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6.街を歩けば暴(漢)に当たる
読み書きの授業は週2回なので、次回は買い物のついでに送ってもらって1人で帰る予定だ。今日は帰り方を教わる。
「ここを出たら右に行くと辻馬車が停まっています。この神殿と同じ紋章のついた馬車なら貴族街に入れます」
「料金は?」
「家に着いたら迎えに出た者が払いますので、気にしないでください」
なんだか申し訳ないけど、今のところ文無しなので、甘えておこう。貴族街への出入りは許可された辻馬車しか入れないし、乗るにはベイセルの家「フェルンストレーム」の紋章の入ったペンダントを見せないとならないらしいからしかたない。
オレの分のペンダントは今作らせてるって。
何から何まで、本当に申し訳ない!!
盗まれて悪用されたら困るから、無くさないようにしないと。
辻馬車に乗る場所は分かったので、少しだけ街を案内してもらう。セルヴォにお仕事大丈夫?って聞いたらオレの案内も仕事だって。
新入りのお世話は1番楽で楽しい仕事だと言われて、オレは肩の力を抜いた。
街の真ん中にはまぁるい広場があり、屋台で賑わっている。主な環状道路は外壁沿いの道を含めて3本あり、1番内側の環状道路沿いに神殿はある。広場の次の道路だ。
ここは商店街なので、屋台ではなく固定の店が並んでいる。でも異世界の屋台メシに憧れがあるので昼食は広場に行って食べた。食事処はまた今度。
異世界と言えば串焼き肉!
そんなことないな、世界共通だな。手軽だからな。
セルヴォと1本ずつ食べながら他の屋台も見て回り、ドネルケバブそっくりの品を売る屋台を見つけた。
喜んで注文すると、かなり照り焼きに近い味でとても美味しかった。サービスでお茶も出してくれた。
「美味い!」
「良かったです」
「次のとき、1人で来ても良い?」
「旦那様の許可が出れば構いませんが、ナンパに気をつけてください」
「やった! 知らない人にはついていかないから、大丈夫!」
子供じゃないんだし!
なんて軽く考えていたら、どこからか叫び声が聞こえた。
「いやですっ! 離して!!」
姿は見えないけど、比較的近くで聞こえる声。
どうしようかとセルヴォに目で訴えると、小声で警備隊を呼びましょう、と言われた。
場所を確認しないことには、と声を頼りに路地を覗いて被害者と目が合ってしまった。
「助けて!!」
「ちっ! 誰だ……、ってなんだどこかのボンボンか。お前も遊んで欲しいのか?」
「楽しくなさそうだなぁ……」
「楽しくないです! 助けてください!!」
えぇ……、いや助けたいよ?
でもオレただのアナニストだし、薬の効き目が良くなる程度で……、あっ!!
「水気を集めて……えいっ!」
「げほっ! ぐっ、がはっ!!」
「風の渦!!」
「ぐわっ!!」
「こっちへ!」
セルヴォの先導で被害者を連れて逃げる。
見回りの警備隊隊員を見つけて助けを求めよう。
「大丈夫ですか?」
「は、はい、ありがとうございました」
被害者はストロベリーブロンドの可愛らしい女の子。スカートが走りにくそうだったけど、意外と足が早かった。
見回りの警備隊員を見つけ、保護してもらう。警備隊員の制服は遊牧民風で分かりやすい。平民の服は簡素な無地のシャツにズボンにベスト。女の人はスカートで、ストールを肩に羽織っている人もいる。靴は革靴かな?
