ほんのちょっと言語チート、くっださーいな!

香月ミツほ

文字の大きさ
113 / 134
おお!っと王都で驚いた

プレ・コスプレ

しおりを挟む
いつかシーヴァティにも来て欲しい、と言われて頷いたけど船で1ヶ月か……。遠いなぁ。

「遠いよな。だから行く前に癒してくれ」
「エーギンハルトさん?」

突然、家を訪ねて来たエーギンハルトさんから聞けば、リーシュの体調不良による帰国延期を知らせに護衛が1人帰国してしまったので、欠員を埋めるために護衛を依頼をされたそうだ。ついでに向こうの人と戦ってくるって。やっぱりジャマダハルとかチャクラムとかタルワールとかあるのかな? 物語やゲームでしか知らないけど。

「エ、エーギンハルト!? ……さん?」
「呼び捨てで構わない。えっと……?」
「はじめまして、英雄にお目にかかれて光栄です。ぼくはチサトさんの息子のベビーシッターをしているマインラートと申します」
「なかなかかわいいな」
「え……? そんな……」

いきなり来て人んちのベビーシッターを口説かないで欲しい。マインラートくんは成人してるし、恋愛は自由なんだけど……。

恋愛かなぁ?

「おっちぃ!」
「うわぁ、つよそう!」
「かっこいいでしゅね! どなたでしゅか?」

水遊びに夢中になっていた子供達がエーギンハルトさんに気がついた。あはは、群がってる。

「お前らもかわいく育てよー」
「ボクはかっこよくなるんです!」
「ヨハンはかわいくなる!」
「はーと、かーい!」

子供達と遊ぶため、パンツ一丁になって水に入るエーギンハルトさんは背が高くてガッチリしてるけどしなやかな筋肉がついていて彫像のようだ。

あぁっ!
マインラートくんの目がハートになってる!

ひとしきり遊んでおやつタイムになった。
小さなサイズのフルーツ入り焼きタルトとナッツをキャラメルで包んだ一口サイズのフロランタンが山盛り。

「美味いな!」
「「「おいしー!」」」
「美味しいです」
「美味しいね」

口々に美味しいと告げれば給仕係の人が嬉しそうに笑った。





「それでだ。これを着てくれ」
「何ですか?」
「チサトの母が着ていた服を作らせた」

母の服……?
嫌な予感しかしない。

「まぁ見てみろって」

子供達が昼寝をしたので客間に通すと嬉々として服を取り出した。

……服、じゃなかった。

それ水着。
しかもビキニ!

「着ると思いますか?」
「……ダメか。まぁ予想通りだ」

予想通りなのに作らせたの?

「これなら良いだろう」
「嫌です」
「なぜだ!?」

ギャル風のミニスカ型のセーラー服。
着たくない!!

「これならどうだ!」

レザーのホットパンツ。

「あのですね、そもそも母とおれは服の好みが違うんです!」

衣装なんだから好き好んで着ていたのか分からないけど、そう言っておこう。

「これ、誰が着たって喜ぶんでしょう? 恋人とか取り巻きの人とかは?」
「う……、そりゃぁまぁ……。好みのやつ選んでるし、かわいくて俺のために着てくれれば満足しちまうだろうが一応チサトに掛け合いたかったんだ。あと取り巻きには断られた」

誰かの代わりをさせられる、って敏感に察知したのかな?

「……あっ! あの!! ぼくじゃダメですか?」
「「えっ!?」」

これくらいなら、とホットパンツを選んでるけどエーギンハルトさん、たぶん全部着せたがるよ? ……良いのか。仕事が終わってからは個人の自由だし、エーギンハルトさんは悪い人じゃないから問題ないと思うんだけど。

「マインラートくんを泣かせないでくださいね?」

とりあえず釘を刺しておいたけど、合意じゃぁ邪魔もできない。
マインラートくんが幸せになれますように!!




「エーギンハルトが来たのか」

夜、帰ったフィールに今日あったことを話すと警戒心を露わにした。エッチっぽい服を用意して来た事、ちゃんと断った事、マインラートくんと仲良くなった事を話すと少し雰囲気が和らいだ。

「あとこれなら普通に着られるだろう、って」

お土産に置いて行った服を広げてみると白いブラウスとピンクのミニスカート、胸を強調するようなエプロン?だった。これ、ゲームでよく見るファミレスの制服……?

「せっかくだ、着て見せてくれ」
「なんで!?」
「好意を無下にしてはいけないだろう」

フィールが懐柔された!
……う、でもそんなに期待に満ちた目で見られたら……

なんだか恥ずかしくて先にシャワーを浴びて、フィールがシャワーを浴びている間に着替える。ミニのタイトスカートって動きづらくない? エプロンが広がってて可愛いけどおれが着て似合うのかなぁ?

ガチャ

ごくり

「フィール……?」

振り返るとバスローブ姿のフィールが固まっていた。喉を鳴らす音が聞こえたけど気のせいじゃないよね?

「あのね、これ……」
「脚が……    むき出しに……」
「えっ? わっ! な、なんで下着脱がすの!?」
「いいな……」

ミニのタイトスカートなのにノーパンって!!
パンツ履いててもすーすーするのに恥ずかしすぎる!!

「やだやだ! 恥ずかしいからやだぁ!」

パンツを取り戻そうと手を伸ばすけど身長差がだいぶあるから届かない。良いように翻弄されていつの間にかベッドの上にうつ伏せになっていた。

腰を高く上げた状態で。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

白銀の城の俺と僕

片海 鏡
BL
絶海の孤島。水の医神エンディリアムを祀る医療神殿ルエンカーナ。島全体が白銀の建物の集合体《神殿》によって形作られ、彼らの高度かつ不可思議な医療技術による治療を願う者達が日々海を渡ってやって来る。白銀の髪と紺色の目を持って生まれた子供は聖徒として神殿に召し上げられる。オメガの青年エンティーは不遇を受けながらも懸命に神殿で働いていた。ある出来事をきっかけに島を統治する皇族のαの青年シャングアと共に日々を過ごし始める。 *独自の設定ありのオメガバースです。恋愛ありきのエンティーとシャングアの成長物語です。下の話(セクハラ的なもの)は話しますが、性行為の様なものは一切ありません。マイペースな更新です。*

公爵家の五男坊はあきらめない

三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。 生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。 冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。 負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。 「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」 都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。 知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。 生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。 あきらめたら待つのは死のみ。

処理中です...