この状況には、訳がある

兎田りん

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星の子と遊ぼう

星の子とエンカウント 2

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 レミール様の話は続く。
「うん。あいつ清々しい程にクズ発言しやがったから、ボッコボコにしてあげた」
 そうか、ボッコボコかぁ…マジかぁ…
 最初の「言い負かす」って拳も入るのかぁ…
 この美人がゴリッゴリに武闘派…俺はアリだな。いや今はそうじゃない。
「その最中に周りが「不敬だ!」とか武器をチラつかせてきたから、まとめてなぎ倒した」
 うん、それもフルボッコの中に入るやつですね…
 武器をチラつかせる周りって、貴族の護衛とかホールの警備の方々ですよね?腕に覚えありの武人集団をなぎ倒すとかレベチすぎでしょ?
「最終的に軍まで動こうとしたから、そりゃあ星を一発メテオかましちゃうよね」
 あ、そうか。ヤナラクどこで知ったか思い出せた。新聞だ。
 一面トップ記事『神の怒り?星の雨で城が消える』の真相はこれかぁ…
 記事では城と主要貴族の屋敷が更地になったとか書かれてたな。そうか。会場は城だったか。ということは王族の近衛が動いた可能性があるな。…そうかぁ…なぎ倒したんだァ…
 しかしぶちかましの理由が酷い。これは公開出来ない情報ですね。本人がにこやかにバラしてるけど。

「メテオかまして人的被害ゼロっていうのには驚きましたが…」
 ピンポイントに会場と嫌いな奴の家だけを破壊するとか…出来るのが凄い。魔力操作神レベル…ああ、この方も神だったな。
「うん。僕は神じゃないけど、命をとる程じゃないからね。街には関係ない民もいるし。」
「一国の城を吹っ飛ばした御方のセリフではないですよね」
 神様じゃないの?いや、ラキアータ様この世界の創世神が接待を求める相手よ?常人じゃないことは確実でしょうよ。
「建物なんてまた建てたらいいんだよ。名ばかりのお貴族様をちょっと焦がしたからって大したことじゃないし。国の宝である民は無事なんだから問題ないでしょ?」
 ありすぎでは?

「うん。まあ、そんなこんなで国を出たついでに姿を戻してさ。暫くはのんびり諸国漫遊しようかな、なんて思ってた訳さ」
「姿を戻す」
 つまり今のお姿はやらかした時とは違うという事ですね?
「そうだね。以前の姿はもうちょっと大人しかったよ」
 こんな感じ。と、姿を変えて見せてくれた。え、これもかなり美人なんだけど。この美人放置して他の女に走るとか馬と鹿に両サイドから蹴られたらいいと思う。
「ありがとう。もいでおくべきだったかな?」
 そんな軽々しくヒュッとする事言わないで下さい。あと、そのお姿でもぎもぎする手つきは俺が縮むからお控え下さい。
「そうだ。姿をかえられるなら、そのオーラしまえます?」
 ダメ元で聞いてみたら「いいよー」って軽いお返事。
 シュ。と一瞬でレミール様は普通のイケメンになった。うん。これで恐れ多さがかなり薄くなったね。
 で、それどうやってやるんですか?
「これはそんなに難しいことじゃないよ。魔力操作と気配遮断ができたら忍者に近づける」
 なにそれもっと詳しくお願いします。

「フリーになったついでに、ラキアータ神に挨拶しに行ったら「マジで?」みたいな反応された」
「ラキアータ様知らなかったんですか?」
「前に「そのうち行く」って話はした事あったね」
 それ、行く気ない時の返事では…?
「まあ、僕も色んな世界を渡り歩いて来てるからさ。行先、自分で選べない時もあるし。何時行けるか判らないからそう言うしかないよね」
 選べる時もあるんだ。うん、でもまあ、そんな不確定なものだったらそう言うしかない、かなぁ?
「君は呼ばれたんでしょ?面白いもんね」
 ん?
「……面白…い…?」
 どういうことだってばよ。
「何時だったか…誰かに話したんだよね。「箱庭に招くなら、面白い子がいいよ」って」
 神様会議とかあるんですか?
「会議で広まったのかは知らないよ?出た事ないし、あるかどうかも判らない。波風起こしたいのがたまに他所から拾い上げて放り込む、って聞いたから。ほら、観察するなら見てて楽しい子が居た方がいいじゃない?」
 箱庭ゲームも単調過ぎると飽きるものね。終わりのないローグライクにも多少の波風イベントは必要だ。気持ちは解る。ただ、巻き込んで欲しくはない。
「それから時々「貴方様のおかげで(箱庭観察が)捗ります」とか初見のモノに言われる様になったんだよね」
 その「モノ」って、神様クラスの方々ですよね?なんという事を…
「これが所謂<バタフライ効果>ってやつ?」
 あってるようで、違っていてほしい様な…

「うん。まあとにかく、暫く僕と遊んで欲しいな」
「学業優先させて頂けるなら、お付き合いできます」
 ご自身の都合で呼び出してくる自国の王族や、突然やってくる隣国の王族の接待で目指しているほのぼの学園ライフがかなり遠ざかっているんです。
 何も巻き込まれていない内に回復させたいと、切に願っています。
「学園ライフは今しかできないからね。大事にするといいよ。互いの休日が合ったときでいいから」
 マジ神!オーラしまっちゃわれたけど、輝いて見える!

「冒険者登録したから、依頼を受けながらあちこち見て回る予定なんだよね」
 ドラゴンでも狩るおつもりで?
「この辺ドラゴンいないよ?ここはラキアラスそこそこでかい国の王都なだけあって、ギルドの設備がいいんだよね。暫く拠点にしてのんびり薬草でも集めようかなーって」
 レミール様は様々な世界を渡り歩く中で、植生の観察にも目覚めたのだそうだ。各世界の創造神によって違いがあり、何に影響を受けたのか判りやすいから面白い。と。
 そして、ドラゴン。この辺にいないという事は、世界にはいるという事ですね。
「そうそう。向こうから来るまで近づかない方が安全だよ?」
 そうですね。余計な事に首を突っ込んで、その首締めるの嫌ですものね。

「ガッツリ遊びたい時もあるから、一日または半日とかお互いのスケジュールの確認が要るよね」
「俺も行事の確認しておきますね」
 特に試験とか補講とか試験とか。メロメ国に連行された間の補講が始まったばかりなんですちくしょう。
 前世である程度の基礎は出来てるけど、学習進度を合わせる必要があるから長期に休んだ学生は補講を受けなきゃクラスに合流できないんだよね。
「とりあえず今日は解散して、早速明日集おうか。ファルム君の予定はどうかな?」
「明日は夕方まで空いてますね」
 我が家(というか俺)は今絶賛過保護中(原因はメロメ国への連行騒動)だから、両親に報告が要るんだよね。まあ、危ないところに行かずに夕飯に間に合う様に帰れるなら許可出るはず。今日もそうだし。
「そうか。君の事も色々教えて欲しいから、楽しみにしてるよ」
 レミール様はその気が無い者まで落としそうな笑顔で翌日の集合場所と時間を告げ、解散となった。オーラしまっててこれだよ。間近で当てられて火照った頬があったかい。
 アンドロインの会計は知らない間に済んでいたらしい。凄い。これが大人か。スマートだ。
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