【不定期更新】ラッキースケベに憧れて 〜明るく楽しい異世界生活〜

香月ミツほ

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21.ユピピア入国

「タカラはそんなに湯浴みが好きなのですか?」

殿下が不思議そうに聞く。
不思議かなぁ?

「私の故郷では毎日入るのが普通だったのです」
「温泉地なのですか」
「はい」

日本は全国どこでも1km 掘れば温泉は出るらしいので、温泉地と言っても過言ではない! いや、地元に温泉が出たのはほんの数年前だけど。

「ではここを使ってください」
「えっ!?」
「僕の湯浴みの世話をして、そのまま入ればいいでしょう?」

いいのだろうか。
側付きの人は無表情だけど否定はしていないので許容範囲なのかも知れない。

「よ、よろしくお願いします!」




ベイセルに伝えたらニヤニヤされたけど、食事をして着替えを持って殿下の部屋へ行った。

年配の侍女さんから浴衣みたいな湯浴み着を渡され、洗う手順を教えてもらう。そして脱衣所で着替えて待機。やってきた殿下の服を脱がせると14歳ながらすでに割れた腹筋が眩しかった。

やましい気持ちはないよ!
鑑賞する喜びは感じるけどね。

「それでは殿下、お湯をおかけします」

ザバザバと使える訳でもないので湯船から掬った湯をゆっくりと頭にかけ、泡立てた石鹸で髪を洗う。泡立ちはそれほど良くないものの、柑橘系のいい香りがする。ウェーブのかかった金髪は細くて絡まりやすいので爪を立てないよう気をつけながら丁寧に洗った。

優しく流して顔も洗い、身体は麻の手拭いで洗う。調子に乗って隅々まで洗ったら少し不満げだった。

「そんなところまで洗わなくていいです」
「ですがここは蒸れます。痒くなりませんか?」
「そ……、それは……」
「私も蒸れますから、恥ずかしがることはないでしょう」
「そう……、ですね」

座りっぱなしだとソコが蒸れるよね。

少しふっくらしてたから恥ずかしかっただろうけど、男同士だからヘーキヘーキ!!

「私が出た後ではお湯が冷めてしまいます。浸かっている間に身体を洗って入れ替わりに入りますか?」

湯船に浸かる殿下から嬉しい提案が。

「よろしいのですか?」
「身体を拭くのは侍女を呼びますから、そうしてください」
「ありがとうございます!!」

オレはウッキウキで濡れた湯浴み着を脱ぎ、殿下に一言断って湯船から湯を手桶で掬って髪と身体を洗った。

「……タカラは貴族ですか?」
「いいえ。なぜです?」
「平民は肌を晒すのをためらうと聞いていたので」
「なるほど。ですが私の故郷では同性同士なら肌を晒すことを気にしないのですよ」
「……おおらかなのですね」
「それもありますが、同性は欲望の対象にならないので警戒しないのです」

オレには天国だったけどね!!

「……上がります」
「はい」

湯船で立ち上がったトルスティ殿下は、なぜか完勃ちで、日本人の平均より少し大きいくらいだった。将来有望!

「あ、簡単に拭きましょう」

そう言ってタオル地ではないけど他に言いようがないのでバスタオルと呼んでいる大きな布を持ってきて、浴室から出てすぐのところに立ってもらい、殿下の髪と身体を拭いた。

「ありがとう」

お礼を言ってくれる殿下を笑顔で見送り、壁際に置いてある鉄鍋から焼け石を取り出して湯船に沈め、温度を上げた。

気持ちいいーーーー!!!!



*******



「若い身体はどうだった?」
「そりゃあもう、ぴっちぴちのすべすべだったよ」
「ほう?」
「ちゃんと鍛えてるみたいだし、将来が楽しみだよね」
「技術はどうだ?」
「技術?」
「閨事の」
「はぁっ!?」

ベイセルはオレが誘われたのはそれが目的だと思っていたらしい。純粋な殿下に対してなんてこと考えるんだよ!!

「湯浴みのお世話しただけだよ。丁寧に洗ったから勃ったみたいだけど、全然そんな感じじゃなかった!」
「ふぅん。タカラの能力は貴重だから身体で堕としにきたのかと思ったんだが……」
「護衛がやるならともかく、殿下が身体を張るところじゃないでしょう?」
「気に入れば人任せにはしたくないだろ」

それはそうかも知れないけど。
あんな真面目な子捕まえて!
邪推すんな!!

