【不定期更新】ラッキースケベに憧れて 〜明るく楽しい異世界生活〜

香月ミツほ

文字の大きさ
65 / 66
記憶喪失……?

2-28 ようやく帰国

毎日イチャイチャしながらの帰路はグバシュルヌ帝国からユピピア公国を経由してキアトリル王国へ入るルートだった。

そう、オレたちがいた国はグバシュルヌ帝国という大きな国の南岸。

ユピピア公国の温泉地に新婚旅行に行き、そこから海に面した景勝地を観光していたらやたらとでっかい猪に追いかけられた。最高に格好良くベイセルが猪を狩ってオレを守ってくれたけど、その大猪の重みで崖が崩れ、海に落ちて2人とも流された、って嘘みたいだよな。

運命のイタズラってこんな感じ?

お祈りで記憶が戻るんだもんね。魔法もあるし、そういうこともあるよね。

異世界だもんね!!



*******



「ベイセル殿、タカラ様、ご無沙汰しております」
「トルスティ殿下、ご健勝で何よりです」
「もう殿下ではありませんよ」

ユピピア公国の第二公子だったトルスティ殿下は子供のいなかった辺境伯の養子になり、キアトリル王国第二王女ヴィルヘルミーナ殿下と結婚して共にユピピアの辺境で暮らしている。新婚さんだ。

「久しぶりじゃな。いつまででも居るがよい」

お転婆なヴィルヘルミーナ王女……、いや結婚したんだから王女じゃなくて辺境伯夫人? いやまだトルスティ殿……、様は辺境伯じゃないから……、ってややこしい!! どっちも様でいいや。

とにかくそのヴィルヘルミーナ様は毎日遠乗りに出かけ、中々の頻度で獲物を取ってくるという。愛猫フェレスにひっかかれ、美少女でありながら鼻を真っ赤に腫らしていたお姫様は16歳になり、キリッとした美しさを垣間見せている。鼻の傷は跡形もない。

ついでに人妻の色気もまったく無い。活発なスポーツ少女って感じだ。

逗留を勧めてくれたけどなるべく早く帰るため1泊だけだと言えば少し不満げ。ええと……。

「次に来るときは天馬を連れて来ますね」
「そうかっ!! 妾もまた会いたいと思うておったのじゃ。楽しみじゃのう」

のじゃロリ姫はこの辺境の広い草原が気に入ってとても幸せだそうです。政略結婚だけどトルスティでん……、トルスティ様もいい子だもんね。

晩餐は羊の丸焼きや青菜の炒め物、肉まんというかおやきのようなものが出てモンゴル風? よく分からないけど美味しかった!!

辺境伯は城砦で見送ってくれて、跡取りの新婚さん達、つまりはトルスティ様とヴィルヘルミーナ様が護衛と共に国境まで送ってくれた。

トルスティ様も乗馬がお上手で、ヴィルヘルミーナ様と微笑みをかわしながら道中とても楽しそうにしていた。政略結婚だけど気が合う2人は互いの国をより良い関係にしてくれている。ほのぼのするなぁ。

獲物を見つけるとヴィルヘルミーナ様がすっ飛んで行っちゃって、慌てて護衛が追いかけるのをにこにこ見送るトルスティ様の包容力。

良き!

そんな自由な行程を経て国境の台地に着いた。
ここは国境と言っても1つの町みたいになっていて屋台が並び、それぞれの国の商人達が自国の物を売っている。

ここに迎えが来るらしい。





ヒヒーン!

ん?
聞いたことがあるような馬のいななきが聞こえた。いや、馬の声が聞き分けられるか自信ないけど、なんとなく聞いたことがあるような気がする。

うぅむ。

と、考えていたら真珠色に輝く馬が走ってきた。

十六夜いざよい!!」

オレの馬、天馬の十六夜だ。
希少な野生の馬だけど好奇心が強く、宴会芸で釣れちゃった天馬。十六夜は置いていかれて寂しかったようでオレの服を噛んで引っ張り、乗るようにせがむ。

え? 1人……、じゃなくて1頭で来たの?

周りにいる国境警備兵達や商売人達、客やら旅人やらが目をまんまるにしてこちらを見ている。伝説の天馬! 大人気だね!!