貴族は服にたくさんの装飾がついている。裕福な商人の服にも装飾があるけど、シャツだけは普通の平民と同じだそうだ。
「先ほどの男は知り合いですか?」
「いいえ、声をかけられて断ったのにしつこくされただけです」
「そうですか。ですが悪質なのでその男の特徴を教えてください。他にも被害者がいるなら対策をとらなくては」
警備隊員は優しく丁寧に対応してくれて、女の子を送っていった。
セルヴォはオレが何をしたのかに興味深々。
「水滴を鼻の中に作ったんだよ。息を吸ったら咽せるように。で、その後は風の渦で砂を舞い上げて目潰し。地味だけど効果的だったろ?」
「なるほど、それは魔力が少なくてもできそうですね」
オレ喧嘩なんかできないから、驚かして逃げるしかない、って思ったんだよね。それにしてもあの子の足が速くて助かったな。
走り回ったので最初に教えられたのとは違う辻馬車乗り場に連れて行ってもらい、乗る馬車を理解しているか確認された。
屋根の縁が金色で、ドアに円と光の紋章が入った馬車。
「正解です。それでは帰りましょう」
だいぶ日が傾いているので、3時は回っているだろう。おやつタイムなんてないらしいけど。
家に帰るとすることがない、と思ったら執事のヴァルターがミニ黒板とチョークと、手書きの文字表をくれた。
「神殿へは通うのは良いことですが、時間があったらこれで文字の練習をしても良いでしょう」
「ありがとうございます!!」
やっぱり紙は貴重なのかな?
お手本の紙も厚いし初めての手触りだし……? ってこれ、羊皮紙!? 初めて見た。
オレは部屋で勉強した。
けど、やっぱりすぐ飽きた。
「ヒマだ……」
綺麗に整えられた庭に出て、何かないかと探査魔法を展開してみた。
お? 何かある。
でも人様の庭を勝手に掘り返すわけにはいかないので、諦めて地表をサーチ! 地表のものなら落とし物かも知れないから、拾えるもんね。
地表をさざ波が覆うイメージ!
すると波が何かにぶつかって跳ね返ってくる。何だろうと見にいくと、生垣の中に小さな花の形のブローチが落ちていた。
普通に歩くところじゃないのに、なんでこんなところにブローチ?
不思議に思いながら持ち帰ると、メイド頭のカマリエラが驚いていた。
「これは坊っちゃまから頂いたブローチです!ずっと探していたのですが、どこにあったんです?」
「あっちの生垣の中だよ」
「あぁ、ラーべの巣があったところだわ」
ラーべとは、黒くて、光の角度で瑠璃色に光る羽根を持つ鳥で、キラキラしたものを集める習性があるらしい。カラスか。
「あぁ、あの巣も調べたのになくて諦めていたけど、巣から落ちてたんだねぇ。タカラ様、ありがとうございます」
「たまたまだよ。でも良かったね」
ベイセルがまだ子供のころにプレゼントした物だと聞いてほっこりした。
そして地面に限らず探査魔法として使えないかと部屋でも試したけど、これといって違和感を感じないから何も見つからなかった。
どういう基準で反応しているんだろう?
この日、ベイセルは帰って来なかった。
*******
翌日、朝食後に研究所から迎えが来ると知らされ、用意されていた服を着て迎えを待った。
今日のはチャイナ服っぽいけどズボンがあるからアオザイかな?いや、アオザイは上着の丈が長いはずだからやっぱりチャイナ服?
筒型の袖のシャツを着て、その上に袖のないチュニック丈で前合わせの……、これってちゃんちゃんこ? いや違うか。よさこいの衣装! ……は色々だったな。とにかくそんな感じのを着て帯を締める。ズボンはゆったりとしていて、少し動きにくそうだ。
それにしても上質なのが手触りで分かる。
汚したらどうしよう、なんて緊張しながら迎えの馬車に乗り込んだ。
「タカラ! 迎えに行けなくてすまん」
「ベイセルは忙しいんでしょう? 平気だよ」
家までは迎えに来られなかったけど、馬車から降りるところには来てくれた。
「今日は研究所へ行った後に治療院に行ってもらう。研究員は変わり者が多いから、何かあったら言ってくれ」
「ありがとう」
ベイセルって優しいなぁ。
研究棟まで案内してもらって、所長を紹介された。意外と若い! 20代半ばかな?