「まったくお前はお人好しだな」
「それじゃ殿下が腹黒みたいじゃないか」
「王侯貴族なんざみんなそうだろう?」
「え……」

そう、なのかな?
気のいい王様だと思った。姫様も気が強いけど素直な子で、第二王子も気さくだった。トルスティ公子殿下だってオレなんかにずっと敬語だし、優しいし、穏やかだし……。

あれがみんな嘘……?

「エルンストも? ……ベイセルも?」
「私は平民上がりの武人だからな。腹芸は苦手だ」

そんなはずはない、と言いたいけどこの世界どころか日本でだって本音と建前があったんだ。あんまり能天気に信じちゃいけないのかな。



*******



それから3日。
森から飛び出してきた猪に1度、野盗にもう1度襲われた程度で国境に1番近い街に到着した。

途中の宿にはやっぱりお風呂がなかった。
殿下とは仲良し。
馬車はお尻が痛いだろうと身構えてたけど高級馬車には板バネサスペンションが普及していてそれほどでもなかった。

知識チートが使えない!

……板バネの知識もないけど。



「明日からは登り坂が続く。そして登りきったところに公子殿下の迎えが来ているからそこまで頼む」
「うん。でも木があると分かりにくいみたいなんだよね」
「お前1人に責任を押し付けたりしないから大丈夫だ」
「ありがと」

壁は平気なのに木はダメ、って違いは生きてるかどうか、かな。

まばらに木々が点在する平地を抜け、国境の台地を目指す。そこは急峻な山に挟まれた唯一の通り道で、なだらかな登り坂の上に細長く横たわる。冬は強風が吹き荒れて人が暮らすには不向きなため、何もない。

何もないって言ってたのに!?

大地には色とりどりのテントがたくさん張られていた。

「国境ですからね。ここには市が立つんです」
「市! 見られますか?」
「護衛に相談しましょう」

異世界の市!
というか市なんて観光地の朝市しか行ったことがない。食べ物以外にどんなものが売ってるんだろう?



まずは台地の真ん中で辺境伯と合流。
立派な天幕が2つ、張ってあった。
1つはキアトリルの、1つはユピピアの。
風が強くなる冬には撤去するけど、他の季節はこうやって共同でこの場所を管理するらしい。

キアトリルを代表してベイセルが挨拶をした。辺境伯は老齢と言ってもいい年齢に見えるけど、精悍な物腰から衰えは感じさせない。辺境の鷹とか言われていそう。

それなのに公子殿下に対する目が優しくてキュンとした。イケオジならぬイケジジ? 



*******



許可が降り、ベイセルを含む5人の護衛に守られながら夕日に照らされた市場を2人(?)で歩く。台地は細長いのでキアトリル側はユピピアの、ユピピア側にはキアトリルの店が並んでいた。

「売りたい相手に少しでも近く店を出してるんだね」
「そのようですね。あぁ、これは我が国の特産品です。質はまずまずですね」
「見ただけで分かるの?」

乾燥した薬草の質って、匂い嗅がなくても分かるの?

「あの薬草は茎から葉を取らずに逆さにして干します。こちらは茎だけにしてあって、そちらの根は時間をかけて乾燥させないと薬効が失われるのです。色もいいですね」
「へー!! いいお店なんですね」

護衛を引き連れたオレたちの来店に店主は目を白黒させていたけど、仕事ぶりを褒められて徐々に笑顔になった。

「ありがとうございます。これらはうちの家族総出で採取と処理をしております。褒めていただけてより一層励めます」

欲しいものはあるかと殿下に聞かれ、少し考えて疲労回復薬が欲しいと答えたら真っ赤になってしまった。純情だなぁ。閨教育とかどうなってるんだろう?

店主の勧めで滋養強壮効果のある粉末と疲労回復茶を買った。お茶にこの粉末を入れて飲むといいらしい。

「初めから入れないのは何故ですか?」
「匂いと味に少しクセがありましてね」

好みが分かれる匂いなのか。
試してみてよく効くなら追加で買って帰ろう。
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