【不定期更新】ラッキースケベに憧れて 〜明るく楽しい異世界生活〜

香月ミツほ

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記憶喪失……?

2-16 再会!!

出航した船では相変わらずすることがない。
お客さんだし、この船は客船じゃないし、仕方ない。しかも今回は順調で釣り大会もない。

1人で釣りしてもいいけと、どうせ外道ばかりだろうと思うとやる気が出ない。

そうだ、魔法の練習をしよう!!
ざっくり教わった魔法の使い方は体の中を巡る魔力を意識しながら、水なら空気中の水分を集めるし、火なら温度をコントロールして着火するという。まずは水かな。

木製のコップの上部に水分子が渦を巻いて集まるよう念じる。体内の魔力が関係あるなら魔力で分子を引き寄せる……? いや、動かすだけ?

「あれ? 前より少ない……?」

コップに半分くらいの水が入ってる。少し舐めてみたらうっすらしょっぱい。空気も塩っぽいもんね。前はもっとたっぷり水ができたはずなのに、考えすぎたのかな。

次は風。
風……、空気の流れ、空気の渦、気圧……。伝声管にならいかな?

《ハリー、見晴らしいいね》
《はっ!? タカラ!? おまっ、危ないって……、あれ? いない?》
《下だよー》

見張り台のあるマストの近く、甲板の上から声をお届け♡ 魔法もイタズラも大成功! 両手を振るオレを見下ろすハリーが見える。ここからでは顔は見えないけど、きっとポカンとしていることだろう。ふふふ……。

動いている人にもついていけるのか、甲板掃除をしているアダンに向けて空気の筒を作る。お、鼻歌が聞こえる!!

物陰に入ると聞こえなくなったけど、見えている範囲なら問題なさそうだ。糸電話に近いな。

土と火は試せそうもないので今日はここまで。

今回の航海は順調に進み、3日で中継の島に着いた。ラッキーにもここですぐ積荷があり、翌日の出発が決まった。海獣の皮と巨大魚の素材、それから宝石貝の貝殻。生きながら殻が宝石化するんだって。宝浜で見つけたオパール化した貝殻は化石じゃなかったのか!!

重りとして金属を取り込んだ貝もあって見た目はほぼアンモライト。これが見た目の割に重い。運べないこともないけど運ぶための人手が欲しいと船長がこぼしてたら救世主が現れた。ガチムチな被雇用希望者だ。

赤髪短髪イケオジの!

「ウィシェールだ。雇ってくれないか?」

ウィシェールさんんんんっ!!

「使えそうには見えるが揉め事はごめんだぞ?」
「家をおんだされてな。短期雇用でここまで来たがそっちの船長が腰を痛めてしばらくここで休んでいくことになっちまった。船長を慕う他の奴らは近場の仕事をするってんでオレはそれを遠慮したんだ」

船長と交渉するイケオジ♡
それにしても家を追い出された、ってあの美人な奥さんに?

「あのっ! 奥さんに追い出された、の?」
「タカラ、こいつ知ってんのか?」

知ってるってほどじゃないけど、前に会った時のことを説明した。それからウィシェールさんの話を聞く。

ウィシェールさんは浜に打ち上げれていたところをあの美人の祖父母に助けられ、力仕事で恩返しをしつつ世話になっていた。美人には迫られてたけど結婚はしていない。そして何やら怒らせて追い出された、と。

チャンス到来!!

旦那様も気になるけど絵に描いた餅より目の前のご馳走!! 色々間違ってるのは今、脳内に花が咲き乱れてるせいだな、うん。

とりあえず次の港までの雇用が決まった。

重たいアンモライトもどきが詰まった木箱を軽々と担ぎ、揺れる船の上でも危なげなく運ぶ。船員たちの指示の元、委託品と販売用に仕入れた品、飲み水の交換と新鮮な食料の運び込み。貴重な真珠は少ないので船長が自ら運んだ。

ここでもまた、半舷上陸で休むらしい。
ウィシェールさんの歓迎会と称した簡単な飲み会をするらしいので、嬉々として参加した。

「タカラよぉ、お前欲望に忠実だな?」
「そそそ、そんなことナイヨー」

ちゃんとみんなにお酌してるよ?
ハリーのお姉さんのお店で聞いたから、お酌することが夜のお誘いになるって知ってるもん。誘ってると勘違いしないなら、と念を押してからやってる。日本の田舎育ちのオレはグラスが空いてるのにお酌しないのは座りが悪いのだ。