いや、誰も乗ってないから戸惑っているのか。

「引っ張らなくても乗るよ! よしよし、オレのことちゃんと覚えていてくれていい子だね」
「ブルルルルッ」

額をくっつけあって挨拶をして、顔を撫でながら話しかけると当たり前だと言わんばかりのドヤ顔。
馬ってドヤ顔するんだ。

そして十六夜を撫でていると向こうからやってきた人達が馬から降りてベイセルに向かって礼をし、口を開いた。

「師団長閣下におかれましては、長の旅路を充分に満喫できましたようで羨ましい限りですな」
「セーデルブラード副師団長。いや、まだまだ足りないが不慮の事故に際しての対応、感謝する」

かなりの期間離れ離れだったから夫婦の旅を満喫したとは言い難いかな。でも改めて出会ってもう1度恋に落ちたのは幸せだけどね~!

で、国境までベイセルを迎えにきたのは副師団長さんだった。堅苦しい言い回しは嫌味なのかな? ただ揶揄ってるだけか。

「ふむ、今後10年は休まず働けますな」
「ダメー!!」

紺の髪をオールバックにした茶色の瞳の細マッチョなイケオジ副師団長がニヤニヤしながらオレの旦那様の身体(?)を狙っている! ベイセルを独占してこき使おうったってそうはいかないんだからね!!

オレがそんな考えのもと、鼻息荒くイケオジを睨みつけると、予想外の言葉が返ってきた。

「ふ、ふふふ、タカラ殿には師団長の身の回りの世話をしていただきたい。馬にも乗れるようになったし、適任でしょう?」
「あれ? それだとロニーはどうなるの?」
「これからはビョルクの補佐候補として学んでもらうことになりました」
「んん?」

ビョルクさん、ってセーデルブラード副師団長の補佐だっけ? あ、すぐそこにいたわ。

深緑の短髪にアースカラーの瞳で調剤師のマルタさんの弟だ。美丈夫って感じだけど無口で、割とよく気配を消してる。

で、副師団長補佐のビョルクさんの補佐候補、ってことは補佐の補佐の候補? ロニーって天才とか言われてたのにこんなに下っ端感溢れる立場になるのか。

とか思ってたら。

「私が引退してビョルクが副師団長になるんですよ」
「えぇっ!?」
「なんでそんな話になってるんだ?」

あ、ベイセルも知らなかったの?

「もういい歳ですからな。平和なうちに後進に譲るべきでしょう」
「一理あるが……」
「なに、しばらくは領都でおとなしくしているから、何かあれば連絡してくれればいい」
「確かにビョルクも既に充分経験を積んだし、構わんか」

頭をガシガシかきつつ考え込むベイセル。セーデルブラードさんは気安く重要な話をするけど、こんな場所で……?

「師団長閣下が遊んでいらっしゃるから、副師団長殿も遊びたくなるのですよ」

相変わらずロニーは厳しい。

「遊んでいたわけじゃあ……」
「遊びじゃないぞ」

ロニーが口を挟むと、ベイセルだけじゃなく副師団長さんも反論した。

「師団長閣下を羨んで若い子を囲って楽隠居しようなんて、遊び以外のなんだと言うんですか。遊びじゃなくて本気だなんて言いませんよね」
「むぅ……」

そんな理由!?
そりゃまあ、お金もあるだろうし、体力もありそうだし、正に悠々自適だな。羨ましい!! 相手はどんな人なんだろう?

「ねぇねぇ、副師団長さんのお相手ってどんな人?」
「ふふふ、今度紹介しましょう」

何やら含みのある言い方だけど、オレの知り合い?

はっ!?
まさか使用人のセルヴォ?

いやセルヴォはノンケだったわ。
そもそも副師団長さんの相手が男だと限らないし、女の人なら……、調剤士のマルタさんかも知れない。

……マルタさんはもう結婚したんだっけ? いや、婚約? あと部下の姉だと気まずいかも知れない。

知り合いが少ないから他に思いつかない。紹介してもらうのを待つしかないか。

ちなみに台地は細長くて、ユピピア公国領、市場、キアトリル王国領、と3分割されている。細長いと言っても真ん中の大通りを挟んで屋台が並び、その後ろには宿や家、工房が並んでいて幅はかなりある。

冬には全て撤収して街がなくなるため、宿や家は仮設住宅だったりテントだったりする。そうまでしてここで商売するの、すごい。

ちなみに今いるのはユピピア領の市場側。厩舎や馬車を置く場所で広場のようにもなっている。

あ、ヴィルヘルミーナ様が十六夜に見惚れている。会いたがってたもんね。

感想 5

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って? いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

【完結】異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!