すくらい綺麗で十字の真ん中には赤色の宝石が埋め込まれている。まるで何処かの貴族が身に付けていそうなくらい美しくそれでいて全体的に派手過ぎずライルが付けるならとても似合いそうだ。
ソフィアは直ぐに値段を聞くと店員は笑顔で答える。
「はい、本来なら銀貨十五枚ですが少し安くして銀貨十枚でどうでしょう 」
店員の言葉にソフィアは内心喜ぶ。
銀貨十枚なら剣闘で稼いだお金から引いてもお釣りがきて旅の準備に当てられるからだ。
「ではそれをください 」
ソフィアは革袋を覗き込み銀貨十枚を店のガラスで出来たカウンターに置くと店員は笑顔で言う。
「ありがとうございます 」
店員はカウンターに出された銀貨を手に取るとソフィアは店員の指から少し血が出てる事に気づく。
「あの、指から血が出てますよ 」
「あ、本当ですね。さっき棚を漁ってた時に切ったのでしょか…… 」
するとソフィアは店員に言う。
「すいません、少し傷を見せて下さい 」
「いいえ、大丈夫ですよこのくらい 」
しかしソフィアは少し強引に店員の手を取ると傷口に自分の人差し指を重ねる。
すると傷がみるみる消えていく。
店員はこの現象に
「これは…… 」
と声を漏らす。
傷が完全になくなるとソフィアは笑顔で
「これで大丈夫です。それでは 」
と言い店員に背を向け店を出る。
店員の男はその背を見つめながら慌てて服の中に隠してあり首から下げている紫色の宝石が埋め込まれたペンダントを出すとそのペンダントに向かい何やら喋り掛ける。
「司祭様、司祭様、遂に見つけました。女神の加護を持った女を 」
するとペンダントから中年位の男の声が返ってくる。
『ほう、その女はどんな特徴だ 』
「はい、金髪で首からロザリオを下げ腰に剣を吊っている十七、十八位の女です 」
『わかった、ご苦労だった。今すぐ異端審問官を向かわせる 』
「はっ、我らに女神の御意志があらん事を 」
こうして後にソフィア達を苦しめる逃亡生活が始まる事をソフィアはまだ知らなかった—————。
ソフィアはとある装飾品店でそこに並ぶ煌びやかな商品を眺め呻いていた。
沢山の装飾品のある中でソフィアが眺めていたのはロザリオが並べられたガラスケースだ。
何故ロザリオかと言うとソフィアは旅の途中ライルが女神に祈りをしているところを見た事がないのだ。女神アルテスに選ばれた勇者の一人であるライルは熱心な信徒であるはずなのに。
先程も聞いた時には自ら不良信徒だと言ってしまう始末だ。
そしてソフィアが辿り着いた結論は余りに単純だ。
つまりロザリオを持って無いのだ。
だからこそソフィアはまたライルが祈ることが出来るようにライルに似合うロザリオを探しているのだ。
ソフィアは数あるロザリオを眺めていると店員に声をかけられた。
優しい目をした若い男性。
「なにかお探しですか? 」
その男性があれこれ呟きながらロザリオを探すソフィアに声をかける。
「あ、ええと一緒に旅をしている人にロザリオをプレゼントしたくて似合う物を探しているのですがなかなか見つからなくて… 」
すると店員は別の棚をごそごそと漁り始め一つのロザリオを取り出す。
「であれば此方などはどうでしょう? 」
ソフィアはそのロザリオを見て驚く。
キラキラと光を反射する銀で出来た本体は顔を写すくらい綺麗で十字の真ん中には赤色の宝石が埋め込まれている。まるで何処かの貴族が身に付けていそうなくらい美しくそれでいて全体的に派手過ぎずライルが付けるならとても似合いそうだ。
ソフィアは直ぐに値段を聞くと店員は笑顔で答える。
「はい、本来なら銀貨十五枚ですが少し安くして銀貨十枚でどうでしょう 」
店員の言葉にソフィアは内心喜ぶ。
銀貨十枚なら剣闘で稼いだお金から引いてもお釣りがきて旅の準備に当てられるからだ。
「ではそれをください 」
ソフィアは革袋を覗き込み銀貨十枚を店のガラスで出来たカウンターに置くと店員は笑顔で言う。
「ありがとうございます 」
店員はカウンターに出された銀貨を手に取るとソフィアは店員の指から少し血が出てる事に気づく。
「あの、指から血が出てますよ 」
「あ、本当ですね。さっき棚を漁ってた時に切ったのでしょか…… 」
するとソフィアは店員に言う。
「すいません、少し傷を見せて下さい 」
「いいえ、大丈夫ですよこのくらい 」
しかしソフィアは少し強引に店員の手を取ると傷口に自分の人差し指を重ねる。
すると傷がみるみる消えていく。
店員はこの現象に
「これは…… 」
と声を漏らす。
傷が完全になくなるとソフィアは笑顔で
「これで大丈夫です。それでは 」
と言い店員に背を向け店を出る。
店員の男はその背を見つめながら慌てて服の中に隠してあり首から下げている紫色の宝石が埋め込まれたペンダントを出すとそのペンダントに向かい何やら喋り掛ける。
「司祭様、司祭様、遂に見つけました。女神の加護を持った女を 」
するとペンダントから中年位の男の声が返ってくる。
『ほう、その女はどんな特徴だ 』
「はい、金髪で首からロザリオを下げ腰に剣を吊っている十七、十八位の女です 」
『わかった、ご苦労だった。今すぐ異端審問官を向かわせる 』
「はっ、我らに女神の御意志があらん事を 」
こうして後にソフィア達を苦しめる逃亡生活が始まる事をソフィアはまだ知らなかった—————。
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