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愛だけで生きていけると思うなよ
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心身ともに負荷が癒えぬ間に。俺はアイローチェ様に呼び出され、またしてもお茶会という名の詰問会に参加させられている。
「なかなかハードだった様ですわね」
「アディ兄様があそこまでやられてる姿初めて見ましたわ」
今回俺を挟むのは、アイローチェ様とレニフェル様。
アーデルハイド殿下は接待期間中に溜まった公務に忙殺されているらしい。お疲れ様です。
レニフェル様が言った「アディ兄様」とはアーデルハイド殿下の事だ。アイローチェ様の事も「アイ姉様」と呼んでいたし、親しい間柄で愛称呼びは珍しい事でもないので掘り下げることもない。俺の名前もそうだけど、カタカナの名前長いんだよ。
レニフェル様の愛称呼びは気分で変わるそうなので、アイローチェ様も基本スルーしているそうだ。
いちいち引っかかってたら終わらないもんな。わかるよ。
「まあ、色々とありましたね」
主にレニフェル様のせいですが。
「わたくしたちはメロメ国の王族と接触しないよう告げられていたので、ファルム様にお任せする形になってしまいましたね」
確かにいないな。とは思っていたけど、そんな通達されていたのか。
「面白そうなことがあったはずなのに、見損ないましたわ」
そこ。残念そうに言わない。
「……実際大変だったので、顔を合わせなくて正解です」
学園もそうだったけど、街歩きも大変だったもの。ライオルノ王子が女の子に目移りしまくって。
ライオルノ王子の「あの子可愛い」に少年も含まれていたのかと思うとちょっと冷たい汗が背中を伝う。もう少しストライクゾーンを狭くしてほしい。
アイローチェ様は完全に口説きの対象でしょうから、顔を合わせると(アーデルハイド殿下とライオルノ王子で)揉める予感しかしない。
レニフェル様では意気投合しちゃった時が恐ろしい。ルーベンス殿下とロメオロス王子の前例が出来ちゃったから、アーデルハイド殿下にとっては恐ろしいの一言だったろう。
アーデルハイド殿下はその身をもってアイローチェ様と自身の精神を護ったんですよ。後ででいいので褒めてあげて下さいね。
「メディもぐったりしてましたわ」
いつ見に行ったんです?
「しばらくは休ませてあげましょうね」
俺にも休みを下さいね。
「そうだファルム君、学生派閥に「書庫の精霊を守る会」が追加されたのは知ってる?」
久々の登校。魔研で溜め込まれた「やって欲しいことリスト」を消化中の俺に、ルキスラ教授がそう話しかけた。
初耳です。
「えっと、それは、イニフィリノリス様の事で間違い、ないですよね?」
その異名、ちょっと前に聞いた気がする。
「そうそう。男子学生と愛書家が奮起してね、そこそこ大きく育ってきてるらしいよ」
奮起しちゃったか…そして健やかにお育ちなさってるんですね。
「非公認ですよね?」
「存在も知らないと思うよ?」
でしょうね。
ちなみにイニフィリノリス王女様は昨日から魔研の書庫にお篭もりなさっておいでです。
今までの遅れと兄君たちの相手でえぐれた精神を取り戻すかの様に黙々と文字を追いかけている。
休憩時と帰る時間には声を掛けるので、それまでは静かにお過ごし下さい。
「周囲に害がないなら放置でいいと思います」
愛書家の集いならそう荒事は起きないでしょう。
「そうだね。「メロディアス兄弟を愛でる会」と「ラキアラス王族を信奉する会」と軽く小競り合いしてるけど、害は無いもんね」
待って何それ?たった今「荒事は起きないでしょう」って思ったばかりですけど?フラグ回収早すぎィ!
「小競り合いしてる時点で害なのでは?」
学業しなさいよ学生。そして王族の派閥とタメを張るメロディアス兄弟の会…なんなの?
「あ、今は「レニフェル様をわっしょいする会」だったかな?」
意味がわからないよ?