「初めまして、僕はエルンスト。身分とか役職とか、どうでもいいので省くね。協力してくれてありがとう」
「タカラ・カンバと言います。何も分からないので、ついでに色々教えてください。よろしくお願いします」
まだ何も協力してないけど、返事はしておく。
エルンストの髪は伸ばしっぱなしらしく、腰まである。適当に結んでるけど、青い髪とかファンタジー!
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「料金は?」
「家に着いたら迎えに出た者が払いますので、気にしないでください」
なんだか申し訳ないけど、今のところ文無しなので、甘えておこう。貴族街への出入りは許可された辻馬車しか入れないし、乗るにはベイセルの家「フェルンストレーム」の紋章の入ったペンダントを見せないとならないらしいからしかたない。
オレの分のペンダントは今作らせてるって。
何から何まで、本当に申し訳ない!!
盗まれて悪用されたら困るから、無くさないようにしないと。
辻馬車に乗る場所は分かったので、少しだけ街を案内してもらう。セルヴォにお仕事大丈夫?って聞いたらオレの案内も仕事だって。
新入りのお世話は1番楽で楽しい仕事だと言われて、オレは肩の力を抜いた。
街の真ん中にはまぁるい広場があり、屋台で賑わっている。主な環状道路は外壁沿いの道を含めて3本あり、1番内側の環状道路沿いに神殿はある。広場の次の道路だ。
ここは商店街なので、屋台ではなく固定の店が並んでいる。でも異世界の屋台メシに憧れがあるので昼食は広場に行って食べた。食事処はまた今度。
異世界と言えば串焼き肉!
そんなことないな、世界共通だな。手軽だからな。
セルヴォと1本ずつ食べながら他の屋台も見て回り、ドネルケバブそっくりの品を売る屋台を見つけた。
喜んで注文すると、かなり照り焼きに近い味でとても美味しかった。サービスでお茶も出してくれた。
「美味い!」
「良かったです」
「次のとき、1人で来ても良い?」
「旦那様の許可が出れば構いませんが、ナンパに気をつけてください」
「やった! 知らない人にはついていかないから、大丈夫!」
子供じゃないんだし!
なんて軽く考えていたら、どこからか叫び声が聞こえた。
「いやですっ! 離して!!」
姿は見えないけど、比較的近くで聞こえる声。
どうしようかとセルヴォに目で訴えると、小声で警備隊を呼びましょう、と言われた。
場所を確認しないことには、と声を頼りに路地を覗いて被害者と目が合ってしまった。
「助けて!!」
「ちっ! 誰だ……、ってなんだどこかのボンボンか。お前も遊んで欲しいのか?」
「楽しくなさそうだなぁ……」
「楽しくないです! 助けてください!!」
えぇ……、いや助けたいよ?
でもオレただのアナニストだし、薬の効き目が良くなる程度で……、あっ!!
「水気を集めて……えいっ!」
「げほっ! ぐっ、がはっ!!」
「風の渦!!」
「ぐわっ!!」
「こっちへ!」
セルヴォの先導で被害者を連れて逃げる。
見回りの警備隊隊員を見つけて助けを求めよう。
「大丈夫ですか?」
「は、はい、ありがとうございました」
被害者はストロベリーブロンドの可愛らしい女の子。スカートが走りにくそうだったけど、意外と足が早かった。
見回りの警備隊員を見つけ、保護してもらう。警備隊員の制服は遊牧民風で分かりやすい。平民の服は簡素な無地のシャツにズボンにベスト。女の人はスカートで、ストールを肩に羽織っている人もいる。靴は革靴かな?
