AT LONG LAST

伊崎夢玖

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第一章

side蒼 ㉖

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そして、ついに、一縷との結婚式の日になった。
見届け人は両家の両親だけの小さな式。僕も一縷も大袈裟にやるのは嫌だった。
後日親しい人達に式で撮った写真をポストカードにして送る予定になっている。
その写真は式の後で撮る予定になっている。
全ての準備が整い、二人でバージンロードを歩く。
神父の前に到着して、誓いの言葉を交わす。
『立華一縷。汝は健やかなる時も病める時も東条蒼を夫とし、永遠なる時を過ごすと誓いますか?』
「誓います」
『東条蒼。汝は健やかなる時も病める時も立華一縷を夫とし、永遠なる時を過ごすと誓いますか?』
「誓います」
『それでは、指輪の交換を』
一縷からはプロポーズの時の指輪っぽい感じの素敵な指輪。
きっと一縷は僕に内緒で自分がデザインした指輪を作ったに違いない。
僕と同じ考えで作ったんだろうなぁ。
そう思いながら、一縷に薬指に指輪をはめてもらう。
次は僕が一縷に指輪をはめる。
一緒に買いに行った指輪と違うことにすぐ気づいたようだった。
一縷の耳元に口を寄せて、一縷にだけ聞こえるように囁く。
「あれからまた買いに行ったの。僕がデザインしたんだよ?世界にたった一つの指輪。これからの一縷の人生は僕のものだからね」
一縷は驚いたのか感動したのか、いきなり泣き始めた。
こんな一縷が見られるのは今だけなんだろうなぁ。優しく拭いてあげた。
『続いて、番の儀式を』
後ろを向き、一縷に項を晒す。
「いち、来て」
「痛いと思うけど、ごめんな。…行くぞ」
ガブッ
一縷の奴、思いっきり噛んだな…すごい痛い。
だけど、それを上回る幸福感が僕を満たしていく。
自然に涙が溢れた。
「ごめんね、嬉しすぎて涙出てきた。これからよろしくね、いち」
「こちらこそよろしくな、あお」
『最後に、誓いのキスを』
どちらからとも分からないが、二人の唇がゆっくりと重なった。
当初の予定通り、式が終わってからこれでもかというくらい写真を撮った。
今日一日すごく濃密な一日だったと思う。
これからは一縷と二人で歩んでいく道。
きっと険しいし、困難な道だと思う。
だけどこれまでの僕らはそれを乗り越えて今ここに立っている。
だからこれからの僕らだってできるはずなんだ。
ずっと一緒にいようね、一縷。愛してるよ。
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