「大丈夫だよ。学生の小競り合いなんて軽いものだもの」
ルキスラ教授曰く「教授が絡まなければ基本被害」だそうだ。「基本」が付くのか…
そして教授が絡む可能性があるのか…
「あ、ファルム君がどこかの派閥に混ざるなら事前に教えてね。そこに賭けるから」
学生闘争を賭け事にしないで。
「一人で全派閥潰したい気分ですね」
「冬にオッズが出るから、その後にしてくれる?今年は研究費アップ狙えそうだなぁー」
そんな気分になっただけで、しませんからね?
オッズ発表とか学園公認なの?もしかしてそれで研究費決まるの?それは厳しい!
「大人の嫌な遊び…」
「あ、正規の研究費はちゃんと学園から出てるからね?これは自由参加枠だから」
でも公認でしょ?と問うと「公認というより目溢しだね」と返ってきた。
それもどうかと思います。
「規模が大きくなりすぎると規制が入るから、ギリギリのラインに調整するのが大変らしいよ?」
その「調整」に教授陣が加わるんですね?
「入った事ある教授は体重が激減すると聞いてるね。魔研はその辺ノータッチだけど、マグナ君は一昨年ゴリっとやつれてたなぁ」
ゴルラフ教授、学生闘争の仲裁までするとかお疲れが過ぎます!
「数年に一度、暴発する学生が出て強制解散させられるけど、観るだけなら楽しいよ?」
完全傍観ならそれは楽しいイベントでしょうね。
「そうそう。去年は「メロディアス兄弟を見守る会」が圧勝したよ」
「は?嘘ですよね?」
何でそんな事になったの?「王族の会」しっかりしろよ!
「ラスフェルム君入ったら勝つでしょ」
何やってんだ兄上ー!
「聖女騒動の裏で何てことしてんの…」
「ラスフェルム君参戦はギリギリまで知られてなかったから、最終オッズが荒れに荒れたんだよね。面白かったなぁー」
また見たい、って顔するの止めてもらっていいですか?
参戦しませんからね?
「なかなかハードだった様ですわね」
「アディ兄様があそこまでやられてる姿初めて見ましたわ」
今回俺を挟むのは、アイローチェ様とレニフェル様。
アーデルハイド殿下は接待期間中に溜まった公務に忙殺されているらしい。お疲れ様です。
レニフェル様が言った「アディ兄様」とはアーデルハイド殿下の事だ。アイローチェ様の事も「アイ姉様」と呼んでいたし、親しい間柄で愛称呼びは珍しい事でもないので掘り下げることもない。俺の名前もそうだけど、カタカナの名前長いんだよ。
レニフェル様の愛称呼びは気分で変わるそうなので、アイローチェ様も基本スルーしているそうだ。
いちいち引っかかってたら終わらないもんな。わかるよ。
「まあ、色々とありましたね」
主にレニフェル様のせいですが。
「わたくしたちはメロメ国の王族と接触しないよう告げられていたので、ファルム様にお任せする形になってしまいましたね」
確かにいないな。とは思っていたけど、そんな通達されていたのか。
「面白そうなことがあったはずなのに、見損ないましたわ」
そこ。残念そうに言わない。
「……実際大変だったので、顔を合わせなくて正解です」
学園もそうだったけど、街歩きも大変だったもの。ライオルノ王子が女の子に目移りしまくって。
ライオルノ王子の「あの子可愛い」に少年も含まれていたのかと思うとちょっと冷たい汗が背中を伝う。もう少しストライクゾーンを狭くしてほしい。
アイローチェ様は完全に口説きの対象でしょうから、顔を合わせると(アーデルハイド殿下とライオルノ王子で)揉める予感しかしない。
レニフェル様では意気投合しちゃった時が恐ろしい。ルーベンス殿下とロメオロス王子の前例が出来ちゃったから、アーデルハイド殿下にとっては恐ろしいの一言だったろう。
アーデルハイド殿下はその身をもってアイローチェ様と自身の精神を護ったんですよ。後ででいいので褒めてあげて下さいね。
「メディもぐったりしてましたわ」
いつ見に行ったんです?