貴族は服にたくさんの装飾がついている。裕福な商人の服にも装飾があるけど、シャツだけは普通の平民と同じだそうだ。
「先ほどの男は知り合いですか?」
「いいえ、声をかけられて断ったのにしつこくされただけです」
「そうですか。ですが悪質なのでその男の特徴を教えてください。他にも被害者がいるなら対策をとらなくては」
警備隊員は優しく丁寧に対応してくれて、女の子を送っていった。
セルヴォはオレが何をしたのかに興味深々。
「水滴を鼻の中に作ったんだよ。息を吸ったら咽せるように。で、その後は風の渦で砂を舞い上げて目潰し。地味だけど効果的だったろ?」
「なるほど、それは魔力が少なくてもできそうですね」
オレ喧嘩なんかできないから、驚かして逃げるしかない、って思ったんだよね。それにしてもあの子の足が速くて助かったな。
走り回ったので最初に教えられたのとは違う辻馬車乗り場に連れて行ってもらい、乗る馬車を理解しているか確認された。
屋根の縁が金色で、ドアに円と光の紋章が入った馬車。
「正解です。それでは帰りましょう」
だいぶ日が傾いているので、3時は回っているだろう。おやつタイムなんてないらしいけど。
家に帰るとすることがない、と思ったら執事のヴァルターがミニ黒板とチョークと、手書きの文字表をくれた。
「神殿へは通うのは良いことですが、時間があったらこれで文字の練習をしても良いでしょう」
「ありがとうございます!!」
やっぱり紙は貴重なのかな?
お手本の紙も厚いし初めての手触りだし……? ってこれ、羊皮紙!? 初めて見た。
オレは部屋で勉強した。
けど、やっぱりすぐ飽きた。
「ヒマだ……」
綺麗に整えられた庭に出て、何かないかと探査魔法を展開してみた。
お? 何かある。
でも人様の庭を勝手に掘り返すわけにはいかないので、諦めて地表をサーチ! 地表のものなら落とし物かも知れないから、拾えるもんね。
地表をさざ波が覆うイメージ!
すると波が何かにぶつかって跳ね返ってくる。何だろうと見にいくと、生垣の中に小さな花の形のブローチが落ちていた。
普通に歩くところじゃないのに、なんでこんなところにブローチ?
不思議に思いながら持ち帰ると、メイド頭のカマリエラが驚いていた。
「これは坊っちゃまから頂いたブローチです!ずっと探していたのですが、どこにあったんです?」
「あっちの生垣の中だよ」
「あぁ、ラーべの巣があったところだわ」
ラーべとは、黒くて、光の角度で瑠璃色に光る羽根を持つ鳥で、キラキラしたものを集める習性があるらしい。カラスか。
「あぁ、あの巣も調べたのになくて諦めていたけど、巣から落ちてたんだねぇ。タカラ様、ありがとうございます」
「たまたまだよ。でも良かったね」
ベイセルがまだ子供のころにプレゼントした物だと聞いてほっこりした。
そして地面に限らず探査魔法として使えないかと部屋でも試したけど、これといって違和感を感じないから何も見つからなかった。
どういう基準で反応しているんだろう?
この日、ベイセルは帰って来なかった。
*******
翌日、朝食後に研究所から迎えが来ると知らされ、用意されていた服を着て迎えを待った。
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筒型の袖のシャツを着て、その上に袖のないチュニック丈で前合わせの……、これってちゃんちゃんこ? いや違うか。よさこいの衣装! ……は色々だったな。とにかくそんな感じのを着て帯を締める。ズボンはゆったりとしていて、少し動きにくそうだ。
それにしても上質なのが手触りで分かる。
汚したらどうしよう、なんて緊張しながら迎えの馬車に乗り込んだ。
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「ベイセルは忙しいんでしょう? 平気だよ」
家までは迎えに来られなかったけど、馬車から降りるところには来てくれた。
「今日は研究所へ行った後に治療院に行ってもらう。研究員は変わり者が多いから、何かあったら言ってくれ」
「ありがとう」
ベイセルって優しいなぁ。
研究棟まで案内してもらって、所長を紹介された。意外と若い! 20代半ばかな?
「初めまして、僕はエルンスト。身分とか役職とか、どうでもいいので省くね。協力してくれてありがとう」
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