ご近所さんたちの寄り合いで仕込まれたからね! 親戚の集まりでも酔わせて機嫌とってお年玉の増額してもらってたからね。

「……夜の誘いじゃないのが残念だ」
「え……?」

ウィシェールさんの呟きに胸が高鳴る。
欲望を称えた眼差しは薄暗い店内でもぎらついて見える。胸がきゅうっとなって、目が潤んで……、やばい、オレ、完全に欲情してる……。

「おい、こいつは良いとこの男嫁なんだ。迎えが来た時に揉めたら困る」
「そう、なのか。……それは残念だ」

船長が余計な口を挟むからウィシェールさんの眼差しから熱が引く。いや、奥で燻っているとは思う。たぶん。

船員が潰れ始めたので飲み会はお開きになり、上陸組は宿へと向かった。ウィシェールさんは昨日まで泊まっていた宿にもう一泊するらしい。オレもそっちにお邪魔したかった!!



「……そうだ、船長。オレが身につけていたもの、本当にあれだけ? 指輪とかなかった?」

うっすらとだけど左手の薬指に指輪のあとがあった。海に流された時にどこかへ行ってしまったのかも知れないけど、それなりの期間つけていたんだと思う。じー。

「……あった。だが模様だけで名前は書いてなかったから万が一を考えて見せなかったんだ」
「模様?」
「船に戻ったら渡す」

バツが悪そうにも見える船長だったけど、オレは気にすることなく着いて行った。



*******



ここの宿では個室が取れず、2人部屋と4人部屋だった。当たり前のように船長とオレ、残りの4人と分かれて泊まる。

ヌ、ヌけない……!

ウィシェールさんの熱い視線に晒されて身体が燻ってしまったというのに、この現状。こんなことなら船で眠れば良かったなぁ。でも今から行くわけにはいかないし。

「ねぇ船長、今夜はどこかの女の人のところに行かないの?」
「分かりやすいヤツだな! だがこの島にはそういう店は無ぇし、個人の客引きなんて面倒だ。まぁ、シャワーを俺の後に使うなら時間かけてもいいぞ? ただし、島では水が貴重だ。シャワーを使いすぎると止まる」
「えーっ!?」

高級宿でもそうなのか。
とは言え小さな島だからそれほどの高級宿ではない。シャワーが少なくても仕方ないか。

案の定、途中でシャワーが止まってしまったけどタンクの中に魔法で水を作り、振動させて温めた。オレ、使える!!

そしてそんなことをしていたらヌかなくても落ち着いた。

スヤァ……。



*******



ウィシェールさん!
朝からカッコいいなぁ。

宿の美味しい朝食を食べて港へ行くと、ウィシェールさんが待っていた。朝日に煌めく赤毛、浮き上がる腕の筋肉、優しげな微笑み。ご馳走様ですぅぅぅっ!!

「早いな」
「しばらく漁師をしていたからな。夜明け前に目が覚めるんだ」
「ふん。そのうち夜番もさせるからな」
「任せてくれ」

船に乗り込みながら船長と会話するウィシェールさんは、よろけるオレをさりげなく支えてくれる。イケメン過ぎる。好き!!

下っ端のハリーにも丁寧に対応し、進んで雑用を請け負うイケオジ。高いところも平気で見張り台にもスルスルと登っていく。釣りをすればそれなりの大物を釣り、他の人の手伝いもする。でも料理や裁縫はできないようでちょっとかわいい。

あー! もうっ!!

なんで旦那様がウィシェールさんじゃないんだよー!!

なんだか船長は邪魔をするし、ウィシェールさんは真面目みたいで手を出してくれないし。もう、早いとこ相手を見つけ出して離婚してやる!!

でもベイセル……。

名前しか知らないのに会いたくてたまらなくなるんだよねぇ。妄想の中ではすでにウィシェールさんがベイセルになってるし。同じ見た目のウィシェールさんとベイセルに取り合いをされるオレ。同じ身体つきのウィシェールさんベイセルに抱きしめられるオレ。同じ顔のウィシェールさんとベイセルで3ピ……、っておかしいだろう!!

アホな妄想と戦っているうちに船は目的の港に着いた。

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