「しばらくは休ませてあげましょうね」
俺にも休みを下さいね。
「そうだファルム君、学生派閥に「書庫の精霊を守る会」が追加されたのは知ってる?」
久々の登校。魔研で溜め込まれた「やって欲しいことリスト」を消化中の俺に、ルキスラ教授がそう話しかけた。
初耳です。
「えっと、それは、イニフィリノリス様の事で間違い、ないですよね?」
その異名、ちょっと前に聞いた気がする。
「そうそう。男子学生と愛書家が奮起してね、そこそこ大きく育ってきてるらしいよ」
奮起しちゃったか…そして健やかにお育ちなさってるんですね。
「非公認ですよね?」
「存在も知らないと思うよ?」
でしょうね。
ちなみにイニフィリノリス王女様は昨日から魔研の書庫にお篭もりなさっておいでです。
今までの遅れと兄君たちの相手でえぐれた精神を取り戻すかの様に黙々と文字を追いかけている。
休憩時と帰る時間には声を掛けるので、それまでは静かにお過ごし下さい。
「周囲に害がないなら放置でいいと思います」
愛書家の集いならそう荒事は起きないでしょう。
「そうだね。「メロディアス兄弟を愛でる会」と「ラキアラス王族を信奉する会」と軽く小競り合いしてるけど、害は無いもんね」
待って何それ?たった今「荒事は起きないでしょう」って思ったばかりですけど?フラグ回収早すぎィ!
「小競り合いしてる時点で害なのでは?」
学業しなさいよ学生。そして王族の派閥とタメを張るメロディアス兄弟の会…なんなの?
「あ、今は「レニフェル様をわっしょいする会」だったかな?」
意味がわからないよ?
「大丈夫だよ。学生の小競り合いなんて軽いものだもの」
ルキスラ教授曰く「教授が絡まなければ基本被害」だそうだ。「基本」が付くのか…
そして教授が絡む可能性があるのか…
「あ、ファルム君がどこかの派閥に混ざるなら事前に教えてね。そこに賭けるから」
学生闘争を賭け事にしないで。
「一人で全派閥潰したい気分ですね」
「冬にオッズが出るから、その後にしてくれる?今年は研究費アップ狙えそうだなぁー」
そんな気分になっただけで、しませんからね?
オッズ発表とか学園公認なの?もしかしてそれで研究費決まるの?それは厳しい!
「大人の嫌な遊び…」
「あ、正規の研究費はちゃんと学園から出てるからね?これは自由参加枠だから」
でも公認でしょ?と問うと「公認というより目溢しだね」と返ってきた。
それもどうかと思います。
「規模が大きくなりすぎると規制が入るから、ギリギリのラインに調整するのが大変らしいよ?」
その「調整」に教授陣が加わるんですね?
「入った事ある教授は体重が激減すると聞いてるね。魔研はその辺ノータッチだけど、マグナ君は一昨年ゴリっとやつれてたなぁ」
ゴルラフ教授、学生闘争の仲裁までするとかお疲れが過ぎます!
「数年に一度、暴発する学生が出て強制解散させられるけど、観るだけなら楽しいよ?」
完全傍観ならそれは楽しいイベントでしょうね。
「そうそう。去年は「メロディアス兄弟を見守る会」が圧勝したよ」
「は?嘘ですよね?」
何でそんな事になったの?「王族の会」しっかりしろよ!
「ラスフェルム君入ったら勝つでしょ」
何やってんだ兄上ー!
「聖女騒動の裏で何てことしてんの…」
「ラスフェルム君参戦はギリギリまで知られてなかったから、最終オッズが荒れに荒れたんだよね。面白かったなぁー」
また見たい、って顔するの止めてもらっていいですか?
参戦しませんからね?
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